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人を探して・・・?

      

               

 緩やかな坂を登り一軒家に到着し家の横に広がる空き地に車を止めてゆっくりと車から降りて周囲を確認すると、家の後ろは崖のようになっていてずっと奥まで広がる雄大な森の景色があり、小高い場所から見渡す景色が圧巻だった。



自宅に帰宅後玄関を開けっ放しで車の荷物を取り出そうとしたら急に車が動いて気が付いたら何故山なのか混乱していて思考が全く機能せず、最近では自然に触れることもなくなり、大自然の中に居るだけでリラックスし、少し冷静になった頭で今はっきりと分かることはここは見たこともない所だという事と日本ではないという事だった。そう断言できる要素があるのは遠くで飛んでるいるのカラフルな鳥が変わっていたからだ。カラフルなら地球にもいるだろ?って思うだろ?でもな・・・ピンクの頭に黄色と青と緑の体が遠目からも分かるっていうのは大きさもかなり大きいのではないかと思うんだよね・・・そしてもっとも特徴があったのは鳴き声が・・・


『なんでや~なんでや~気にすんなぁ~・・・ってかぁ~』


・・・いやいや、普通に気になるけど!?お前何なの??っていうか鳴き声なの!?会話なの!?オウムもびっくりの流暢な声だな!!・・・ふぅ。よしっ!なんか気にしたらきりがないから次いってみようかな。




「すみません~誰か居ませんか~?」



家の前で声をかけたが返事はない。誰も居ないのか?おそおそる扉を開けた瞬間ーーー。



  ーーー ブワッ~ ーーー



目の前が真っ白な粉みたいなものが舞い上がった。



「うおっ、目に入った。ゴホッ、ゴホッ。思いっきり吸い込んだ・・・ほこりか?」



そこは何年も使われていないのか埃にまみれ白っぽくなっていた。誰かがここで生活をしていたような痕跡こんせきはいくつか残ってはいたが今は使われている形跡は一切無いので住人が亡くなったか、手放したかしたのだろうか。



何年も使われた様子がないのなら山に登った時の休憩所ということも無さそうだ。



「山にある家って山小屋やログハウスって感じの木造のイメージなのにこれは三角屋根のレンガ造りの家って何か普通に民家だな。まぁ俺の山小屋のイメージが偏ってるんだろうけどさ」



家は洋風な建物なのに中は意外にも入って直ぐに日本と同じように玄関があった。靴を置く棚があり玄関からすぐに廊下があり扉がいくつかある。真っ白な床に靴下で上がるのには抵抗があり仕方なく靴のままで上がった。1番近い扉を開けると大きな(リビング)(ダイニング)(キッチン)でレンガ造りの暖炉や少し広い対面式のキッチンが目にはいった。板張りの床が奥まで続き、1歩1歩と歩みを進めると雪の上を歩いたように一面に広がった白い床に足跡がつき歩いた場所がハッキリと分かる。そして歩けば埃は舞うわけで直ぐに窓を開けた。



「あれ?何か見た目の家の大きさよりは中が広い気がするけど・・・気のせいか?」



奥の方へ進むと突き当りに上へ上る階段が見えた。奥の方から左右に分かれていくつか扉があり、一番手前の右の扉からベットのある部屋(寝室)、部屋全体飾り気のないベットがある部屋(多分客室)が2つ、お風呂らしき部屋、階段を挟んで反対側の左の奥から同じような客室が2つ、多分トイレだろう部屋が2つ、棚が多く設置されている保管用のような部屋と人が生活をするために必要そうな部屋や設備は一通りあった。だがやはり誰も居なかった。まだ手前の方に扉が2つあったが埃っぽくて喉がいがらっぽくなり水が欲しくてキッチンに戻ったが、どうやって使うか分からず水を出すことが出来なかった。



キッチンなどの水回りの水はどうやって使ってたのか、蛇口も無ければ水桶のような物もない。ではどこからか水を汲んできたのか?ではその水はどこに置いていた?どう見ても水を溜めておける場所がないのが不思議だがこの際考えても答えが出ないので諦めた。人は諦めが肝心というしね。



誰も居ないし使ってないと思われる家を何日も借りようと(不法滞在を)勝手に決めて、1日居るだけで全身真っ白になりそうな家をまずは掃除をしないと体に悪影響しかないと思い直ぐに行動に移した。



「まずは山のどこからか水を探さないとなぁ~・・・飲むにしろ、掃除するにしても水は大事だよな~」



まだ開けていない手前の方の扉を開けると1つは地下に降りる階段があった。もう1つは書斎だったのか奥には机や椅子があり、左右の壁には大きな本棚が設置されており、ぎっしりと本が並べてあり、床にも本や書類のような分厚い紙の束や見たこともない道具が散乱していた。



