#956 ウィザードオーブ首都市街地戦
城壁を突破した俺たちはそのまま町に進軍するわけだが、そこで待っていたのはベリアルの仮面を付けた悪魔となってしまった市民の姿と新たな敵も出現する。
グリード・ゴブリンLv50
通用モンスター 討伐対象 アクティブ
グリード・オークLv55
通用モンスター 討伐対象 アクティブ
グリード・オーガLv60
通用モンスター 討伐対象 アクティブ
グリードは強欲の英語読み。最早隠す気がない。ただこいつらにみんな苦戦する。というのもこいつらは強奪スキルを持っており、こちらの装備を奪って来たのだ。しかも格納も持っており、装備を次々奪って来た。
奪われた装備は倒して、解体すれば手元に戻るがそれでも奪われるとどうしても攻撃が止まってしまう。例外なのは格闘家とそもそも装備をしていない召喚獣や猛獣たちぐらいだ。
その格闘家たちも苦戦しているわけが謎のしぶとさ。生命力が残り一から減らなくなり、どれだけぶっ飛ばしても向かって来た。その謎のしぶとさも時間制限があり、時間が経過すると敵が自動で死ぬことが判明した。
そして鉄心さんが敵を瞬殺したことでその原因が加護であることも判明する。これで加護無効か敵の加護を封じてから倒すという攻略法が確立した。
それを聞いていた俺がリリーたちにこのことを伝えると今までうずうずしていたリリーたちが静かになった。流石に自分の装備を奪われるのは嫌みたいだ。
因みに初期装備だけは強奪することが出来なくなっている。それはNPCたちも同じで全部装備を奪われても私服になるだけだ。ただそれで良しとしていると敵を倒した後に大量の装備が散らばることになる。それだけで道を塞いで大変だと報告が来る。
そんな大変なことになっているプレイヤーたちの所に町娘が現れて、声を掛けて来た。
「あの…大丈夫ですか?」
「「「「か、可愛い…」」」」
「ちょっと待ってください! 罠ですよ!」
既に遅く町娘の体中からナイフが飛び出し、油断したプレイヤーに襲い掛かる。
「ちょっと待てよ…服がボロボロに」
町娘にアモンの紋章がある仮面が現れ、その敵にプレイヤーたちは絶句する。
グリード・パペットLv65
通用モンスター 討伐対象 アクティブ
敵の正体は人形だった。この事実に罠に掛かったプレイヤーは激怒する。
「ふざけんなぁ~!」
「期待を返せ~!」
「男心を弄びやがって! 絶対に許さん!」
「女性不信になるだろうが~!」
そう言っている彼らだが、ナイフには神魔毒と麻痺毒が塗られており、動けないところを鋸で攻撃され、死に戻る。
グリード・パペットはからくり人形で鉄心さんでも苦戦するほどの敵だった。何せ体のどこから何が出て来るか分からない上に人間には出来ない動きをするから中々攻撃を当てれなかった。それでも倒すのが鉄心さんなわけだけどね。
グリード・パペットが使って来たのが鋸の他には光線、電気が流れるネットガン、刃物がある小さな車輪、毒ガス弾、謎のおっぱいミサイルという報告を受けた。皆、何気に楽しんでいるなと思った。
ここまで苦戦していたメルたちだが、俺が城壁に付く頃には王城の前まで攻め込む。すると潜んでいた敵に奇襲を受ける。
「体が!?」
「これって糸!?」
現れた敵がこちら。
グリード・スパイダーLv65
通用モンスター 討伐対象 アクティブ
こいつが本隊を包囲すると一斉に粘着糸をばらまいて来た。メルたちは糸で拘束され、武器を振れなくなる。すると本隊の後方から空振を発動させながら駆けつけたグレイたちに乗っているルーナたちが糸をバラバラにした。この結果、メルたちは解放される。
「助かった。ありがとう。グレイちゃんたち」
「「「「ガウ!」」」」
「無事で何よりです。皆さん。それじゃあ、私たちは後ろの敵の相手をしますね」
「ありがとう。ルーナちゃん。私たちは前の敵を倒すよ!」
