野生ってなんでしょうね・・・?
おはようございます。一昨日、自宅に帰ったら何故か森の中にいた迷子の如月 悠です。不思議なことが多々ありますがまだ生きてます。救助とか地元の人と出会うとか期待してて大丈夫ですかね?そう言えば今ふと思ったんですが友人と会う約束をしていたし急に居なくなったら捜索願いとか出してくれますかね?それに玄関は開けっ放しですから泥棒さんがいらっしゃ~い!してないといいのですが・・・一応実家暮らしだったので家族は居なくなれば直ぐに気が付いてくれる状況なのですが・・・まぁ取り敢えず今は食料を確保でしょうか?持ってはいるのですが・・・自活は必要な気がします。・・・・・・今更ですが。
俺はいつまで生き延びられるでしょうか?サバイバルには向かない一般人ですし、ワイルドな生活などからはかなりかけ離れていた半引きこもりのような人種だったんですが・・・あれ?本気で大丈夫でしょうか?不安しかありませんが・・・・・・
目が覚めてから昨日運び込んだ箱の中の道具をじっくりと見ていたら不思議な現象がおこった。箱の中の道具を手に取ると使い方や説明文が頭に浮かぶ。その繰り返しで全ての道具に触れて確かめた。他にもキッチン等の使い方も触れるだけで説明文が透明なゲームのような画面で表示され理解できたが何故急に分かるようになったのかが不思議で仕方なかった。
でも説明文がちょっと曖昧だったり中途半端だったりする。説明文なのに・・・
例えば・・・〔キッチン台〕料理をする場所。料理道具が置いてある。様々な作業ができる場所。
〔使い方〕水晶に触れると蛇口が出て水が流れてもう1度触れると止まる。温度や量、形状は自己管理。自己責任。魔力消費は微少。
まぁそうだろうねって・・・キッチン台の説明文要らなくない?あとさ意味不明な形状はって何だ?しかも自己管理って・・・何?あとすごく気になるのは自己責任とかいう言葉がもの凄く気になるし何が起こるの?曖昧な説明に怖い表現があるんだけど・・・。
「よく分からないが、まぁ~キッチンとかの使い方が分かるのは助かるからあんまり気にしなくて良いか?」
キッチンも使えるようになったからと温かい飲み物でも飲みたいとは思うが此処にはお茶やコーヒーなどないしそろそろ温かい物が食べたくなる。取り合えず朝から果物でも採取して色々あった道具を使ってみようかなと簡単に今日の予定を決めた。
昨日までと違い触れば食べれるのか等の情報が分かるようになって採取は楽になったが何となく分かるようになったというだけなので結構曖昧だったりするが昨日までと比べれば楽になったのは間違いない。しかも昨日まで見つけられなかった湖の場所など周辺の地理が分かるようになっていたので昼ぐらいにもう一度行ってみようと決めた。
今日は雑草のような物や枝なども持ち運べるだけ色々な種類を採取していく。ある程度採取して家に戻り何気なく気なった扉の飾りに触れた時にパチッと静電気のようなものを感じて驚いて下がるとまた不思議な感覚がした。
急いで家に入り銀色の石を持って家の玄関扉に戻り目線の高さにある細工され隠されていた部分に触れて窪みに石を嵌め込んだ。するとガタッと音がした後に家が一瞬だけ揺れて銀色の光に包まれた。光が消えると簡単にサッとやっただけの部屋や手付かずの部屋の塵や埃などの汚れが一瞬で綺麗サッパリなくなっていた。
「銀で汚れがなくなるって・・・昨日の掃除の意味と道具が置いてあった理由はなんなの?・・・銀イオンとかそういう事?」
