#117 生産職と悪魔意見交換
夕飯とお風呂を済まして、ゲームにログインして下に降りるとルインさんたちがいた。
「あ、キッチンお借りしてます」
「あぁ。別にいいよ」
俺がハルさんたちに許可してあげるとルインさんに話しかける。
「昨日、悪魔と戦いました?」
「えぇ。いきなりNPCに助けを求められて、イベント開始だったわ…しかもゾンビと戦うなんて最悪よ…」
あぁ~…あのゾンビにどう倒されたのか知らないが普通にトラウマだろうな。
「タクト君はあの悪魔、倒せたの?」
「はい。かなり危なかったですけど、なんとか倒せました」
「流石ね…イベントはどうなったの? あ、言いたくないなら」
「いいですよ。ルインさんたちとは契約を結びましたからね」
ルインさんたちなら情報を公開したほうがいいだろう。色々意見も聞きたい。
「あのNPCがレギンレイヴ…」
「それなら助けを求めるより、助けて欲しかった!」
まぁ、ミュウさんの意見は尤もだよな。何せワルキューレだし。
「タクトさんは教会を回るんですか?」
「見付けたら調査する感じかな? どんな悪魔が相手か分からないからね」
「確かにそうだけど、男性プレイヤーのほとんどは教会を探すでしょうね。何せシスターの時点で女性NPCなのは確定なんだから」
あー、確かにそうかもな…
「この話、どうするの? ルイン姉?」
「どうしようかしらね…知っていて黙っていたら、間違いなく叩かれるわ。公開するならリスクをきちんと説明しないとダメね」
その辺りはルインさんに任せよう。ただ俺は気になっていることがある。
「話の流れからして、教会じゃない可能性もありますよね?」
「どういうこと?」
「俺がレギンレイヴから聞いたのはあくまで神父に連れていかれたという情報だけです。神父だから教会だけに絞るのは危険じゃないですか?」
「それは…そうかも知れないわね。こういうトラップはよくある話だから…ならそういうことも念頭に書き込むわね」
後はやはりネビロスの最後の言葉だよな。
「完全にイベント予告ね…死霊ということはゾンビイベント…最悪だわ」
ルインさんたちは暗い雰囲気になる。ゾンビにやられたばかりならそうなるだろうな。
「B級映画でも再現するつもりなのかな?」
「わ、私…苦手…」
「あ~、完全に固まってたもんね…」
ハルさんじゃなくても普通は苦手だと思うよ。ゾンビ映画の世界を味わいたい人は少ないだろう…
「まぁ、ここにはタクト君たちがいるから大丈夫よ」
「えぇ…俺たちが戦うのは確定ですか?」
『当然!』
当然ですか…まぁ、わざわざ指定されたから狙われそうではある。狙われるなら迎え撃つだけだ!
「そういえばクロウさんや他の国に行った人はどんな感じですか?」
「クロウは鉱石を採掘しようとしたら、その前に死に戻ったって!」
うわー、悲惨だ。
「吹雪の中、鉱石を取りに行くからよ」
それを聞いたヘーパイストスが反応する。
「あ、あのー…その人ってヴェインリーフに向かいましたか?」
「そうよ? ヘーパイストス君は何か知っているの?」
「…はい。たぶんその人を襲ったのはシロフクロウです」
おや?コノハと同じシロフクロウが出るのか。
「ヴェインリーフではシロフクロウは白い死神と呼ばれています。吹雪の中、気配を消して攻撃してきて、吹雪の中、ずっと獲物を狙い続けると言われています」
あー、確かに隠密あるから吹雪の中なら無双しそうだな。
「それは…ヴェインリーフにはたくさんいるのかしら?」
「はい。ヴェインリーフ周辺に生息しています。雪が降ったら、まず狙われていると考えるべきです」
うわ~…コノハがたくさんいるって普通に恐怖なんだが…しかも雪の中で狙われ続けるって凄い大変な気がする。現状で向かっても苦戦は間違いないだろう。
「ヘーパイストスはよく無事だったな」
「雪が降っていないと狩りをしないので、晴れている時に国を出たんです」
なるほど。自分の有利な状況じゃないと狩りをしないか…なんともシロフクロウらしい。
「他にヴェインリーフで注意すべきモンスターっているのかしら?」
ルインさんがヘーパイストスから情報をゲットしようとしている。
「えぇーっと、ホワイトウルフや雪兎、オコジョ、グリズリー、イエティ、アイスマンとか出てきます。後、噂ですが氷のドラゴンが出たと聞いたことがあります。他はちょっとわからないです」
『ぷっ!』
俺たちはきっと雪男、ミイラに襲われるクロウさんの姿が過ったことだろう。
しかし氷のドラゴンか…おっかないがあってみたいな。ひょっとしたら、ドラゴンを召喚できるかも知れないからな。
「ルイン姉…この情報、内緒にしない?」
「そ、そうね…クロウの冥福を祈りましょう」
人が悪いな…ま、俺もクロウさんには教えないから同じ穴のムジナだな。