「掃除はどうやってしていたんだ?」



家のどこにも掃除用具のような物は見当たらない地下室もいくつかの部屋に分かれていたが殆どの扉は鍵がかかっていて開かなかったので完全には確認はできなかった。まさか掃除はしないという事はないと思うのだが、仕方ないのでまずは水源確保のため家周辺に川などの水場がないか探してみることにした。まずは荷物を盗まれないように車に積んである荷物を蓋が出来るラゲッジボックスに入れてさらに上から見えないように布を被せて荷物を隠してから外に出て、空を見上げると日が登ったばかりなのか真上まではきていないので昼前なんだろうなと推測し探索を始めた。本当なら車で行きたいのだが周りは森で人が1人通るのでやっとな道幅なので諦めるしかなかった。



「水を確保したいが、川は見当たらないし、あったとしてもどうやって持って帰ってくるかだよ」



考えていても良い答えは出ないと諦めて周辺を調べ始めると水は見つからないが、所々に食べられそうな木の実やキノコがあった。持てるだけ持っていこうと採れる範囲で採りながら進んでいく。空を見上げて太陽の位置が真上よりも横に傾き始めているよう見えたので一度戻った方が良いと判断して家に戻ってきたが結局水は見つけられなかった。家に入ろうとした時にあるものに気がついた。



最初は家の正面からだったので気がつかなかったが家の裏手に小さな物置みたいなものを見つけた。そこには数十種類の綺麗な石が入った袋や大きな壺があり、ほうきや小さい(たらい)に布きれがあった。その他に布で巻かれた物がいくつかと大小の木箱もあった。布で巻かれているものや木箱は今すぐに確認する必要はないとスルーした。



「掃除用具あった~!って壺でかいな・・・仕方ないか」


壺がでかいのはどうしようもないので盥に木の実など採ってきた物や入る物は入れて1度家に戻り、大きな壺は重くて持ち難くて大変だったが何とかダイニングに運べた。ここで頭を使えば良いのだが重かったので適当な場所に思い付くままな壺を置く悠は全く気がつかないがこの後に致命的なミスをするが、悠は咄嗟の判断は効率の悪い方を選んだりする。



「綺麗な石だなぁ~それに壺も割れてないみたいだし後はどこかで水を確保しないとなぁ~・・・うん?」



一緒にあった綺麗な石や箒とかを見ながら不思議な事に気がついた。物置に入っていて箒や布きれは埃だらけで汚れていたのに石や壺や盥まで一切の汚れもなく新品の様に綺麗なのだ。



「これだけ綺麗な状態のままって何でなんだ?他のは何年も経っているがこれだけ時が経ってないみたいだ。まぁ~水が確保できた時に溜めるのには使えるし気にしなくても大丈夫だろ・・・うぅん?」



壺を観察すると側面にくぼみがあった。丁度一緒にあった綺麗な石がまりそうな大きさだ。これは嵌めてみるしかないと試す事にしたが。



赤、青、黄、緑、白、黒、紫、茶、橙、金、銀、銅、虹、透明があったので、まず壺に赤から順に入れていったが白まで入れても反応はない。



「う~ん・・・何にも起こらないなぁ~石とは関係ないないのかなぁ~でも一緒にあったしなぁ~」



嵌めてない石を何気なく触っていたら透明な石を手に持っていた。透き通った綺麗な石だなぁ~と眺めていたが不意にこれなら何か反応があるかもしれないと思い嵌めてみた。すると今までは鳴らなかったカチッという嵌まった音が聞こえた。



「おっ!正解か?」



だが変化は何も起こらなかった。壺の色とか外見も変化なし、はぁ~とため息がでてしまった。もう少ししたら反応が有るかもしれないとじっと壺を見つめていたが変化は起こらない。



 ーーーゴポッ・・・ゴポッ・・・ーーー



諦めかけた時に壺の中から音がした。覗いて見ると透明な水が小さな噴水のように湧き出ていた。よく見ると側面の石から淡い光が点滅しその光に反応するように水が音を立てて壷の底から湧き出ていた。みるみるうちに水は溜まり恐る恐る手を入れると少しだけ冷たくまるで井戸水か湧き水の様だった。水を手ですくい上げて口に入れると雑味がなく美味しかった。そして数秒後には水は壺にたっぷりと溜まっていた。八分目位の水位になったら光が消え音が止み水が止まったので溢れる事はなかった。



