第二幕 十二星座の死越者十三名、全員登場~約一名出遅れ気味だが気にするな~
何も知らないままこの作品のリンクをクリックしたそこの君!
演奏中に求人情報誌のタウンワークなり住宅情報誌のタウンズ読むのは別にいいけど、
それより本作に関して事前情報がないなら是非とも並行して原作『デッドリヴェンジ!』を読んでくれると有難いぞ!
何なら感想・レビュー・ポイントも貰えると凄く助かるぞ!
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あとカクヨム版はなろう版との差別化のために
各話末尾に用語解説が載ってるのでこっちもオススメだ!
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(前回と全く同じ文面の前書き)
俺の名前は北川ナガレ。
(全くどいつもこいつもイカレてやがる……『白金の不死者団』め、最高かよ)
前回に引き続き、パーティ会場のトチ狂った死人どもを紹介していくぜ。
まずは……
『うっ、ううぅぅっ……僕じゃダメだ……
やっぱり僕はあの組織には相応しくないんだぁ~~……』
(なんてこった、まさかの泣き上戸とは。
初めて見たぜ……
Biomeに投稿したら経験値2点くらい貰えねーかな)
酔った勢いでテーブルに突っ伏して泣いておられるのは
山羊座担当のマキシミリアン・エーレンベルク先輩。
ドイツ都市部のそれなりにロイヤルなファミリーに生まれ育った彼は色々調子こいて道を違えた挙げ句因果応報の形で命を落とし死越者として蘇生されたらしく、
基本的になんでもできる万能型の天才でアイドルばりに顔が良く高給取りとプラス要素の塊なんだが、
よっぽど過去のやらかしが酷かったのか自己否定・自虐グセが酷く言動がネガティブになりがちなお人だった(自傷癖とかはないからまだマシなんだが)。
『思えば僕自身が独力で成し得たものなんて何一つとしてないじゃないか……
全て周りの方々の手助けありき、僕はただ彼らの世話になっただけなんだよぉぉ〜〜っ……!』
(そら誰だって穿った見方すりゃ独力だけで成し得たもんなんざねーし、
何なら世の中なんて何かしらの自分以外のモンがなきゃ何も成し得ねぇヤツばっかだろっつー話なんだが……)
こういう時、普通なら慰め序でに先輩を立てるのが俺みたいなよくできた後輩の務めなんだろうが、
如何せんエーレンベルク先輩ともなるとそうも行かねぇ。
(というのも先輩、平素はやたら強い山羊座の特性と固有能力に加えて死越者随一の敏腕魔術師ってんで基本的にアホほど強いんだが、
ああやって精神的に不安定な状態になると能力や魔力の制御がガタついて暴発しちまうからなぁ……)
その上それで下手に被害が出ようもんなら『力の制御もろくにできずみんなに迷惑をかけてしまう自分に価値なんてない』って具合に余計落ち込んで更に状況を悪化させちまう悪循環に陥るからな……。
(だからみんな基本ああなってるエーレンベルク先輩には近寄らねぇんだ、触らぬ神に祟り無しつってな……)
その辺は団長さえ半ば諦めておられる程で、いざとなったらご自身の固有能力で強引にでも止めるがそれ以外は放置が原則なんだそうだ。
(ただ、世の中何事にも例外は付きもので……
要するに死越者ん中にも居るんだよ、そんなエーレンベルク先輩へ積極的に近付こうとする例外的なお方がなァ)
てか何なら放置すんのも大概キツいし、エーレンベルク先輩が病んだらば大抵の場合、俺含め殆どのメンバーはその方の登場を心待ちにしてるまであるワケで……
『……僕はダメなんだ……僕じゃダメなんだ……
そもそもこのエピソードだって、本編未登場の死越者を登場させて読者のみんなに知って貰おうってことで作者が書いてくれてるのに、
僕だけこんなみっともない姿を……本当に僕は何て屑だっっ……』
(別に他の面々も大概アレなんだがなぁ……)
寧ろカッコいい登場してたヤツほぼいねーよ……
と、思わず口走りそうになったその時。
『大丈夫に御座いますよ、マキシミリアン様……』
示し合わせたような絶好のタイミングで現れたのは、件の"例外的なお方"ことオーストラリア人で魚座担当のアラナ・ファロー先輩だ。
これまで紹介してきた女性死越者諸氏の例に漏れずスタイル抜群の超別嬪なのに加え、その美貌は雌淫魔とかの魔物系よりは精霊とか女神とかの路線……
つまりはガッツリ妖艶乍らそれでいて神聖かつ貞淑で清楚な雰囲気を纏っておられるんだ。
或いは本作がまともな作家によって書かれた売れ筋意識しまくりの異世界ファンタジーだったなら、ファロー先輩は女神や修道女・聖女辺りだったに違いねえ。
『うぅ……ファローさぁん……! でも僕はっ、僕はぁぁっ……!』
『気を落とさないで下さいまし、マキシミリアン様……
あなた様はご自身にできる最大限の献身をしたまでのこと。
それにより数多の命が救われたのなら、それは称賛されて然るべきことに御座いますわ』
『ぅぅゔっっ……!
