#224 秦の土兵と縄文の土人形
ボス戦をする前に編成を確認する。するとみんなが納得行かないことがあるみたいだ。
「タクト君…そのままで戦うの?」
「そうだけど?」
「にいちゃん、ボス戦なんだよ?」
「何か問題が?」
「メェ~」
ほら、ロコモコも大丈夫だ。問題ないと言っている!それにみんなレベルアップしてないんだもん!このままでは終われない。メルが念を押してくる。
「危なくなったら、変えてね?」
はいはい。危なくなったら、変えますよ。
というわけで一斉に広場に入り、陣形を取る。すると出口に巨大な岩が落ちてきて、塞がれる。
逃げることを許さないスタイルだな。さぁ、敵はなんだ?
地面から武装した土の人形が大量に出てくる。これは見たことあるな。
兵馬俑Lv18
通常モンスター 討伐対象 アクティブ
中国の始皇帝時代などで作られた死者と一緒に埋められた人形だ。
まずは先制攻撃だ。
『アローレイン!』
トリスタンさんと与一さんの矢の雨が放たれる。
だが兵馬俑からもアローレインが放たれる。やばい、詠唱中だぞ!?
他の皆も一斉に逃げるが、逃げ場がない。それほどの矢の量だった。俺も逃げ場がない。
火影たちが印を結び、忍術を使うが、さばき切れない。
「…任せて」
ノワが影の壁を作る。ノワ、最高!
「ミライ!」
「…うん!」
ミライが俺の後ろで回復魔法の準備をする。ミライが俺たちの生命線だからな。やらせるわけにはいかない。
ノワが守ってくれたので、その間に俺はルーンアーツを弓の兵馬俑に掛ける。これでアローレインはもう撃てない。
その間に狐子が魔法使いの兵馬俑に火弾で牽制してくれて、時間を稼いでくれた。後は俺の仕事だ。狙いは魔法使いの兵馬俑!
「エクスプロージョン!」
魔法使いの兵馬俑が固まっているところに大爆発が起き、吹き飛ばされる。しかし、槍兵の兵馬俑が満月さんたちを突破してこちらに迫っていた。
俺は剣を取り出す。
「迎え撃つぞ! ミールは蔓であいつらのスキルを止めてくれ! ノワ、サビク、狐子! サポート頼むぞ」
「はい!」
「…ん!」
俺の戦闘態勢を見ると与一さんも判断する。
「私たちは敵の後衛を狙います!」
流石の判断力だ。さっきのエクスプロージョンで結構倒したはずだが、魔法使いはまだ残っているはずだ。弓の兵馬俑も普通の弓なら撃ってくる。俺たちが安心して戦うためには後衛を狙うのが正解だと思う。
というわけで俺たちは俺たちの仕事をしよう。ミールが蔓を薙ぎ、兵馬俑の武技をキャンセルする。更に狐子が邪炎で兵馬俑たちを焼き払う。
それでも襲いかかって来た奴らにサビクが襲い掛かる。残りの敵は俺が対処する。
しかし兵馬俑を斬り裂くと真っ二つになり、倒させる。あれ?弱い?
一回斬って倒してる…これがボス戦?とにかく今はこいつらに集中しないとな。
「助太刀するでござるよー!」
火影たちも参加して一緒に槍の兵馬俑を倒していると満月さんたちが来る。
「すまん! 抜かれた」
「いえ、剣士をお願いします」
「その必要はないようだぞ?」
え?
「エクスプロージョン!」
レッカのエクスプロージョンで剣士たちが吹き飛ばれる。
残りはメルたちが戦っているのが、最後だ。もう大丈夫だろう。俺は振り向くとそこには矢が大量に刺さったロコモコの姿があった。
「ロ、ロコモコ~~~~!!?」
俺は慌てて、ロコモコの矢を抜く。
「大丈夫か!? ロコモコ!」
「メェ~」
どうやらもふもふの毛のお陰で大丈夫だったみたいだ。ふぅ~焦った。
「これで終わり!」
リサが敵を倒したみたいだ。しかし倒した兵馬俑が全て土塊になり、一箇所に集まる。やっぱり兵馬俑がボスじゃなかったか…全員が警戒する中、土塊が新たな形で現れる。
土偶?
