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イディアハルモニア  作者: 金柑


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33/48

第30音「それぞれの」


合宿10日目


とうとう最終日だ。


夜に出て、船の中で一泊。


飛行機で東京へというスケジュールだ。


教授は


「お疲れさん!!よく頑張ったな」

「今日はとことん遊び尽くせ!!」

と言ってくれたけど


俺達は

「…午前中だけ、合わせてはダメでしょうか?」


「こ、こんな設備で、れ、練習できるなんて中々ないですし…」


「そうね、もう少しだけやりたいわね」


「申し訳ないです、教授。どうかお願い致します」


「ねぇ、良いでしょ、教授〜♡」


「「お願いします!!」」




追加の練習をお願いされてしまった。


まぁ、気持ちはわかる。


茜とルーカスは何か感じてるみたいだな。

フィーリングとテンションで

生きてるような2人だ。違和感は感じるだろう。


「はぁ、分かったよ」

「午前中だけだ」


しぶしぶ俺はOKを出した。


「「ありがとうございます!!」」


…見守るって決めたからな。


…どんな結果になったとしても。




俺達はここでの思い出をぶつけるように


最後の練習に没頭した。


…大丈夫、


このまま東京に戻って練習続ければ


きっと。



午前の練習を終え、


俺達は、それはもう遊びまくった。


西田を浜辺に埋めたり


ヒロミを崖から突き落とそうとして

反撃にあったり


ルーが一心のふんどしを解いたり


由希子と茜が

木下さんをバッチリメイクと

パッド盛り盛り水着にしたり


まどかが「水飲んで〜」とか言ってたり


弘が暑さでダウンしたり


そんなみんなをマリアが写真撮ったり


今度こそスイカ割りをしたり



……


俺は、忘れないだろう。


……



佳代のその凶器を


茜の豊潤な桃を


由希子のパーフェクトなバランスを


マリアの情熱を


まどかの輝く肢体を


それと、木下さん


……


水着浴た 目の福拝み

拝みつつ 命を伸ばせし

夏ぞ恋しきかな…



夕方になり、


BBQの準備をするやつ


最後にって散歩するやつ


ホールの掃除をするやつ


黒服さんとの涙の別れをするやつ


そういや、教授がいないな?


「渚さ〜ん、教授見ませんでした?」


「さぁ?」

「あっ!う〜ん。多分あそこだと思うけど…」


……


渚さんに教えられたのは、

まどかのあの崖だった。


ガサガサ


いた、教授だ。


「教授〜、そろそろ飯っすよ〜!!」


教授が気が付いたようだ!


「おぅ、斗真!ちょっとこっちこい!!」

「はい?」

逆に呼ばれた俺は、小走りで

教授と「お墓」へ近づいて行った。


「良かったら、手合わせてくれないか?」


「お知り合いですか?」


「ちょっとな、大切なヤツだったんだ」


「ここにはいねぇよ」

「俺のエゴで建てたんだ」


「へぇ〜、よほど大切なご友人だったんですね!」

「俺で良ければ、喜んで!!」


「悪いな、

1人より2人の方がアイツも喜ぶだろ♬」


キュポン


教授は、お酒を開けてお墓に振りかけた。


どんな関係なんだろ?

教授の悲しそうで、嬉しそうな表情を見て、

俺は手を合わせた。


(陽向、また来るわ)


風の音で良く聞こえなかったけど、教授は笑っていた。


……


その後BBQパーティで


今度こそ3人がかりでヒロミをプールに叩き落としたり


茜が寂しさで泣きだしたり

つられてまどかと木下さんが泣きだしたり


由希子が黒服さんをナンパしたり


一心が食い過ぎで吐き出したり


そんなみんなをマリアが写真撮ったり


最後に汚れて汗かいたから風呂に入ったり


ドローンで突撃した弘が見つかり


男子全員正座で怒られたり


満喫したよ!!


ーーーー


ボォーーー


船の汽笛が聞こえる。


「さぁ、みんなこれにて合宿は終了よ!!」


「私と教授は残ってやる事があるから、明後日には東京に帰るわ」


「皆んな、家に帰るまでが合宿よ!

気をつけて帰るのよ!!」


渚さん、そんな小学生相手みたいに。笑


ん?