ファローさんっっ……ありがどお、ござびばずっ……!』
(あっちはファロー先輩に任せとけばなんとかなりそうだな……
仮に彼女が良からぬハッスルに至っちまったとして、屋内ならまだマシだし……)
ファロー先輩とエーレンベルク先輩の仲は親密そのもので、『不死者団』はじめお二方を知る界隈じゃ専ら『恋仲てんじゃねーか』と実しやかに囁かれ続けている。
だが当人たちはその言説を否定していて、聞く所に拠るとどうやらお二方は『死越者同士の関係は許されざるものだ』と勘違いしてる可能性が高いらしい。
(挙げ句はガルゴノーツ団長さえ
『恋愛も性行為も法的・倫理的に問題が無ければそれでいい。
二人が恋仲だとしたらそれを公表しない理由が分からない』そうで……)
『白金の不死者団』は死越者各自の自主性と意志を尊重してくれているから規則なんざあってないようなもんだ。
ましてどこぞのサ眼鏡クソジジイが特殊詐欺のために作り上げた使い捨て偶像軍団の如く恋愛禁止のゴミ規則なんざ有ろうハズもねえ。
その証拠に……
『さ~じゃっちゃぁ~ん♥ サジャちゃぁ~ん♥
君は可愛いねえ~♥ ほんと君は可愛くてカッコ良くて最高の彼氏だよぉ~♥』
『っっ、た、タテハっっ……! ここ、は、あくまでも、公共の場にござるっ……!
公共の場で、ござるからしてっ! あまり過度な接触は控えるべきと拙者は考えるがっっ!?』
(……またやってんなァ)
実際、死越者ん中には互いの関係を公表して同僚の前で堂々とイチャつくバカップルなお二方が居られるんだ。
『んなぁ~んも~ぅ照れちゃってさぁ~♥ そゆとこが可愛いんだって話だよサジャちゃ~ん♥
てか別によくな~い? アリオン団長も
「公序良俗に配慮さえしてれば館内でイチャつくのはオッケー」って言ってたし~♪』
『確かに団長殿はそう言っておられたがっ!
これは流石に公序良俗に配慮できておらぬイチャつきでござろうっ!?』
(ほんと仲いいよなあ、斎川先輩とハン先輩はよ……)
そのバカップルってのがこちらのお二方……
俺と同じ西日本出身で蠍座担当の斎川タテハ先輩と、
韓国出身で獅子座担当のハン・サジャ先輩だ。
『そもそもだよ? 死越者なんて元来殆ど異常者か化け物しか居ないんだしさ、
まして年末の宴席だったらこのくらい許容範囲どころか推奨まであるくない?』
蠍座担当の斎川タテハ先輩は、ご覧の通り明るいノリで軽々しく暴言をぶちかます性悪の毒舌家で、
度々『死越者随一の外道』を自称しておられる程だ。
だが実際深く付き合ってみればわかるんだが、本来の彼女は誰より純粋で正義感が強く、仲間想いで愛や絆を尊ぶ好人物だ(ガチの毒舌が向くのは主に敵とか嫌いな相手で、味方へのそれは殆ど冗談程度の軽口だしな)。
ムカついた敵を必要以上に攻撃したとか、手の込んだ罠で敵を苦しめたとか、そんな逸話にゃ事欠かねえ。
そして何と言ってもこれまでの女性死越者と同じく、彼女もまたスタイルのいい別嬪だ。
方向性としちゃフオン先輩やロジャース先輩に近いだろうか。
顔立ちはショートヘアのボーイッシュ系で、胸囲はGだかHだか……
更に余談だが彼女はは性欲も凄まじく、
生前から身体目当てですり寄って来た野郎どもの悉くを不本意ながら衰弱させ撃退してきたとか……
(……何だ読者、『そんなんマジで淫魔じゃねえか』だあ?
