2章-62話 王都での激闘!? VS白銀の守護②
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リリ達が足元を見ると、そこは試合開始前に引かれていた境界線の外側に立っていた。
「「「あっ…………」」」
「……ずるよ!こんなの!!卑怯よ」
「これがSランクのやり方ですかっ!!」
「サイテーデス」
「…………酷い言われようだね?流石に傷つくよ……。」
キテツは小さいため息をつくとニヤリと笑う。
「とはいえルールはルールだ。私達の勝ちということでいいかな?」
「うぐぐぐぐ……」
「ハーハッハッハッハ!!まぁいい経験なったではないか!良いものが見れた!」
戦えなくてちょっぴり拗ねてたルクだったが、最後のキャッスルフォートレスは中々面白い技だった!
何せとってもカッコいいのだ。絶対後で真似しよう!!
と完全に機嫌を取り戻していた。
「別に我が負けたわけじゃ無いしな!」(此処が1番重要である)
フーとキテツが溜息をつくと真剣な目でルク達を見つめてくる……。
「改めて聞くけど、君達は一体何者なんだい?聖騎士に、魔の真理者。そして属性をその身に纏う力……。あまりにも君達は異質すぎる。」
「フッ……。どうやらちゃんと話を聞いてなかったらしいな!」
「そうね、ダメじゃない人の話聞かないと!」
「………………ぇぇ?」
「フンス!!デス」
目配せをし、せっかく活躍したのだからとリリを中心のフォーメーションを組む。
「パーフェクトなリーダールク!」
「天才魔法使いサキ!」
「て、鉄壁の防御リリ……」
「神速の特攻隊長レンカ!」
「「「「我ら最強パーティー・正義の味方新魔団」」」」
ババババーーン!!!
「…………………………そうだったね」
そう言えばこの戦い、話が通じなくて始めたんだったなと項垂れるキテツであった……。
「あ、あの〜……」
訓練場の端で成り行きを見守っていた警備員がおずおずと近づいてくる……。
常人では理解できない化け物同士の戦いに完全にビビっているのだ。
「身分証の件なんですが……」
「あぁ、それもあったね……。」
「この子達の身元保証……どうしましょう?
結局この子達は何者なんです?」
「「『……………………』」」
(それはこっちだって聞きたいんだが……。)
白銀の守護は口には出さないが、心の中で一つになった。
そしてキテツは諦めたように口を開いた。
「少なくとも危険人物ではないかな」
「そうなんですか!?」
「…………多分」
「多分!?」
「少なくとも敵ではない」
「本当ですか!?」
「…………恐らく」
「恐らく!?」
聞けば聞くほど不安材料しか増えていかない!
危険人物を王都に入れたとなれば、怒られるのは自分らなのだ!
しかしいくら聞いても答えを濁されるだけ……。
あのかっこいい白銀の守護はどこに行ってしまったのか……。
「あ!!」
そんな時ルクが声を上げると。
「そう言えば王都についたら警備の人に渡すようアシュレイから頼まれてたな??ハッハッハ」
ルクが封をされた手紙を差し出すと、それをみて警備員は青ざめる……。
「き、貴族様からの紹介状じゃないですか!!??何でもっと早く出してくれなかったんですか!!??」
「「『本当にな!!??』」」
ついに警備員と白銀の守護メンバーの心までもが1つになった!
……貴族の関係者。
対応を間違えれば下手したら打首まであり得るのだ!
本当に早く出して欲しかった……。
「ハッハッハ!」
「アシュレイも悪いわよね?もっと覚えやすくしてくれないと!」
「そうですね!手紙とか言っても普通忘れますからね」
「ニクと一緒にくれない金髪が悪いデスネ!」
こうしてルク達は無事身分証を手渡され王都デビューを飾るのであった!!
因みにゴルド達とは冒険者ギルド併設の酒場でご飯を食べている時にやっと合流した……。
「「「「…………あ!」」」」
全員同時に思い出した!そう言えば護衛で王都にきていたのだった……!
決して忘れていた訳ではない。ちょっとうっかりしていただけなのだ!!
