#115 海釣りと堤防の戦い
新しい仲間が増えたので、早速レベル上げに行くとしよう。欲望に勝てず目指すは海で釣りだ!ついでにヤドカリも狩れたら狩ろう。
そうと決まれば馬で移動するわけだが、また運命のじゃんけん大会。恋火は前回当たったので不参加。リリーの結果次第で恋火が待ってるのは地獄だ。必死に祈ってる。
「お願い…お願い…します!」
結果は俺とイオン、リリーと恋火。神はいなかった。しかし恋火はなんとか回避しようとする。
「リリーお姉ちゃん! わ、私はまだ、ホースを操っていないので、今回やりたいです!」
お!上手いな。だがリリーが予想外の解答をした。
「ん~、でも恋火ちゃんは魔法使えるし、後ろで攻撃した方がいいよ! 大丈夫! コツがわかってきたから!」
「あ、あう…」
『まさかの正論返し!?』
俺たちが驚いているとリキュールが俺に寄ってきた。ダーレーが頭を下げて落ち込んでいるように見える。どうやら馬同士でも何かあったらしい。
リキュールはリリーたちに懐いていた気がするが、どうやら以前の馬移動でリキュールの中でリリーの評価に変化が起きたみたいだな。
恋火とダーレーの幸運を祈ろう。
結果は言わずもがな…というか前回以上に酷くなっていた。リリーが力任せに手綱を引くからダーレーが暴れて、めちゃくちゃだった。今日は訓練したから敵がいても相手にしなかったから、余計に酷かった。
「こ、ここまで酷いとは…」
イオンがドン引きしている。それに恋火から返事がない。大丈夫か?
「ダーレー、酷い…」
酷いのはリリーだぞ。とりあえずメンバーチェンジしてリリーたちには休んで貰おう。メンバーはイオン、チェス、アラネア、ひより、ぷよ助だ。馬移動するたびにリリーたちが使えなくなるのは痛手だな。ちょっと考えないといけないのかも知れない。
気を取り直して、レベル上げも兼ねて釣りをするつもりだ。イオンはもしもの時の水中戦。チェスもそうだが、防御面が強い。ぷよ助はサポート、ひよりはシーフクド対策、そして肝のアラネアだ。糸の罠で銛魚を一網打尽にする!
アラネアが硬糸と粘糸の二重で罠を設置する。その間に俺は釣りの準備。餌のオキアミを設置して準備完了。アラネアも罠設置が完了。ではレッツ、フィッシング!
釣糸の先が海に入る。
ドドドドドン!
海から何かが飛んでくる。ちょっと待って。確かに危険だとか飛び出して来るとは聞いていたが、速度が異常だぞ。銃レベルじゃないか?これ。
この銛魚は硬糸の罠を破ったが、それで勢いを失ったため粘糸に捕らわれる。もしもの時の保険で硬糸も使って貰ったが、保険があって良かった。これ、粘糸だけじゃ止められないだろ。
一応識別しておこう。
銛魚Lv15
通常モンスター 討伐対象 アクティブ
識別完了。では、みんなで仕留めましょう。その際にぷよ助が時間はかかったがちゃんと一匹倒した。そしてレベルアップ。残念ながら進化までは届かなかった。しかし解体結果は良かった。
銛魚の吻:レア度3 素材アイテム 品位E+
銛魚の尖った口あたりの部分のアイテム。槍武器に使われる。
銛魚の吻はやはり槍素材か。というか銛に使うんだろうな。これはあれか?俺に槍スキルゲットして馬上槍を取得しろというお告げか?だが流石に神聖魔法の方を優先しよう。
アラネアに硬糸の罠を再設置してもらい。釣りを続ける。暫くするとヒットがきた!釣り上げようとするが、重いぞ!大物だ!
タコか!ヒラメか!テンション上がってきた!
「タクトさん! 頑張ってください!」
イオンが応援してくれてる!任せろ!
