第26話 究極のお菓子の憂鬱
王城の食堂にて開かれた会食もいよいよ終盤となり、皆の前には食後のデザートが置かれていった。
その皿の上にあったものとは、地球では特に珍しくもないただのクッキーである。
しかしこのクッキーに使われている砂糖は、カンダミリア大陸の南東に位置する温暖な気候の海に近い場所でしか取れず、やや北西に位置する山ばかりに囲まれたイシュダリアにとって数ある輸入品の中でもかなり高級なものとされていた。
「うむ、旨いですゾ!いやぁワシはこの菓子に目がなくてな、特にこれでもかと言わんばかりに高級な砂糖をブチ込んだものには。ささっ皆さんもどうぞ!」
デスラム王が出されたクッキーを一噛りすると、皆にも伴食を勧める。
そしてそれを見ていた周囲の兵士達からはーーー
(ウマそうだな~~~~)
(しっ聞こえるぞ!)
(俺も一度でいいから...)
(くそっ何であんな下民や獣人どもがっっ)
(さっきから腹が音が止まらねぇ)
ーーーなど、ヒソヒソと羨望や嫉妬の声が囁かれる共に生唾を飲む音が聞こえて来るなか、
それを食した博士達は、
博士「あ~この甘さが疲れた体にきくなぁ」
寧々「そうですねぇ」
杏子「うめッス」
颶「何かどっと疲れたわ~」
ナタリカ「うんんん~~」
クラリ「あんまっうんまっっ!」
ブラ爺「ヌゥほんとですな。」
トルネ「これが砂糖っこれは金になるカナ!」
ネルコ「は、半分は取っとくサネ...」
ざわざわざわざわざわざわざわざわざわ・・・
電子「うぅ・・・キンキンに冷えて、いやガンガンに砂糖が入ってやがる!あ、ありがてぇっ涙が出る・・・犯罪的だっウマすぎる・・・染み込んで来やがる、体に・・・」
ザワザワザワザワザワザワザワザワザワ・・・
暫く何も食べていなかった電子一人だけが格別にクッキーを噛み締めていたが、皆が満足そうに菓子を頬張る姿にカルラ宰相は、
「くくくっどうだ至高の味は?溶けそうだろう、やりかねないだろう?この菓子一つの為に、強盗だって・・・」
と、やはり何故か自分の事のように自慢しつつ悪そうな顔をして鼻を高く上げていたのだが、
そんなカルラを見てまさおはテーブルに両肘を着けて顔の前で手を組み、
「...砂糖にバターに小麦粉にミルク、単純ではあるがどの材料も最高.....だが肝心の料理人の腕が最低だ。」
「ぐっまたお前っっ!?!!」
再度 火に油を注ぐ様な事を言うまさおにカルラがカッとなっていると、
まさお「確かに砂糖は高級食材かもしれない。それをふんだんに使う事が王族の権威と財力顕示の象徴なのかもしれないーーー」
デスラム王(い、いや砂糖をたっぷり使ったのが好きなだけですゾ...)
まさお「ーーーだが砂糖を使いすぎては小麦の香りもバターの風味もミルクのコクも全て消し飛んでしまう。素材の味を殺してしまうのは料理人として恥ずべき行為だ。」
様子を見に来たコック(いや、私は王に言われて作っただけで...)
まさお「こんなのは菓子じゃない!ただ練り物を焼いただけの固まりだ!!」
兵士達(そうじゃないのか?何が違うんだ?)
まさおの叱咤にある者達から心の中でツッコまれたが、王宮料理に一体何の思い入れがあるのか知らんけど、カルラ宰相が顔を真っ赤にしてまさおを怒鳴りつけた。
「う、うるさいっ御託をグダグダと!美味ければいいのだっっそこの獣人みたく美味そうに喰ってればーーーー!?!」
そう言ってカルラ宰相がガイハ達を指差すと、そこにはーーー
『 (´・ω・`) 』
『 (´・ω・`) 』
『 (´・ω・`) 』
クッキーを食べたガイハ・コーク・レイビィは、《ハルヒの鶴屋さん》みたくショボ~ンというかニョロ~~ンとした《憂鬱》な顔をしていた。
ガイハ『甘いが美味いかというとナ....』
コーク『なんか...甘いだけだゼ。杏子がくれたお菓子の方がウマかったゼ。』
レイビィ『アタシらはなんて貧しかったカイ、こんなモノを死ぬほど美味いと物だと思っていたなんて、、、』
クッキーを食べたガイハ達の思わぬ低評価にカルラは、
「そんな馬鹿なっ何だその反応は?!獣人らは恐らく大陸で初めて王宮の菓子を食ったのだぞっ美味いだろう?名誉だろうっっ!??」
先程までは出された料理を『美味い美味い』と食べていたガイハ達の急激な反応の変化に、カルラ宰相は信じられないと言った顔で詰め寄った。
だが まさおはーーー
「ふっ獣人さん達は食い物の味が分からないどころか、最上の味を知っていたんだ。杏子からそんな美味しいものを食べさせてくれたガイハさん達は....幸せだよ。」
勿論カルラはガイハ達が食い物の味は分からないと一言も言ってないし、何気にまさおの方が酷い事言ってる気もするが、まさおがそう言うとカルラは「嘘だ...」と呟きながら力が抜けたように項垂れた。
しかしこの話しはここで終わらない。
この一連の流れを聞いていたデスラム王は、まるで暴食者の化身と化したか様にヨダレを垂らしながら目を光らせる。
「ほう?その話し...もっと詳しく!!」
普段の温厚で穏健派の名が霞む程に禍々(まがまが)しい邪気を放ったデスラム王に周囲の兵士らがザワついたが、ガイハが王への発言の許可を取った上で以前杏子に貰ったお菓子の事情を話した。
「な、なるほど!それでっ?杏子殿と申したな、そなたの国のお菓子とやらはまだあるのかですゾ??」
そして事情を聞いたデスラム王が日本のお菓子について杏子に詰め寄るとーーー
「いやもう無ェっスよ、それと森ん中のガイハさん達の村を獣人狩りしたら皆殺すッスからね。」
デスラム王《 (´・ω・`) ニョロ~ン 》
杏子の王に対する言葉にまた周囲の兵士らがザワついたが、デスラム王も酷くガッカリしたのか先程の覇気が嘘のようにニョロ~~ンとした。
その時である、ウサギ獣人のレイビィが放った何気ない一言が、事態を一変させたのだった。
お待たせいたしました。少し時間がかかりましたが次も早くアップしたいと思いますと共に、イラストも載せたいと思いますのでよろしくお願いいたします。