俺も最初そう思ったが、なんとびっくり純粋な人間なんだなぁ……)
その癖彼氏にゃ一途で献身的……
と言えば聞こえはいいが要するに聊か愛が重いタイプだそうで、性欲の強さも相俟って今迄付き合って来た男に悉く逃げられる原因にもなっているそうだ。
その点、現在の彼氏であるハン先輩は色々な意味で再興に相性がいいのもあって溺愛しておられるのは周知の事実……。
先述の通り敵を罠に嵌めたり暗殺したりといった搦め手を好む傾向にあり、死越者としての能力もその辺に特化している。
頭の回転が速く鋭い観察眼で敵の行動パターンや弱点を見抜くのも上手いもんだから戦場では裏方に回ることが多いものの、決して直接的な戦闘能力も低かねえ。
『タテハよ、お主なあ……如何に紛れもない事実とは言え、仲間をそのように言うてはいかんでござろう。
そも、お主は年がら年中場所を問わず羽目を外し過ぎでござる。もう少し歳相応かつ立場を弁えた振る舞いを心がけねば……』
さてそんな斎川先輩の彼氏であらせられる獅子座担当のハン・サジャ先輩は、
普段の物腰こそ落ち着いておられるが、その実斎川先輩に負けず劣らずの個性的なお方でもある。
まず何と言っても目を引くのはその図体……死越者ん中でもぶっちぎりでトップの巨体を誇る。
図体がデカい死越者つーと他には牡牛座担当のロジャース先輩が思い浮かぶが、ぶっちゃけ彼女が持つ戦闘用の"仮の姿"をも余裕で上回る。
当然だがアーネストやフィオーナ店長よりもでけぇ。
まさに規格外の巨体……いやまあ、チャールズ老には遠く及ばねえけども。
数値的には"世界8番目の不思議"や"大巨人"の異名でお馴染み、
今は亡きフランス人レスラーの|アンドレ・レネ・ロシモフ《アンドレ・ザ・ジャイアント》氏に幾らか近いそうだ。
しかもこの巨体、当然死後の変異でデカくなったのもあるんだが、
どうやら当人曰く生前の時点で身長2m以上、体重150kg前後と凄まじい巨体を誇ってたらしい。
さてそんな巨体のハン先輩だ、当然乍ら見た目通り死越者随一の怪力を誇り破壊活動と近接戦闘の達人……
原則裏社会で恐れられる死越者にあって"特に敵に回しちゃいけねぇ内の一人"に数えられ、
本来男を完全に見下すスタンスを取ってる掌握派の連中さえ名前を口に出すのも躊躇う程に恐れ、
不殺主義の革命派が豚肉塩漬隊みてーな"軽々しく人を殺そうとするクズども"を戦力として容認してんのもハン先輩にビビってるからだって噂さえある(ちなハン先輩は昔、キレた勢いで掌握派の幹部をワンパンで即死させたことがあるらしい……ビビられてる原因絶対それじゃん)。
性格自体は堅苦しくて若干融通利かなかったりするけど基本的には優しくて穏やかな紳士なんだがなあ……。
そして巨体程じゃねえが特徴的なのがその喋り……
みんな読んでて違和感を覚えたんじゃねぇか? 『なんで韓国人が侍キャラなんだよ』ってさ。
これに関しては彼自身、韓国人らしからぬ(?)大の親日家一族の出身で、特に日本の時代劇や和風テイストのサブカル作品が好きだからってのがデカいらしい。
恋人の斎川先輩には普段から翻弄されっぱなしなものの彼女に対する愛はガチもんで、
斎川先輩が濃すぎるもんだから普通に見えるがその実大概狂気じみてヤバい域にあるって専らの噂だ。
(……だってハン先輩、斎川先輩が絡むとマジで性格変わるんだもん)
例えば昔ある現場で、敵が斎川先輩に化けて接近してきたことあったんだけど、
ハン先輩ったらすぐに正体を見破ってそのまま有無言わさず生きたまま真っ二つに引き裂いて殺しちまってんだぜ?