釣り上げたのはアカエイだった。
おぉう…
毒持ってる奴だ。だがこのアカエイ。普通のアカエイじゃなかった。釣り上げたら、空に浮いた。
もう一度言おう。空に浮いた!
すると襲い掛かってきた!こいつ、モンスターだったのか!?識別する。
アカエイ?
テイムモンスター 討伐対象 ?
このアカエイ、空には浮いたが高くは飛べないみたいだ。低空を飛行している。そして尻尾を俺に向ける。
何か来る!
そう思ったら、アカエイの尻尾が発射される。やば!?
だが俺は無傷だった。ぷよ助が変形し、アカエイの尻尾を防御してくれた。ぷよ助、お前いいやつだ!
そして衝撃吸収スキルの意味もわかったな。普通なら貫通しているアカエイの尻尾がぷよ助に当たった瞬間、勢いを失いぷよ助の体の中に収まっていた。つまりあらゆる攻撃の衝撃を吸収してしまうスキルなんだろう。
めっちゃ強いだろう。これ。
俺が感動していたら、アカエイが第二射を撃とうしている。狙われたのはイオンだ。
「イオン! 避けろ!」
「は、はい!」
イオンは走るが堤防では十分に走れない。しかもアカエイはなんとイオンの動きを計算して尻尾を撃った。
躱せない攻撃をチェスが体を張って、イオンを守る。チェス、かっこよすぎる。
だがそのチェスが膝をつく。
「「チェス!?」」
チェスのステータスを見ると麻痺と猛毒になっていた。俺はクリアでチェスを回復させる…このエイリアンもどきの魚風情が…よくもやりやがったな!
「イオン! 水中戦だ! 危険だと思うがやれるか?」
「やれます! 海は私の領域ですから!」
いい返事だ。
「よし。あのエイ、海に叩き落とすから斬り刻んでやれ!」
「わかりました!」
「チェスも水中戦を頼む。ぷよ助はチェスを護衛してくれ」
イオンとぷよ助を纏ったチェスが海に入る。
後はあいつを落としたら終わりだ。セチアがいたら、弓や魔法で活躍したんだがな。いないんだから仕方がない。俺が落とすとしよう。
「スロウ!」
まずはスロウでスピードを奪う。これで次の呪文から逃げられない。続いて呪文を詠唱するとまた尻尾を向ける。
来る!
尻尾が発射される。俺は動きにフェイントをいれ、アカエイの尻尾を躱す。危なかったが俺も召喚獣たちの頑張りに応えないとな!
「ショックボルト!」
アカエイが感電し、麻痺る。まだ海に落ちないか。なら追撃するだけだ!
「レイブロート!」
アカエイに光が集まり、爆発する。流石のアカエイも海に落ちた。心配だが後はイオンたちを信じよう。
ーーーーーーーーーー海中ーーーーーーーーーーー
海にアカエイが麻痺した状態で落ちてきた。
「流石、タクトさんです」
イオンは自然とタクトを讃える。
「ここからは私たちの仕事です!」
イオンが海中で高速移動でアカエイを斬り刻む。
だが麻痺とスロウが解けるとアカエイが再びイオンに尻尾を向け、発射する。
それをすかさずガードするチェス。だが今回の尻尾はチェスに届かなかった。
ぷよ助が見事に尻尾を止めていた。
チェスがぷよ助を信頼し、アカエイに襲いかかる。
だがスピードではアカエイのほうが上だ。チェスだけでは捕まえることはまずできないだろう。
だが、この海中にはアカエイより早いイオンがいる。
イオンがアカエイを斬り刻み、足止めするとチェスが遂にアカエイを捕まえ、噛み付く。
暴れるアカエイだが尻尾を発射しようとするが発射出来なかった。なぜなら尻尾にはぷよ助がいた。発射してもぷよ助の体に当たり、不発に終わる。
「タクトさんに任されたんです。あなたも頑張りましたがとどめです」
イオンの最後の攻撃でアカエイを仕留め、戦闘は終わった。
初めてタクト抜きの戦闘、水中戦を書いてみました。
レベル上げは次回に持ち越します。