「…………どうして先にルクさん達が中に入っているんですか!??」
「お前らもしかして飛び越えたんじゃねぇだろうな??」
「そんな事よりも早く天使が敵だって説明して来なさいよ??」
「そうですね、私達が言っても相手してくれませんでしたから……」
怒られそうな気配を察知し、すぐさま別の話題大作戦に移行!全力で天使の話を持ち出す。
「そんな事って……まぁいい、そうだな天使の件は重要な情報だ」
その日。
ゴルド達が持ち帰った情報と、以前から各国へ送られていたアシュレイの報告それらを照合した結果――。
ついに天使が人類の敵であることが世界へ公表されたのであった。
————————
大天使ヴァルセリオサイド
とある領主の屋敷にて、その大広間では数十体の天使達が跪き、大天使ヴァルセリオにこうべを垂れていた。
「ふむ、闇魔法を操る少年か……。危険だな……。」
ヴァルセリオは椅子に腰掛け、アゴに手を当てながら静かに思考する。
「共有された記憶によれば、あの少年は魂そのものを喰らっていたそうだ…………」
天使にとって死とは終わりではない。
魂となって帰還し記憶を共有する、それが天使という種族の強みであり絶対的な利点なのだ……。
しかし
「あの者がこのまま成長を続けていけば、300年前のあの悲劇。大魔王の再来になりかねん……。我ら天使族の悲願のため、かの少年は確実に排除する」
ヴァルセリオが部下の天使に目配せするとその少年の現在地が広げられた地図に示される。
「王都に止まっているようだな?」
「ハッ!私が行って始末して来ましょうか?」
腹心の言葉に冷たい言葉を飛ばす。
「馬鹿者が、少しは頭を使え」
………………フム、と思考を巡らせると。
「……王都には3つのダンジョンがあったな?」
「ハッ!レベル2ダンジョンが2つとレベル1が1つ管理されていた筈です。」
「それを使う、急に我らが敵対したとなっても長く続いた人と天使の共存、人間どもは疑心暗鬼になっている筈だ、まだ直接姿を表す時ではない……。」
「では…………?」
ヴァルセリオの手に禍々しいオーラをもつ黒い立方体のキューブが現れる。
「これを使う……。この魔道具をダンジョンコアに吸収させるとダンジョンの脅威度が1つ上がりダンジョンの魔力が暴走する。」
「……成程、スタンピードですか。流石はヴァルセリオ様です。しかしダンジョンレベルが上がるも人間達が犯人を入り口で確保する恐れがあるのでは?」
腹心の部下が疑問を浮かべると
そんな分かりきった事を聞くなと目で訴える用に睨みつけ……。
「フウハそしてガンハに命ずる」
「「ハッ!」」
「兵隊5名をつれ王都にあるレベル2ダンジョンを攻略、ダンジョンコアにこの魔道具を吸収させた後死体を残さず自害せよ!」
冷酷な眼差しで命令を降すヴァルセリオ。
ヴァルセリオにとって部下とは勝利の為の駒、故に勝利の為ならばその命を惜しみなく作戦に使用するのだ。
「「ハッ!全ては我ら天使族悲願のために!」」
「宜しい、準備にはどれ程時間がかかる?フウハ」
「ハッ!出発準備に2日、ここより王都まで人の姿で行くとなると1と月、そこからレベル2ダンジョンに5日程頂けると幸いでございます」
膝まづいたまま冷や汗を浮かべフウハが答える。
もしヴァルセリオの機嫌を損ねれば即首が飛ぶのだ。
「…………いいだろう、余裕を持って2ヶ月だ。確実に実行せよ」
「「ハッ!!!!必ずや!」」
「さて、王都ならば何もせずとも2ヶ月は滞在するだろうが念のためだ、何かしら足止めのイベントでも開くとするか……。」
クックックと笑みを浮かべるヴァルセリオ。
「ワイハ」
ヴァルセリオの言葉に控えていた美少女が前に出る。
「こちらに……。」
「足止めの為のイベントはお前に任せる」
広間にいた天使達が僅かにざわつきだす。
ヴァルセリオ自ら作戦立案を任せるなど珍しいことなのだ!
「私はお前のことを買っているのだ、私と同じ策略を得意としているお前を…………お前の知略を私に見せてみろ」
「…………かしこまりました」
ワイハは頭を下げ誰にも気付かれぬよう小さくため息を吐くのだった。
(…………失敗したら殺されるだろうし成功したらルク達が危ないって事でしょう?)
…………ふふっ、面白いじゃない?私の完璧な策略どんな風に見せてあげようかしら?
そうだわ?あれがあったわね。
「…………1ついい案を思いつきましたわ?」
「ほぉ?早いな……言ってみろ」
「ハイ、リバーシという遊戯なのですがそれの大会を王都でやるのは如何でしょう?情報によれば、あの少年達はリバーシの熱狂的な愛好家だそうですわ?」
「……ふむ、遊戯か……。本当に遊戯程度で足止めが出来ると?」
「はい。学園も冒険者ギルドや商人ギルドも巻き込みます。さらに賞金も用意し大々的にやれば日数は稼げるかと……。」
「……いいだろう。やってみろ」
「ハッ!必ずや!」
……ヴァルセリオは知らなかった……。
遊戯と言う名のリバーシは高ランク冒険者すらも集める超大規模な大会になってしまうと言う事を……。
(……ふぅ。私が今出来ることはこれくらいかしらね?)
「ダンジョンでの計画はこれでいいな……さて、念の為もう一つ策を練っておくか」
「私は先に準備に取り掛からせて頂くわ」
「宜しい。確実に大会を実現させよ」
こうしてルク達の知らないところで、大天使によるルクを抹殺する策が密かに動き始めるのであった!
――――
一方その頃ルク達はというと。
『おお〜〜!!!』
Sランクパーティー白銀の守護がお詫びとして用意した最高級レストランで、豪勢なディナーに感動していた!
これは無限に食べれるな!っとルクがいいだし好き放題食べまくる新魔団!
マナー?美味しいものを食べるのに気を使う事は、愚かな事なのである!!
王国の裏では天使達の陰謀が動き出しているというのに。
そんな事は知ったこっちゃないルク達の頭の中は、肉と魚とデザートでいっぱいだった!
……因みにその日の会計を見たキテツの顔は、真っ青になったのだがそれはまた別のお話である。