(あとはなんだ、確かタクシャカ先輩に聞いた話だったかな。
これまたアホな敵が斎川先輩そっくりに化けさせた使い魔を嗾けて来た時も
速攻でその使い魔ぶっ殺した挙句キレた勢いで隠れてた敵を秒で探し出して惨殺されたからな……。
しかもその時に言った台詞がやべえのよ……。
だってさあ『よくも拙者を彼女の姿をしたものと敵対するよう仕向けてくれたな』だぜ?
斎川先輩の彼氏なだけあるんだなぁって痛感したよなあの時は……)
序でに言うと性欲も斎川先輩と張り合えるレベルで旺盛、かなり強烈に絶倫であらせられるのだが、
然し恋人ができて結構経つ割に生前童貞のまま死んで死後にセックスを知ったからなのか未だに結構初心で恥ずかしがり屋な所があるのは既にご理解頂けたんじゃねーかと思う。
ただその反動なのか一度その気になっちまうとバテるまで延々止まんなくなっちまうようで、しかもバテて尚斎川先輩と戯れる程度の余裕はあるってんだからなんともはや……この方も実質雄淫魔な気がするんだが気のせいだよな?
『ったくもー、相変わらずお堅いんだからなぁサジャちゃんは……
そりゃ真面目なのは結構だけどさ~、少なくとも……
"こんなとこ"ガチガチにしながら言っても説得力ないんじゃなーい?』
『ぬっふおおっ!? く、かっ……た、テハっ……!
よ、さぬかお主っ……!
そのように撫で回されたのでは、
どう足掻いても意識せざるを得ぬであろうがっっ……!』
『えぇ〜? 意識しちゃってよくなぁ〜い? 別に減るもんじゃないし♥』
(いや減るだろ色々と……)
しょーがねぇ、面倒だがここはよくできた後輩として助け舟でも出させて頂こうじゃねーか、
ってな具合に立ち上がろうとしたその時……
『ぐおおおらああああぁ〜! 斎川にハンっ!
あんたらまたそうやって堂々とイチャつきやがってこのドスケベバカップルがぁ!』
『なぁんれすかぁ!? 彼氏いない面々へのあれつけれすかぁ!?
おねーさんそーゆーのゆるしまへんよぉぉっ!?』
(予定調和か……)
奇しくも寸前、飲み比べでもしてたのかかなりベロベロな状態のフオン先輩とカーマ先輩に割って入られた。
どうやら斎川先輩とハン先輩の様子に相当御立腹らしい。
(おっしゃラッキィィィィ! これで厄介事に巻き込まれず済むぜ!)
古今東西共通の事実として、素面が酔っ払いの相手をするのは困難を極める。
まして相手が目上や格上ならそれはもう地獄と言っていい。
つまるところ俺自身酔った先輩方に絡まれんのは正直御免だったワケで、お二方の介入はそれだけで有り難かったんだが……
『なぁぁんだいあんたぁ、このあたしと戦ろうってのかい!?』
『えーえーやってやりますとも! なんなら二人纏めて掛かって来れもいーですけどぉ!?
そのくらい今のあたしならぶっちゃけ余裕れすしぃ!?』
『……斎川さぁぁん? 今の発言は聞き捨てららないわねぇぇぇっ!?
そもそも貴女なんれぇ、毒さえどーにかできれば大して強かないろよぉ!』
『ヌゥ゛ゥ゛ゥ゛ゥ゛ゥ゛……カーマ殿ォ、
その暴言こそ余程、聞き捨てなりませんなァ?
