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魔王転生〜転生した世界は魔族が滅ぼされた後の世界でした〜  作者: るる
プロローグ

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55/67

2章-17話 はぐれエルフのフェイナート

高評価等とても励みになります。


もし良ければ高評価等よろしくお願いします

先程まで激しい戦闘が繰り広げられていたとは思えないほど、広間には静かな空気が流れていた。


フェイナートがもう長くない事はみんな知っていた……。

海で終わりたいという願いも知っていた

 

しかし

 

まだ、後ちょっとは時間があると思っていたのだ。

 

せっかくだから海で魚を取って一緒に食べたかった

もう少しゆっくりお話ししたかった。

 

だが、そんなフェイナートの魂はもうここにはなかった。

 

「…………………………。」


 レンカは俯いたまま動かずサキも珍しく黙っていた。


 リリは静かにフェイナートの手を胸の上で組ませまだ少し温もりがある手を握り続けていた。



「……フェイ婆、最後までカッコよかったデス」


ルクは何も言わないがただ静かにフェイナートを見つめながらもらったスキルを解析しせめてとフェイナートに手を伸ばした


その時だった。


 ゴゴゴゴゴ……!!と急に遺跡全体が大きく揺れる。


「な、何!?」


魔剣が主人の元に帰った事でもうこの遺跡の役目は終わりを迎えたのだ。


「うわぁ!? 崩れるデス!?」


「魔剣が制御していたんでしょうね……!」


「と、とりあえず脱出するわよ!!」


 だが……ルクはその場から動かなかった。


「ルク?」

 

ルクはフェイナートを自身のスキルでダンジョンに送る……死者ならば魔眷属出なくても入れられるのだ。


「海の近くに墓を建てる!これは新魔団の決定事項だ!こんな遺跡と一緒に眠らせはしない!」


「……そうね!」


「当然です」


「当たり前デス!」



そして走りながら、サキはちらりとルクを見る。


聞きたいことがあった…………

いや、もう答えはほとんど出ている、それでもちゃんも聞かないといけない気がした。

もう家族なのだ新魔団は!!


「……ねぇルク」


「なんだ!?トイレか!??」


「違うわよ!!……その、さっきフェイ婆魔王って言ってたわよね?」


………………………………


 遺跡は崩壊を始めているが、ルク達は立ち止まった……


 リリとレンカもルクを見つめる。

 

ルクはもう決めていた……

天使と出会った時、あの時は回答を濁してしまった

しかし、次に聞かれた時は本当の事を話そうと決めていたのだ


「ああ、そうだぞ?言おう言おうと思っていたのだがな!ハッハッハ!」

 

少し無理に笑っている様にも感じる笑顔でルクはサキを、リリをそしてレンカを見渡すとポーズを決めた!

 

新魔団みんなで決めたポーズを

「我は魔王だ!スーパーパーフェクト魔王なのである!崇めても良いぞ?」


「やっぱりデスか?」


「フフッ、まぁそうですよね?」


「まぁ、何となく分かってた事だけど??あの御伽話の魔王なのもホント?」

 

「御伽話が何かわからんが我は魔王だぞ!」

 

いまだにルクは300年後の世界だと気づいていないのであった。

そして自然と新魔団は決めポーズをとっていた!

 ゴゴゴゴゴッ!!

と崩壊する遺跡の中で!!

 

 そして、ついに背後で巨大な柱が崩落しはじめる。


「うわぁぁ!? 今は逃げるの優先よ!!」


「そうだな!全力疾走だ!」

【スピードコマンド!】

 

 四人は崩壊する遺跡を駆け抜けていく。


 ルクが魔王だった……まぁ薄々気づいてはいたが。

 普通なら恐れるべき事実だ。

 けれど、知っている。


肉をつまみ食いして怒られるルクを、棒倒しで進路を決めるルクを

野菜を見て大はしゃぎするルクを


…………そして

自分たちを絶望から救ってくれた大好きなルクを。


「……まぁ、ルクだし」

 サキがぽつりと呟くとリリもレンカもそれに続く


「別に今さら変わんないわよ」

「ルクはルクですから」


「魔王でもご飯いっぱい食べるデス」

「ハーハッハッハ!ウム!我らは家族だ!!」


ルクは少しだけ目を丸くしてどこか安心したように笑った……

 

実はちょっぴりだけ、ほんとーにちょっぴりだけ不安だったのだ!


そんなこんなで遺跡から全力で脱出すると


ルク達が出るのを待っていたのかのように背後で封鎖遺跡アトラが轟音と共に崩壊し海の底へとゆっくり沈んでいくのであった。


 

「さて、墓標を立てようか」

ルク達は、海の見える崖の上に墓標を建てた。

出来るだけ寂しくないようにとかなり派手で大きい墓にした!

 

きっと喜んでくれるだろう……。

 

魔物が寄りつかないように迷いの結界も張り、フェイナートが静かに海を見渡せるようにと願いながら最後にフェイナートの杖をお供えするのであった。


さて………………

 

ルク達は一体ここまで何をしにきたのだったか。

魔剣を回収する為?

フェイナートに会う為?

 

違うのだ!断じて……。

 

港街ラグノートを目指していたのである!

しかしここはただの海岸であったわけで…………。


「………………それで?海にはつけたが、ここはどこだろうな?」


短剣となった魔剣を腰に大事そうにぶら下げたルクが言う。

 

「…………それ言っちゃうの?」

「港街って海にあるんじゃないんですか?」

 

「とりあえず棒たおしマス?」

そんな中、

グゥゥゥゥ~と誰かのお腹がなると

 

「とりあえず魚だな!」「魚ね!」「海鮮ですね!」「潜りマス!」

 

四人は元気いっぱいに海へ駆け出した!