茜と教授が何か話してる。


まぁ、良いや。


すげぇ、充実した合宿だったと思う。


まどかの事も、あったけど

より一層一つになれた気がする。


俺達はどんどん上手くなっている。


待ってろよコンクール!!


俺は帰りの船に乗り込みながら


決意を新たにしていた。



ウチは心に残る違和感を

このままにしたくなくて

帰る前にせんせーに話をした。


今聞かないと、違和感に飲み込まれる。

そんな気がしたから。


「ね、ねぇ、せんせー」

「ん、どうした茜?」

「…ウチ、上手く言えないんだけど…」


「大丈夫」


ウチの頭をグリグリしてきた。


「多分、あってるよ。お前のその気持ち」


「だけど、お前なら分かるだろ?」


あっ、やっぱり!!


「うん、でもこれって」


「俺はお前らを信じるって決めた!!」


「全部大事な事なんだよ」



せんせーは笑ってる。


……


ウチにも覚えがある。


あの時はピアノの先生が教えてくれた。


「茜ちゃん、ヤバいね。すごい上達!!

だけど、ピアノを楽しむ事忘れちゃダメだよ」


「上手くなるなんていつでも出来るの。

だけどピアノを始めて、楽しいって気持ちは今が1番大事」


「楽譜なんて、気にしないで!

もっと自由に奏でて、茜ちゃんの『音』を」


って、



「分かった、ウチはウチで頑張ってみる!!」


ウチは船へと向かって走り出した。


「おぅ、お前らしくな!!」


「コケるなよ〜!!」


バタン


「いった〜い!!」


……


船に乗り込み、出航を待っている俺達。


短いけど、濃厚な10日間だった。


まどかとヒロミの衝突。


あれは、凄かった。


だけど、もう笑い話だ!!


雨降って、地固まるってヤツだな。


そんな2人はデッキで教授達に手を振ってる。


……


一心はBBQ食い過ぎですぐにトイレに駆け込んで行った。

あいつコーヒー牛乳でも同じ事してたな。

お腹弱いのかな?笑


西田とルーはバーで飲み出してる。

今回驚いたのはこの2人がすげぇ仲良くなった事だ。

まぁ、2人共方向は違うけど、

一本筋の通ったヤツらだ。


あっ、弘も来た。


俺も後で参加しよ!!


佳代は、泣いてる木下さんを慰めている。

2人とも変わったよな。


佳代なんかは、変わったってよりも抑えていた物が爆発したって感じか?


木下さんも自分の意見とか

言うようになったし。


水着とかだって頑張ってたよな。


由希子は

「パックして寝るわ」

って、即部屋に入って行った。


……


マリアは相変わらず写真撮ってる。


「な、なぁ、マリア?」

「ハイ、どうしましたトーマ??」


「なんか合宿中、ずっと写真撮ってたけど…」


「大丈夫デース、私の趣味です」


「それに、

いつか思い出したいじゃないでーすか?」


「デジタルフォトはダメデース、こういう大事な思い出はフィルムに限りまーす!!」


「…」


「そして、

思い出さなくても良い写真はこちらでーす!!」



「こ、これは!!」



そこには女性陣皆んなの写真が!!


しかも、水着だけではなく

風呂上がりや、男には見ることのできない、

素顔の、ナチュラルな瞬間の写真たち!!



「い、いくらだ??」


「一枚、500円デース」


「ご、500円!!」


「…」


「安いな全部もらえるか?」


「毎度でーす」


「へ、変な意味じゃないんだが、

マ、マリアのはないのかな??」


「そこで、

直接言えるのがトーマのいい所だと思いま〜す」


「ぷ・れ・せ・ん・と、デース♡」


「いいのか!!」


「私、自分の写真でビジネスはしませ〜ん」


……


「あ、ありがとう、マリア!!!!」


俺はマリアに代金とお礼を言って

バーで飲んでる奴らに合流した。


「あんなに、

素直に喜ばれると逆に微笑ましいデース!!」



「ヘイ、ニーシダ、一枚1000円よ。どうする?」


「こ、これは!!」


……


俺達の短いけど、濃厚な10日間が終わった。


技術

自分自身


それぞれの成長。


それを合わせる事で、俺達はオケとして

一つ上のステージに上がれたと思う。


年末まで、時間はあと僅かしかない。


毎日が特訓だ!!


遠ざかる島を見つめながら


そんな事を思っていた。


……


ーーーー

次回 第31音?

「あの日の音」


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