何か昨日の頑張りが無意味に終わったが気を取り直して昨日見つけた道具を出していく。乳鉢など昔の薬剤師が使っていたような道具があり、他にも実験で使うような道具など様々なものを今日採取してきた物と一緒にテーブルに並べると頭の中に使う材料などが浮かんでくる。その通りの手順と工程をこなしていくと一瞬だけ光って目の前には半透明な青い液体が入った蓋付きの瓶が出現していた。
「瓶はどこから?中身だけでなくて瓶は自動作成なのか?まるでゲームの世界だな」
液体の瓶を持ち上げると頭の中に傷薬という言葉が浮かび使い方も分かった。瓶に入った傷薬というと本当にゲームの世界に居るような感覚だった。この傷薬は飲むだけで回復出来るらしいが酷い怪我には効果が弱いらしい。それでも傷薬はいくつかあった方が良いだろうと同じ物を10個程作り他の組み合わせでは何が出来るのかと色々試しながら作り溜めた。出来たのは麻痺消しと毒消しが各5個ずつだが材料が足りなくてこれ以上は作れなかった。
集中しすぎて昼が過ぎていたので梨モドキを食べながら昨日出した箱から釣り竿を取り出して準備をして、湖に向かい出発したが途中に奇妙な生物が居た。
ーーー・・・マ~~~ーーー
何か声が聞こえた方に振り返ると二足歩行の馬が弓矢を担ぎながらこん棒を持って鳥を追いかけていたが異様な光景過ぎて何とも表現しにくいがゲームで見た事ある某有名なRPGのモンスターって感じだけど。筋肉が盛り上がっていてボディビルダー並で完全にポーズ決めてるやつね。まぁあれと違うのは手は蹄ではなく普通に人間と同じような手だったし、少しボロいけど白っぽいタンクトップみたいな服となぜかピッタリと体に密着してるハーフズボンを履いて腰にはポーチをつけていた。普通に2メートル以上ある体に弓と矢筒を背負いながらこん棒振り回して何か叫んで走っていた。いや、お前弓持っててなんでこん棒振り回してるの?しかも何か鳴き声が奇妙な鳴き声だったような気がするけど気のせいか聞き間違いだろう。
ーーーウマ~~~ーーー
気のせいとかではなく・・・鳴き声がウマ~~だった。
馬がウマ~~って鳴く。
何の冗談なんだ!?追っかけている鳥は祭りで売られたりしている鶏の雛つまりヒヨコのような見た目だが大きさは普通の鶏の三倍位あるし体の色が真っ赤だった。森の中で真っ赤なヒヨコって隠れる気は無いとしか言えないし、絶滅覚悟としか思えなかった。しかもまん丸いフォルムの体はボールか!って言いたくなる。野生としての生き残る確率は低くないか?
ヒヨコは逃げ惑うなか段々と追い詰められ遂には大きな岩に囲まれた場所に誘導されていた。ヒヨコが最後の抵抗とばかりに高く飛び上がり鋭い爪で敵に立ち向かうが馬に避けられてしまう。馬はこん棒でヒヨコを叩きつけた。ぐったりとして動かなくなったヒヨコを運ぼうとしている馬に関わらない方が良いとこの場から離れようと悠は後退りする。
ーーーバキッーーー
足元にあった小枝を踏み大きな音を響かせ、その音で馬は振り返り俺を見据えて襲いかかってきた。
「ちょ、ちょっと、まっ、て」
待ってくれる訳もなく、走り出した馬に慌てた俺は近くに落ちていた物を手当たり次第に投げた。馬は素早く避けてながらドンドンと距離を縮めて進んでくる。もう駄目だと思い最後に思いっきり力を込めて石を投げた。
ーーード~~ンーーー
有り得ない音を鳴らして馬のお腹にクリーンヒット!