? ? ?
縄文時代に作られていたと言われる土人形だ。青森で発見された有名な土偶と同じ姿をしている。ただしボスモンスターだから当然でかい。
それにしても埴輪から土偶じゃダメだったんだろうか?兵馬俑が来たから始皇帝が来ると思った俺の期待を返して欲しい。
そう思った瞬間だった。土偶の目が赤く光、ビームが俺たちに放たれた。
「あ、あれ?」
だが俺にダメージはなかった。死んだと思ったんだけど…しかし状況は最悪だった。俺たちを除くプレイヤーが全員石になっていった。
俺たちは洞窟に入る前にブレスをかけていたから石化を逃れたみたいだ。俺たちが無事だったためか土偶は顔を赤くし、耳から蒸気を出す。どうやら怒っているみたいだ。
腕が輝く。あれは武技か!させるかよ!
「ルーンアーツ!」
土偶の謎の武技が不発する。効いてくれて良かった。
だが次に土偶の口が赤く光りだす。どうやら早いのは目から石化ビームだけみたいだな。
「全員固まれ! ミールはあいつを落とし穴に落としてくれ!」
「わ、わかりました!」
ミールが地面に消える。そして土偶が口から火炎を吐いてくる。こちらも準備万端だぜ!
「ウォーターウォール!」
水の壁で火炎を防ぐ。その間にミールが落とし穴を設置完了する。
「落とします!」
「頼む!」
だが土偶は落とし穴に落ちなかった。どうやら地面から僅かに浮いていたようだ。お前は猫型ロボットか!!落ちないなら無理矢理落としてやる!
火炎が収まり、俺のウォーターウォールも終わると土偶は腕を動かす。俺も魔法の詠唱に入る。スピード勝負になると思ったが、そうはならなかった。
「…影縛り」
ノワが土偶の動きを止めてくれたお陰で魔法の詠唱に成功。本当にノワは優秀だ。そして土偶、お前は落ちろ!
「ダウンバースト!」
土偶が下降気流で落とし穴に転がり落ちる。
「みんな、時間稼ぎを頼む!」
ノワたちが落とし穴に落ちた土偶に攻撃を仕掛ける。その間に俺はミライの石化をリフレッシュで治し、ブレスをかける。俺たちが石化したら、アウトだからだ。
すぐにミライと協力して仲間たちを治す。最初は火影たちだ。理由は爆弾を持っていることと速いから誘導役に向いている。
『石化の恨みじゃあああああ!!』
火影たちが土偶に爆弾を当てている間に満月さん、レッカを治し、二人が土偶戦に参加。ミライの判断でユーコとリサを治す。次に俺がトリスタンさん、与一さんたちを担当して、ミライが三日月さんたちを担当する。メルとケーゴを最後に治し全員元通りになった。
「「酷い!」」
「当然の判断だ」
「…治ったなら、早く戦って来て」
俺とミライの判断は間違っていないはずだ。二人は土偶相手には火力が厳しいからな。俺たちはMPポーションで回復させる。その間にみんなの戦闘を見るとやはりイベントでの戦闘と変わっている。
特にリサは気弾と発勁で土偶にダメージを与えている。ユーコはインパクトスラッシュだ。どうやら衝撃系は硬い敵にダメージが通り易いみたいだな。覚えておこう。
「さて、俺も参加し」
次の瞬間、俺は上から叩きつけれるような感覚を味わい、地面に押し付けられる。こ、これは…ダウンバースト!?
「兄様!?」
ミライが回復してくれて、なんとか無事だ。さっきのはなんだ?