「何だかよく分からないが水は確保できたし今日の寝床だけでも綺麗にしないと・・・盥はあるけど水をどうやって取り出す?」



今更過ぎる疑問な気がするが回りは埃を被った物ばかりで壺に入れたら一瞬で汚れて飲めなくなる。



「キッチンに何かなかったかな?確か柄杓ひしゃくみたいなのあった気がするし汚れたら石外して水入れ換えるしかないな」



単純な思考はあまり考えずにその場の勢いで決めていくが良い意味では行動力がある。キッチンに行き柄杓を持って来るとボチャッと音を立てて壺の中に入れる。すると柄杓が一瞬光ったと思ったら汚れがなくなり、壺の中の水も透き通った綺麗な水のままだったのだ。



「汚れがなくなった?何で?」



その疑問の答えは考えても分からないのでそういう物だと割り切り、盥に水を移して掃除の準備をし寝室に移動した。



ベッドには布団などもあったので近くの窓にかけて徹底的に叩いて埃を出していく。必死に掃除をして床や壁も綺麗になった。寝床は確保できたと満足した途端にお腹がグゥ~っと鳴ってしまい、此処に来てから何も食べていなかったと思い、先程採ってきた木の実を食べようとキッチンに取りにいき、木の実を洗おうとして重要な事に気がついた。



「あっちゃ~。水の入ってる壺ってダイニングじゃん・・・。入ってない時でも運ぶの大変だったのに・・・失敗した」



最初からキッチンで使うのであれば運び込んだが、何だか分からない物だったので何も考えずに行動したのがまずかった。後先考えて行動するタイプではないのがよく分かる。だが水を入るのに使えるなぁ~と考えた時点で運んでも良かったのかもしれないが、水が涌き出てくるとは深く考えなかった結果だった。涌き出てこなかった時に水をどこかで確保しても運ぶのに面倒な事はあったが結果としては大失敗だ。



キッチンで深めの器を探して木の実と一緒にリビングに運び器に水をいれて木の実を洗う。木の実は見た目は梨で色は青なのと柿みたい見た目なのに色は茶色だった。色はともかく見た目は見たことのある果物だったから食べられかもと採ってきたが実際に食べられるのかは不安だ。



「さて・・・食べてみるか・・・まずは梨モドキ、いただきます」



一口かじった時に口の中で違和感と共に味が口の中に拡がった。



「・・・オレンジ?」



見た目は梨みたいなのに味はオレンジだった。かじった瞬間に柑橘の香りと甘味や酸味が果汁となって口の中に拡がる。旨いのだが見た目との違和感があり戸惑う。だが腹が減ってるのでこの際気にしても仕方ないと3個をペロリと完食していた。違和感がどうとか言ってる割には結構食べていた。



「梨モドキは食べれたし、柿モドキもいけるかな?」



次は柿みたいな物を口に入れ時だった。



「にっげ~~。何だこれ?めっちゃ苦い」



柿モドキは口の中で苦味が残りとても食べられそうにない。慌てて水を飲んで口の中の苦味をとる。



「あぁ~~まだ口の中に残ってるよ・・・これはダメだなぁ~普通に食えない・・・でもこれってチョコレートみたいな香りとかした気がしたんだけどもしかしたら甘味をつけたらいけるか?」



そんなこんなでいつの間にか外は日が暮れ始め、家の中は明かりがなく窓から入るオレンジの光が消えたら、ほのかな月明かりしか夜にはない。常に何かしらの明かりがある生活をしていた俺にとっては完全に暗くなると何も出来なくなるだろうし、今やらなきゃいけない事はないので明日にはもっと広範囲で周辺を調べてみようと方針だけ決めて今日は早めに寝ることにしたが寝る前に隠していた荷物を思い出して慌てて回収にいって暗くて前も足元も覚束なくて転んで結構打ちつけて数ヵ所青あざになったのはちょっと悲しい思い出だ。慣れない場所だったからだと言い訳を心の中でしたがむなしいだけだった。




・・・とまぁ、普通の精神と常識があれば初めて見た木の実を毒とかの心配をせずに何個も食べて寝るという事が、他人が見れば慎重さが足りないが悠は自分が普通だと思ってるので、自分が間違ってるとか常識がおかしいとかは思ったこともないし疑問も浮かばない。だからこんな行動が出来るのだが、それが悠の強みでもあった。だからこそ人の家でグゥスカと寝息・・・という名のいびきをたててものの数分で熟睡することができるのだ。



1日の出来事をまとめると、玄関を開けて自宅に荷物を入れようとしたら郵便物が車に入り込んで気がつけば森の中にいて訳も分からず、彷徨って辿り着いた民家に人はおらず、頼れる人も居ないなかで見た目だけで食べられそうな果物を食べて、人が居ない民家を掃除して勝手に寝泊まりの準備をしてやりたい放題の悠なのだが、まとめた1日のなかだけで結構やらかしてる感じがある。



これからどんな出来事や出逢いがあるのだろうか?自由奔放な悠の生活はまだまだ続く・・・。







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