馬は体をくの字に曲げてぶっ飛んでいきヒヨコを誘い込んだ大岩に大の字にくい込んだ。やらかした本人ですら何が起こったのか理解できずにキョトンとしていたが、馬が大岩にくい込んだまま動かなくなったのでもう一度野球ボールくらいの石を馬の近くで投げて胸に当てておいた。一瞬だけ衝撃で体が跳ね暫く待つと動かない事を確認する。
本人は気が付いてないが最後にとどめを刺すには十分な威力だった。
--- パリンッ ドサッ ピコン ーーー
軽い何かが割れる音と共に馬が持っていた荷物が大岩の下に落ちて来た。何事かと馬の方を見ると馬は跡形もなく消えていて落ちていたものは先程の馬が持っていた物だったので戦利品として頂いていく。他にも何か音がしたので悠は他にも何か来るかもしれないとその場から離れる為にイソイソと散らばった荷物を馬が持っていた大きめの袋に集めていくと、近くに横たわるヒヨコが小さな声でクィ、クィと苦しそうに鳴いていて悲しそうな目でこちらを見ていたので可哀想になり抱き上げて家に連れて帰る。真ん丸くて持ちにくかった。
外傷もいくつかあり弱っているのでまずは水で傷口を洗い流し、先程作った傷薬を盥に入れてヒヨコを入れて浸してあげると浸した傷薬が淡い光と共に消えていき傷口を覗くと少しだけ塞がり血も止まっていた。何度か繰り返していくと傷口は綺麗に無くなった。
「傷薬ってこんな直ぐに効果あるんだな」
傷は消えてもまだ苦しそうにしているので傷薬を指に絡めてヒヨコの口の中に入れ、舌にたっぷりと塗り込むと塗った瞬間に淡い光と共に消えた。暫く続けていくとヒヨコはクェ~っと声を上げてこちらを見上げて目を閉じてパタッと力なく倒れてしまった。
「えっ、死んだ?」
焦って傷薬をたっぷりと付けた指を口に入れると舌で舐め取った。
「あっ、生きてた。あ~~、焦った~。ビックリさせるなよ」
苦しそうな声もしなくなり気持ち良さそうに眠り始めたヒヨコはまだ自分で歩く力も起き上がる力も残っていないので、近くにあったカゴに家の回りに生えていた雑草を敷き詰めて寝かせてあげた。
暫く寝ているヒヨコの様子を観察して異常も無さそうだったので先程馬から貰った物〔正確には拾った物〕を馬が持っていた大きめの袋から出していく。その中には薬草なども沢山あったので先程使ってしまった分も含めて傷薬を作る。
辺りが暗くなってきたので今日こそは温かい物を食べたくてキッチンでキノコや今日採ってきた野草や木の実を細かく切っていく。キッチンにあった調理器具は見たこともない物が大半だが包丁やまな板等の同じような物も存在する〔形状は随分と違うが〕あとはコンロなどの使い方や調味料があれば何とか料理は出来る。
「やっぱり醤油やソースとかは無いよなぁ~」
あったのは塩、胡椒、香りの強い見た事もない草だったがキノコなどは軽く塩胡椒で炒めただけでもこの際食べれれば問題はないが主食がない。小麦粉などがあればいいがキッチンにはなかった。取り合えずキノコ炒めを作る。フライパンらしき物は平べったい形状だったけど鉄板だと思えばなんとか使えそうだがコンロは二つ横並びで強火と中火のみで調節は出来ない仕様だった。炒め物にはいいが煮込み料理とかはどうやってるのか疑問にはなるが何とか完成させたキノコ炒めを皿に盛り食卓に運ぶ。胡椒の香りが部屋に漂う。
「いただきます」
手を合わせて食事の挨拶をしてから昨日使って取っておいた割り箸でキノコ炒めを食べ始めた。匂いに釣られてヒヨコが目を覚まし動き出す。さっきまであまり気にしてなかったが見た目は確かにヒヨコだが色以外にも色々とギャップがありアニメに登場しそうなクリクリッとした目でこちらをジッと見ている。嘴の色は何故か緑だし足は黒くて爪が紫って毒々しいのですが・・・。まぁ体型がまん丸でコロコロしてるから可愛いのは間違いないのだが・・・。