すると今までダメージを稼いでいたリサ、ユーコ、レッカ、火影たちが吹っ飛んできて、倒れたまま動かない。死んだようだ。
無事だったのは満月さんたちと与一さんたち、トリスタンだ。これは…
「何かしらのカウンターだね。たぶん土偶に与えたダメージを返されたんだよ」
メルの説明で納得する…俺のメンバーで無事だったのはノワとサビク、ロコモコだ。ミールと狐子は倒されてしまった。
ノワは影縛りで相手を縛っていたからダメージは発生していない。サビクは噛み付いていたからダメージを受けて重傷だが、噛み付きではダメージが少なかったのが幸いしたみたいだ。ロコモコはそもそも何もしていないからノーダメージだ。
ミールと狐子はダメージを稼いでいたから、その反動がでかかったみたいだな。こんな厄介なモンスターがいるとは完全に予想外だ。
幸い、土偶は後少しで倒せそうだが、土偶は再生持ちでこちらは火力役がいなくなってしまった。するとノワが俺に許可を求めてくる。
「…にぃ、擬似竜化使わせて。みんなの敵を取る」
その手があったか。ノワの擬似竜化は初見だが、これしかチャンスがない!
「頼む」
「…ん! 擬似竜化!」
ノワが手が出てない状態でバンザイすると黒い光の柱が包まれ、擬似竜化する。黒い竜の耳と尻尾、翼が生える。そしてノワにはリリーたちにはない黒い角が二本生えていた。ステータスを確認する。
名前 ノワ ドラゴニュート(擬似竜化)Lv25
生命力 28→48
魔力 68→88
筋力 20→40
防御力 19→29
俊敏性 27→47
器用値 58→78
スキル
影操作Lv9 飛行Lv1 呪撃Lv1 影探知Lv8 影移動Lv4 影潜伏Lv9
影縛りLv4 影召喚Lv2 隠密Lv7 擬態Lv3 夜目Lv11 邪眼Lv1
竜技Lv1
やはり強い。ノワが言う。
「…ノワ、怒っている。だから死んで…邪眼!」
そういうとノワの目が真っ赤に光る。その瞬間、土偶が病気ではなく、純粋なステータスダウンで病気並に急降下する。更に停止の状態異常になり、動けないみたいだ。
更にノワの攻撃は続く。ノワが両腕を前に出す。すると部屋中の影がノアに集まる。
「…竜技、ドラゴンアブソリュート!」
ノワに集まった影から次々、蛇型の影のドラゴンが飛び出し、土偶の影に入り込む。
すると土偶の影が広がり、影が赤褐色になる。次の瞬間、土偶が影に吸い寄せされ、影にへばりつくと生命力と魔力がみるみる減っていく。
これは…リビナの能力の影バージョンの技だな。
リビナは男性限定だが、相手を動けなくして、生命力と魔力を吸い取る。対してノワは影があれば発動できるのだろう。
どちらも一長一短だが、ノワのほうが対象が影だからオールマイティーな感じだな。
土偶が最後の抵抗でノワに武技を使おうとする。武技なら魔力は使わないからな。だけどそんなこと許すはずがない。
「ルーンアーツ!」
武技を再度封じて、抵抗すら許されないまま、土偶は息絶えた。そこでインフォが来る。
『職業召喚師のレベルが上がりました。ステータスポイント2ptを獲得しました』
『職業召喚師のレベルが上がりました。スキルポイント1ptを獲得しました』
『ロコモコのレベルが16に到達しました。進化が可能です』
『サビクのレベルが16に到達しました。進化が可能です』
おや?ステータスポイントが増えた。じゃあ、筋力と俊敏値だな。俺の残りスキルポイントは63ptだ。