そこまで仰有るのでしたらァ……ッィックッ……
実際この場で遣り合って頂いても構いませんなァ!?』
(やっべぇ、言い争いがエスカレートしてガチの乱闘騒ぎになっちまう……!)
よもやマトモそうだったハン先輩までもが暴走しちまうとは予想外だが、それはそれとしてこの四人がこの場で暴れようもんなら洒落になんねー被害が出るだろう。
(屋内は勿論、表へ出したとしても近隣には商業施設や工場、住宅なんかも多いから大勢死ぬぞ……!)
みんな酔ってりゃ加減もできまいし、それこそ『OK牧場の決斗』や『トランスフォーマー/リベンジ』の比じゃねえ大惨事になりかねん。
さりとて新入りの俺一人でこの危険な先輩方を止められるとは思えねぇ。
とすると必然、何方かに助けを求めなきゃならんがさて誰を頼ろうか……
(タクシャカ先輩はぶっ倒れて個室行き、団長も姿がねぇ。
ロジャース先輩は喧嘩好きで逆効果だし
サル先輩とヴァティー先輩もたまにテンションがおかしくなるから却下、
てかそもそもお三方とも酔い潰れて寝てっからほっとこう。
能力的に相性がいいのはエーレンベルク先輩、性格的にお誂え向きなのはファロー先輩だが……
お二方ともいつの間にやら消えやがったよ……!
チキショー、あの二人さてはあのままテンショ上がりすぎて個室でシケ込んでやがるな!?
乳児か愛玩動物、さもなきゃ侍女かRPGごっこかぁ!?)
さてそうなると残るは一人、天秤座担当の先輩なんだが……
(あの方は単純な性格に見えて愉快犯つーか情緒不安定つーか、
正直何考えてんのかイマイチよくわかんねーんだよなー)
俺は迷った。天秤座担当の先輩は概ねいい人だ。
豪放磊落つーんだろうか、明るく元気で頼もしいんだが、
同時にかなりエキセントリックなお方でもある。
奇行奇言も数多く、よくわからない動機から現場を引っ掻き回すような真似に及ぶような、そんな方なんだ。
(そんな方がまして酒なんて飲んでみろ、
何しでかすかわかったもんじゃねぇ)
最悪火に油を注ぐ、どころか火の上で煮え立つ鍋に投げ込まれ、そのまま"茹で蟹のボイル毒蛇添え"にされちまうかもしれねぇ。
(……だが待て。それがどうした。
こんなもん、4STのシイナ兄貴がこなしてきた地獄の企画に比べりゃどうってこたぁねぇじゃねーか。
特に異例の長丁場になった伝説の『ボコスカウォーズ裏技検証企画』に比べりゃカスみてーなもんだ)
てなワケで無駄に悩んだ挙げ句意を決して件の先輩に話しかけようとした……その時。
『ぉらぁくしなぁよっ斎川ぁ!
ご自慢の毒針とハサミをとっとと出しなぁ!?』
『言われ無くてもそーしまっすよぉ〜〜だ!
ったぁく、後で吠え面かいても知りまへんからn――――
『止さんか諸君っ!』
『『『『――――!?』』』』
『……――!?』
『……?』『――!』
(声掛けるまでもなかったな……)
斎川先輩の台詞を遮って響く、凛とした女声……
その場の全員を黙らせ、酔い潰れて寝てた面々さえ叩き起こしたそれは、
まさしく"鶴の一声"と形容せずに居られねぇ。
俺の独白から大体お察しかもしれねーが、
その声の主こそはまさしく……
『折角団長が拵えて下さった目出度い席で仲間割れなど……
渡世と魔界を震え上がらせる最強の不死者兵器が聞いて呆れるわ!
恥を知れィ!』
天秤座担当の死越者、朧トモエ先輩その人だったんだ。
次回、天秤座の死越者"朧トモエ"とはどんな人物なのか!?
そして問題解決をトモエに丸投げして楽ができると思っていたナガレにまさかの展開が!