左右のグリード・スパイダーはチロルたちが分かれて、襲い掛かっている。元々メルたちは前の道を切り開くのが今回の任務だ。よって、メルたち本隊は正面のグリード・スパイダーを倒しに向かう。
グリード・スパイダーはとにかく粘着糸が厄介な敵だった。吐き出した粘着糸が自在に動いて、追ってくる。更に手足も自在に伸び、魔眼も有していた。中々厄介な敵だが、この程度の敵で止まるグレイたちではない。
虎徹は向かって来た粘着糸を躱して間合いを詰めるとグリード・スパイダーは手足を伸ばして攻撃して来る。それを虎徹はあっさり斬る。結局グリード・スパイダーの全ての足は虎徹に斬られ、身体も三日月宗近でバラバラに斬ってしまった。
しかしこれではグリード・スパイダーは死なない。そこでアラネアが動く。バラバラにされたグリード・スパイダーの体を鋼索で縛り上げてしまうとその鋼索が高熱を帯び、グリード・スパイダーが悲鳴を上げる。
「あなたのような蜘蛛を私は認めない。蜘蛛の悪魔になったことを死ぬまで後悔しなさい」
別の所では伊雪が光分身と白熱刃で同じくグリード・スパイダーの体をバラバラにすると優牙が氷原操作で氷の剣山で串刺しする。そこでグリード・スパイダーは優牙に乗っていたルミを見てしまう。その瞬間、ルミの氷結の魔眼が発動し、凍り付く。これで時間が経過したら、勝手に死ぬ。かなり酷い仕打ちだ。
そして残り二匹はエアリー、ダーレー、スピカの天鎖で拘束され、遅れて駆けつけたヒクスたちがブレスや魔法を浴びせる。その光景を遠目で見ていた俺はスキル上げに使われているように思えた。
ここで本隊もグリード・スパイダーたちを突破して王城の防衛をしている騎士団を捉える。これを見たフェルグスが正体を伝える。
「国王様専属の近衛騎士団が城の外にいるだと!? どこまでもふざけた真似を!」
近衛騎士は騎士の最終クラスチェンジだ。しかもその騎士団の中には大賢者などの他の最終クラスチェンジの職種が含まれていた。この騎士団とぶつかると当然苦戦する。しかしレベルがほぼ同じでも俺が皆に与えている加護と装備の差でこちらの方が上回る。
しかもこちらには英雄たちにワルキューレたちがいる。撃たれれば戦況をひっくり返す上級魔法もエルフたちが封じて、しかも弓矢で援護もしてくれている。これには相手に同情してしまう。その悪条件の中でも戦い続けられるのが最終クラスチェンジをした職種なわけだけどね。
彼らも頑張ったけど、グリード・スパイダーを倒した全員が戦いに加わり、完全に陣形が崩れるとそこからは総崩れとなり、全滅させるとインフォが来た。
『ロコモコの神聖魔法のレベルが10に到達しました。神聖魔法【ヒールオール】、【シャイニング】を取得しました』
『ダーレーの格闘のレベルが20に到達しました。格闘【フック】、【アッパー】を取得しました』
『ダーレーの蹴り技のレベルが20に到達しました。蹴り技【連続蹴り】を取得しました』
『ダーレーの片手剣のレベルが10に到達しました。片手剣【疾風突き】を取得しました』
『狐子の炎魔法のレベルが10に到達しました。炎魔法【ファイヤーストーム】、【ラーヴァフロー】を取得しました』
『狐子の仙術のレベルが10に到達しました。仙術【自己再生】を取得しました』
『狐子の妖術のレベルが20に到達しました。妖術【夢幻陣】を取得しました』
『月輝夜の大剣のレベルが5に到達しました。大剣【ローリングスラッシュ】を取得しました』
『伊雪の仙術のレベルが10に到達しました。仙術【自己再生】を取得しました』
『千影の杖のレベルが15に到達しました。杖【トリニティマジック】、【シフトチェンジ】を取得しました』
みんなしっかりスキル上げをしたようで何よりだ。俺たちは手分けして解体をしてから城の前に集まるといつも通り安全エリアがあり、ここで全員が夕飯の為にログアウトする。いよいよ最終決戦だ。
 