「なんだ食いたいのか?」
問いかけるとクェ~っと返事を返してきたので割り箸で少しだけ取り嘴の前に持っていくとカパッと口を開けた。まるで親鳥に餌をねだる子供のようだ。可愛い仕草に癒されながら口の中に入れた。モゴモゴと口を動かしクェ~、クェ~と興奮しながらまた口を開けた。
「ははっ、美味しいのか?そんなに興奮するなよ体に悪いぞ?」
ヒヨコは顔を傾げて何が?と言いたそうに見つめてくる。そしてまた口を開けて【食べさせて~】とアピールしてくる。
「はいはい。今あげるよ」
苦笑いをしながらも可愛さに負けて何度か口に入れていくとやっと満足したのかふらふらと揺れながら歩き籠に戻るとまた眠り始めた・・・ヒヨコって鳥だけどああいうのも千鳥足っていうのかな?とどうでもいいことを考えながら怪我が酷かったのに凄い食欲だったなと感心していた。作った量の半分以上食べてしまったヒヨコを見つめながら減ってしまったキノコ炒めを食べ始めた。
「まぁ~これだけ元気があれば明日には森に帰れるかな?」
そんな事を考えながらキノコ炒めを完食して足りない分は梨モドキなどを食べて今日は就寝した。
ーーークェ~!クェ~!ーーー
日が登り始めた時間に騒ぎだしたヒヨコの声に叩き起こされた。聞いただけでも元気になったのは分かるし喜ばしいが安眠妨害は本当に勘弁して欲しい。
ーーークェ~!クェ~!ーーー
何時まで経っても鳴き止む気配が無く段々と声が大きくなってきたので諦めて起きると扉の前にヒヨコが居た。声が大きく聞こえる訳ではなく近づいて来て側で鳴いていたのだから五月蝿い筈だ。俺の姿を見るとパタパタと羽を動かして飛び跳ねる。どうやら飛べないらしく数秒間だけしか浮いていられない。そこは鶏と一緒なのだろうか?それともヒヨコだから飛べないのだろうか?等とジッと見ていると首を右に傾げてクェ?っと鳴くと今度は逆に傾げてクェ~っと鳴く。意味はあるのか何度も繰り返す。
「どうした?何かあるのか?」
俺も首を傾げてヒヨコを見ていたら急にヒヨコが嬉しそうにクェ~!っと俺の回りを走り回りだした。満足したのかダイニングに走り昨日用意したカゴの中に入った。昨日の怪我から随分元気になったようだそんなヒヨコの様子に思わず笑みがこぼれた。
「昨日の怪我も治って良かった。あんだけ歩ければもう大丈夫だろうし一緒に森に行ってみるかなぁ気分転換にもなりそうだしリハビリにも良さそうだしな後で連れ出してみるか」
朝御飯の準備をしながらヒヨコの様子を伺い今日の予定を考えながらキノコ炒めと梨モドキと昨日採取した野草で飲み物を作ろうと料理を始めると匂いに誘われてキッチンにきていたヒヨコは足元をチョロチョロし始めた。
「お前危ないな!あんまりウロウロしてると料理が出来ないから食べれないぞ?それが嫌なら邪魔しないでダイニングで待ってなさい!」
ーーークェ~~~!ーーー
驚いたように目を見開き大人しくダイニングに向かった。随分と食いしん坊のようだがヒヨコなのに人っぽい反応をするなぁ。雛だからなのか、雛なのは見た目だけなのかは謎ではあるが・・・。でも言葉は理解できているのか素直に従っているが。
料理を運んでいると長椅子〔長椅子と言っても丸太を縦にスパッと切り横置きしてに少し手を加えた物〕の上にちょこんと座って待っている・・・丸い真っ赤な物体・・・。待ち遠しいのか小さく左右に揺れている。
俺もヒヨコの隣に座ると俺を見て【待ってたよ!良い子にしてたよ!誉めて!】と目で訴えている。その愛らしくてどこか誇らしげな様子に思わず笑みがこぼれる。
「はいはい。良い子にしていて、エライ、エライ」
頭を撫でてやると嬉しそうに目を細めた。ふわふわとした柔らかい羽毛を一頻り撫でていたらお腹からグ~~!という大きな音が聞こえてきた。自分のお腹からの大きな音に驚いたのかビクッと体を跳ねさせた。