ロコモコとサビクに進化が来ているがまずはノワだ。疑似竜化の反動で倒れそうなノワを支える。
「お疲れ様。よくやったな。ノワ」
「…ん。にぃ…ノワ怖くなかった?」
ノワはどうやら自分の能力やリリーたちとは違う姿にコンプレックスがあるみたいだな。
「みんなのために真剣に怒って、頑張ったノワを怖がったりするもんか。可愛かったぞ」
「…にぃ。忘れて欲しい」
残念ながらそれは出来そうにないな。ノワの隠れた一面を見れてラッキーだった。
「…うぅ。しばらく動きたくない」
せっかく頑張ったのにしばらく動きたくないと言うノワがあまりにノワらしい照れ隠しで、俺はつい笑ってしまった。
名前 タクト 情愛の召喚師Lv1→Lv2
生命力 65→66
魔力 120→123
筋力 55→56
防御力 40
俊敏性 54→55
器用値 93→96
スキル
格闘Lv9 蹴り技Lv16 杖Lv22 片手剣Lv20 槍Lv10
刀Lv1 投擲Lv7 高速詠唱Lv20→Lv21 召喚魔術Lv28 封印魔術Lv5→Lv8
騎手Lv15 錬金Lv17 採掘Lv20 伐採Lv17 解体Lv33
鑑定Lv20 識別Lv29→Lv30 風魔法Lv22→Lv23 火魔法Lv21 土魔法Lv22
水魔法Lv28→Lv29 闇魔法Lv22 神聖魔法Lv5→Lv8 雷魔法Lv22
爆魔法Lv22 木魔法Lv23 氷魔法Lv22 時空魔法35
水中行動Lv2 読書Lv8 料理Lv33 餌付けLv7 釣りLv16
シンクロLv10 連携Lv2
名前 ノワ ドラゴニュートLv25→Lv28
生命力 28→30
魔力 68→72
筋力 20→22
防御力 19→20
俊敏性 27→29
器用値 58→62
スキル
影操作Lv9 影探知Lv8 影移動Lv4 影潜伏Lv9 影縛りLv4→Lv7
影召喚Lv2 隠密Lv7 擬態Lv3 夜目Lv11→Lv13 擬似竜化Lv1→Lv2
名前 サビク ブラックマンバLv12→Lv16
生命力 54→60
魔力 18→22
筋力 33→36
防御力 20→22
俊敏性 41→45
器用値 33→36
スキル
噛みつきLv15→Lv19 巻き付きLv11 猛毒Lv14→Lv17 熱探知Lv12→Lv13
名前 ロコモコ クラウドシープLv13→Lv16
生命力 71→75
魔力 31→33
筋力 6
防御力 51→57
俊敏性 24→27
器用値 8
スキル
体当たりLv3 危険察知Lv5→Lv7 逃げ足Lv1 育毛Lv7 採乳Lv7 耐寒Lv1
名前 狐子 妖狐Lv1
生命力 38
魔力 67
筋力 51
防御力 28
俊敏性 50
器用値 40
スキル
噛みつきLv12→Lv14 気配察知Lv11→Lv12 危険察知Lv3→Lv5 火魔法Lv13→Lv15
闇魔法Lv1→Lv3 暗視Lv9→Lv11 邪炎Lv14→Lv15 妖術Lv2 幻術Lv5 憑依Lv3
火の牙Lv1→Lv5 火の爪Lv1→Lv5 火弾Lv3→Lv5
名前 ミール ドライアドLv2
生命力 60
魔力 60
筋力 32
防御力 32
俊敏性 65
器用値 60
スキル
土潜伏Lv10→Lv11 蔓Lv8→Lv10 俊足Lv3→Lv5 風魔法Lv1→Lv3
土魔法Lv6 木魔法Lv5→Lv7 水魔法Lv1 光合成Lv1 譲渡Lv1
花蜜Lv3 花粉Lv3→Lv4 採取Lv10 植栽Lv4 寄生木Lv6→Lv8
罠設置Lv6→Lv7 植物召喚Lv1