 目的などよりまずはご飯である!!

 

ここが何処だか分からない?食べてから考えればいいのだ!

そして波打ち際へ飛び込むと!?


「しょっぱぁぁぁい!?」

とサキが悲鳴をあげ


「ハーッハッハッハ! 海まだからな!とぉぉう!」

ルクはそのまま豪快に海へダイブ!


勿論探すのは食い物!

【スペルマジック:サーチ】

「ぬおっ!? 魚いたぞ!大群だ!」


「ルクッそっち行きました!」

「囲むデス!囲むデス!」


「待ちなさいよアンタ達!? 何でそんな早く泳げるの!?」

 そして当然のように素潜り漁が始まる!


 レンカとサキが風魔法で水流を操り魚を追い込み。

 リリが岩場へ誘導


 ルクが必殺の空気の檻で捕まえる!

 …………戦いの時より連携しているのではないか?


「大量だーハーハッハッハ!!」

「デカっ!?」


「今日の晩御飯ですね!」

「まだ食べるデス!!」


その後も貝を拾い、カニを追い回し、タコに巻き付かれて騒ぎになりながら、気付けば浜辺には大量の海産物が並んでいた。


夕暮れまでひたすら海で大はしゃぎし焚き火を囲みながら魚介を焼くと川魚とは違う塩見の効いた海の魚に豪快にかぶりつく!


「うまぁぁぁぁ!!」

「海の魚ってこんな美味しいのね!?」


「塩味が効いてますね……!」

「幸せデス〜……」


そんなルク達がいる崖の上では静かにルク達を見守るかの様に墓標が立っているのであった。


——————————

 

『ある日のエルフの想い出』


まだ魔王との戦争が終わる前、勇者一行は長旅の途中で海辺へ立ち寄っていた。

 

砂漠を抜け、広大なジャングルを抜けた先にある小さな海岸に勇者の気まぐれで辿り着いた……。

 

ほんっとうにいつも気まぐれな勇者だった!

戦ってる時はかっこいいのに…………

 

今のは勇者には絶対に内緒である。

 

結局海で素潜り漁が開催され、夕暮れになると仲間達が焚き火の準備をしだす。

 

そんな中勇者パーティーのエルフは一人、丘へ腰掛け海を眺めていた。


「お、いたいた」


片手には串焼きもう片方には、何故か貝殻を大量に抱えた勇者がやってくる。


「……何?その大漁の貝殻、呪術使えたっけ?アンタ」


「いや、浜辺来たら拾うだろ?」


「子供かアンタは」


勇者は笑いながら海を見続けるエルフの隣へ座る。


「海、好きなのか?」


「嫌いじゃないわね?見ていて飽きないし」


「わかる〜〜、はぁぁなんでビキニが存在しないのか……魔王を倒したら絶対流行らせる」


 勇者は妙に実感のこもった声で頷いた。


「沖縄よりも綺麗な海にビキニの美女……くぅぅ」


「……ビキニに沖縄って?なにそれ??」


「ん?」


「アンタ海沿いの生まれだっけ?どこの都市よそれ?」


「いや?あー……なんつーか

 夢みたいなもん…………かな?」


「ふぅん?」


昔から勇者は時々こういう事を言っては色々やらかすのだ。

 見たこともない料理に聞いたこともない言葉

 ……まぁ料理に関しては認めてやってもいい。


誰も知らない遊び、まるで別の世界を知っているような事を言うといつも皆んなが笑顔になる

だから決して聞かないと決めていた。


「でも海っていいよな〜」


「静かだし飯うまいし昼寝できるし…………最後を迎えるならこういう場所がいい」


「最後?」


「うん、もし老後とかあるならこういう場所がいいな」


「老後ぉ?」


 エルフは盛大に吹き出した。


「勇者様が老後ってなに?ギャグ?」


「考えるだろ普通!!?」


「アンタ絶対途中で問題起こして死ぬタイプでしょ?」


「ひでぇ事堂々と言うよな?よぉしわかった!それならこうだ!」


 勇者は苦笑しながらほっぺを突こうとして…………見事に躱われた!

そしてチョップされた!

 

「でもまぁ……もし最後があるならさ墓とか海辺がいいなーって」


「縁起でもない事言わないでよ」


「でもさ人っていつか死ぬだろ?」


…………………………。

エルフにとって死は遠い、寿命で死ぬ前に先に精神がやられて死ぬ者の方が多いまである。


 だが、人間は違う。


勇者も他のパーティーだってきっと自分より先に逝ってしまう……それが少しだけ嫌だと思った。


「もし終わるならさ海が見える場所がいいな…………故郷と繋がってる気がするから…………。」


「……なら、わたしもそうしようかな」


「お、墓作っとく?2人で入れそうなやつ」


「誰が入るか馬鹿!!わたしはこじんまりしたのでいいの!!アンタの骨は海に流してあげるからそれで満足しなさい」


結局この勇者とエルフは結婚し、勇者が亡くなるまでは旅を続けながら幸せな毎日を送ったという。


少し悲しめの話が続いてしまいました。




ルク達の物語とは完全に別ですが

本日(6月24日)夕方位に別の物語を投稿予定です。


こちらは完全に不定期連載(予定)ですがよければチラ見程度でも見て下さると嬉しく思います。

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