「ぷっ。あははは。そんなに腹が減ってたのか悪かったな待たせて」
キノコ炒めをヒヨコの口に放り込むと旨そうにムシャムシャと食べているその合間に俺も食べる。そして次に梨モドキと野草で作った飲み物を地下にあった食器の中にあったスプーンで口に入れてあげるという繰り返しをして食事を終えるとヒヨコは嬉しそうに寝床に戻り満腹になって膨らんだお腹を上にしてケプッと息を吐き出し寛いでいたが傍から見たらどう見てもオッサンでしかない。そんな姿を見た後で俺は書斎に向かった。
昨日から気になっていたが急に色々な事が分かるようになったのは手帳に触れてからだ。あの手帳には何かあるのではないと考えていた。もしかしたら自分の家に帰る方法なども分かる手がかりがあるかもしれないと思っていた。
書斎に籠り手帳を調べたが何も分からない。中は真っ白だし書斎にある本などの文字などは読めないし見ていると何となくだが意味とかは分かるが曖昧に分かるだけで完全に理解したとは言えない。
例えるとテストでカンニングしたから良い点とれたけど理解したわけではないという感じだ。・・・何か浮かんだ例が悪い気がするがパッと浮かんだのがそれだった。
しかも当てはまってるようで何か違う気がするが・・・。
「どうするかな・・・此処にある本の内容は分かるんだけどなぁ~。そういえば何か不思議な記述があったな」
本棚の本を漁り目的の本を見つけるとパラパラとページを流す。とあるページを見つけて止めた。
「便利箱・・・か」
便利箱と俺は思っているが実際には違うだろう。ただこの箱は色々と使える箱らしい。造るのには殆ど日曜大工だが材料を正確にしないと機能しないみたいでまず材料探しから始めなくてならない。効果は実際に体験しなければ分からない。
箱の大きさは様々で大きさによって製造出来る物が変わってくるし量も変わる。当たり前だが大きければ量産も可能だし色々造れるが小さいと量産は出来ないし造れる種類も少ない。但し小さいと置き場には困らないが大きいと置き場には困るので小さい方には小さい利点があり大きい方には大きい利点があるのでどっちが良いとかは言えないだろう・・・と書いてあった。まぁ普通に考えればそうなんだよなぁ~魔法で何でも出来れば便利だしこの箱だって要らないだろうし。
早速便利箱を造る事にした。材料は家の外で全て揃うので材料を探していく。半日かけてやっと材料が揃ったが昼を過ぎているし一旦休憩しようと家に帰ると玄関の扉の前でキョロキョロと回りを見渡しているヒヨコがいた。ヒヨコの姿を見た瞬間に森に一緒に行くの忘れてたなぁと思って苦笑いをする俺の姿を見つけるとヒヨコが一目散に駆け寄ってダイブして来た。
「うごっ!」
謎の言葉を叫び飛びついて来た丸い物体を強制的に体全体で受け止めさせられて思いっきり腹に衝撃が走るがそれよりも衝撃に耐えられずに離してしまった手に持っていた荷物が足の上に直撃してどっちの痛みか分からずにヒヨコに押し倒されたまま痛みで身動きが出来ず、目から涙が溢れるがやらかしたヒヨコは俺の腹の上にちょこんと座り顔を傾げている。
「お前は何すんだよ。痛いし!重いし!退きなさい!」
ーーークェ~~?ーーー
【えっ?何で?】みたいに顔を傾げて見下ろされました。こっちが君に聞きたいですよ。何で俺にタックルかまして腹の上に居座られているのか。疑問は尽きないが今は時間が惜しいのでヒヨコを無理矢理退かす。ちょっと強く横にずらしたら丸い体でコロコロコロっと何回か回転して転がって行った。
ーーークェ~クェ~ーーー
置いていかないでと鳴きまくり後ろからダッシュしてくるヒヨコに危険を感じた俺は・・・。
「俺に飛びついて俺が怪我したらお前のご飯はないからな!」
