49 ジェラシーを募集中
わわわ!!ブックマークに評価まで!!ありがとうございます。評価初めてですごく嬉しかったです。星5いただいて有頂天です。頑張って書いていきますね。
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手に入れた。結ばれた。
私は愛しい人の寝顔を眺めながら、幸せを噛み締めていた。柔らかい寝息。ほんのりとピンク色に染まった肌。私の妃は本当に美しい。
初めは怖がっていたが、どんどん気持ち良くなっていく妻の姿が何度も頭の中で再生される。
幸せだ。だが、怖がらせてしまったのは失敗だった。次の人生は妖魔の血など入れずに初めから人型を保てるようにしよう。
「でも、本当に気持ちよさそうだったね。スライムは好き?」
語りかけてみるが、深く眠っているようで反応はない。唇に触れる。少し乾燥している。私は魔力を使って、とろりとしたオイルを垂らす。それをそっと指で伸ばす。可愛い唇が、官能的な艶を帯びる。
「ふう。」
愛しい。こんなにも私の心を支配する人。
「怖がらせたお詫びに、君を喜ばせてあげたいな。君のネットの部屋を早くあげなくてはね。いや、あれは前からの約束だ。今回の分は何が良いだろう?」
トントンと扉がノックされる。
「失礼いたします。アルス様がおいでですが、いかがいたしましょうか。」
アルス?何の用だ?
「人払いして客間に通せ。すぐに行く。」
「賜りました。」
私はリンダの肩まで白い毛布を被せ、愛しい肌を隠した。
「行ってくるよ。目覚めて夫が居ない、なんて寂しい思いをさせたくないから、眠っていてくれると嬉しいな。」
優しく額にキスをしてから、キャンドルに火をつけて甘い香りの立たせる。少しは睡眠効果があるものらしい。術をかけられるのを嫌がる人だ。出来るだけ心地よく居て欲しい。
私は衣服を整えて客間に向かった。
「ご結婚おめでとうございます。」
「ああ。それで何の用だ?」
挨拶代わりとは言え、愛する人との結婚を祝われるのは気分が良い。今、身も心も一つになった後だから良いタイミングと言えるだろう。
「はい。レア王妃の事なのですが、リンダ嬢を取り込んだようでして。」
「レアがリンダを?どういう事だ?」
「レア様はこの世界が閣下とご自身の恋愛ゲームだと思っておられますから、リンダ様を取り込んで攻略しようとしておられるのですよ。」
「なんの話だ?」
アルスは一瞬、目を泳がせた。なんだ?私が何か忘れているのか?
「閣下の肉体を作るためにこの世界にレア様を引き込む時、適当に言っておけと言われたので、そのようにご説明しております。」
「……ああ、そうだったか。」
言われてみればそんな事があった気もする。私の真の肉体を相手にすれば、リンダの肉体は長期間持たないとアルスに言われた。それなら私も人間の肉体をとも思ったが、脆すぎて魔力を使うと壊れる危険性がある。
で、妖魔と夢魔のハーフと人間の王の子なら良かろうとレアゼラを母親にすることにした。無理に従わせたストレスで良い体を得られないのも困るので、適当に言っておけと命じた。
その後、私との恋愛ゲームだと言ったらやる気を出したと聞いていたが、今まですっかり忘れていた。
「それで、レア様に色々聞かれたことも適当に答えていたのですが、リンダ嬢はそれを聞いて信じてしまったようで、レア様と閣下のキューピット役になられるつもりのようです。」
「……」
リンダ、どうしてそこで、嫉妬してくれないの?私を責めて、勘違いだと分かって仲直りするところだろう?そして、私を信じなかったお詫びになんでも一つ言う事を聞いてくれるところだろう?!
ああ、何にしよう。君を苦しめたくないし、二人とも幸せになれるようなお願いが良い。私の趣味に一度だけ付き合ってもらうのはどうだろう?いや、あれは心底嫌がっていたな。そうだ。月一回スライムの日を作ろう。可愛いあの人は自分からスライムが好きとは恥ずかしくて言えないだろうから私からお願いしてあげよう。ああ、背中から腹部へスライムがゆっくり流れ落ちたときのリンダの甘い表情が目に焼きついて……
「リンダ嬢はあまり賢くは……いや、なんと言うかお可愛らしい脳をお持ちのようですね。」
こいつは自分の命より、危ない橋を渡る興奮が好きなのだろう。私の前でリンダを貶すとは……だが、反論しにくい。もともと、アスタロトは強大な力を持っていて、いかに私といえどもこんな扱いができる人ではなかった。
だが、当時彼女が興味を持っていた時の魔法で、時を操っても反動が全くないという究極の魔法の噂話をしていたら、術を使って盗み聞きをしてきたので、冗談半分で全ての力を体外に出して、人間となった経験が必要だと言ってみたら、本当にやり出してしまった。危なくて仕方がない。すぐに保護したが。
「リンダはそんな事を言われて酷く悲しいんでいるだろう。強がってキューピット役などと言っているのだ。可哀想な事をした。すぐに説明しよう。」
保護した後も、怒って、威嚇して大変だった。だが、落ち着くまでと一人にしてみたら、目が溶けそうなほど泣き続けてしまって……。
「お待ち下さい。せっかくですし、ここはリンダ嬢の嫉妬を堪能されては?」
私は口と鼻を押さえた。込み上げるものがある。リンダの嫉妬。欲しい!是が非でも欲しい!!
「レア様にはリンダ嬢を攻略してメインのレア様を攻略する前に飽きてしまったと仰ればなんの問題もないでしょう。」
「レアはどうでも良い。リンダだ!リンダの嫉妬はどうすれば得られる?」
縋りついて抱いてと言われたい。淫らな下着を着けて私だけを愛してと言われたい。嫉妬のあまり、レアゼラに意地悪をするのを見たい。
「レア様はお母様ですから、お母様として大切にされたらいかがでしょう?挨拶の口づけを毎日されたり、贈り物をされたり。体調が悪そうだと、看病したり、湯殿にまで入って入浴を手伝ったり、そうしながら、二人の時はリンダ嬢に今まで通りに愛を伝えるのです。きっとリンダ嬢は混乱されて、嫉妬に身悶えるようになるはず。」
アルスは顔を文字どうり崩しながら嬉しそうに提案してくる。下手に整っている分、かなりグロテスクだ。
それにしても、そんな事でリンダが嫉妬するだろうか?王妃様と仲が良いのですねとか言われるだけではないだろうか?
「そんなやり方で大丈夫なのか?」
とは言え、今まで上手くいかなかったリンダとの仲を取り持ってくれたのはこいつだ。こいつの言うとおりに作った世界で私たちは夫婦になる事ができた。
「はい。きっと、甘い甘い嫉妬を堪能できますよ。そうだ。クリストファー殿も可愛がると良いですよ。きっと、より不安になられるはず。」
むむ。不安にするのか?私がいじめているようではないか。だが、不安に揺れる瞳でリンダが私を見上げるなんて、ああ、堪らない。
そうだ、クリストファーを私の子供で作る隊の初代隊長にすると言ってみよう。自分の子がクリストファーの風下に置かれると分かった地母神の彼女は子供のため、そして嫉妬のためなりふり構わないだろう。
「良かろう。レアとクリストファーを使ってリンダを嫉妬させる。」
楽しいゲームができそうだ。なに、リンダがあまりに傷ついてしまうようなら、その時止めれば良いだけの話。
リンダ、リンダ、君が悪いんだよ。私の愛を信じない上に、強がって、ちゃんと嫉妬しないから。
愛しているよ。