ーーークェ~~!!ーーー
驚いた顔と共に急に立ち止まり困惑してグルグルと時計回りに回り始めたので俺は無視して家に入る。俺の動きに気がつき後を追うが一足遅く俺が先に入って扉から手を離した時に扉の重みで勢いよく動きヒヨコの目の前でバタンッと閉じて、勢いよく走り飛び込んできていたヒヨコは顔からぶつかってズルズルと扉にそって下がっていき地面にも思いっきり体をぶつけ扉の前で泣き叫んでいた。漫画のような展開だったが間近で見るとは思わなかった。
俺は何やってんだかと少し呆れつつも食事を作り完成して食べようとした時にやっと気がついた。
「あれ?ヒヨコは?あいつ何処行った?」
ヒヨコは家の中には居ないので体が良くなって帰ったのか?とも思ったが一応外も見てみるかと玄関の扉を開けると鳴き疲れて眠っているヒヨコが居た。
「お前何で扉の前で寝てるんだ?」
俺の声で起きたヒヨコは目をウルウルさせてからキッと睨んで【ヒドイッ!】って顔して見上げてきたが俺にはなぜ?と疑問しかなく謎なだけだった。そして俺は不可抗力だがヒヨコを閉め出していたのだった。
玄関の扉は中からは外開きだから押せば出れるが外からは引っ張らないと入れない。ヒヨコに取手を掴んで引っ張れるわけはないし嘴でも無理だろう。
「ごめん。悪かった」
素直に謝りヒヨコを中に入れてご飯をあげれば機嫌は治っていた。満腹になったヒヨコは当たり前のようにまた籠の中に入って眠っていた。
単純と言うのか現金と言うのか・・・タップンとしたお腹を仰向けにして寛ぐ姿を見て少し心配になるが今後は一緒に居るか分からないのでスルーする事にした。何とも平和で和む光景だしね。
さて・・・やっと落ち着いた所で忘れそうになってた物を作製し始めたが思いの外あっさりと出来てしまった・・・。
造ったのは《便利箱》で大きさは高さが約30㎝の直径約10㎝の真四角の木箱で回りには細かく掘ってある模様と蓋が閉まる細工になっており、内側は石が嵌まる細工に回りは魔方陣の様に様々な文字などが刻まれているがこう細工すればいいというだけで正確には文字なのかなどの判断は出来ない。
イメージとしては一般的な500mlのペットボトルが縦に入る箱の大きさだ。大きさは様々な大きさが作れるが今はまだお試しで造ったので小さめにしてみた。指定の拾ってきた石を粉にして練り、掘った模様に塗り込み乾かしてから水で洗うと掘った部分だけが黒く色づいていた。最後に薬草で作った薬品を、全体にまんべんなく塗り乾かして完成した。
「造ったはいいけど・・・何を入れるか・・・」
ここで生活を始めて数日経っていたが殆ど開けたことのない自分のバックを漁り始めてある物に気がついて箱に入れた。誰もが一度は口にした事のあるかもしれない某有名なメーカーの赤いラベルの黒い炭酸飲料だった。まだ開けてはいないが冷やしてないので飲んでいなかっただけだった。
蓋に石を嵌め込み蓋をカチッと音が鳴るまで閉めれば後は1日待つだけでいいのでお手軽だ。どうなるかは明日のお楽しみ・・・。
そんなこんなでゆっくりまったりと1日を過ごしたのだった。この後夕食をしっかりとヒヨコに作らされ、足りなかったヒヨコに催促され夜食まで作らされたのだが・・・。
そんな何気なく過ごせていてあんまり困ってなさそうなんだけどと言われそうな状況になっており悠自身も凄く楽しんでいるし何よりヒヨコは幸せそうにしてピョコピョコと弾んでいたりしてコイツら平和だなぁ~と言わずにはいられない生活を楽しむのだった。
・・・悠は帰る気持ちはあるのかな?というか本当に帰る気があるような生活してるようには思えないのだけど?楽しんでいるからいいのかな?など本人には聞きたくなるような疑問しかない状況になっているのだった。




