第24話 デスラム王の乱心?
まさおと杏子がデスラム王のアゴやハラをタプコプして電子から、
「安西先生のみたいな扱いはヤメロ。」
ーーーとツッコまれる少し前、
堅聖ゴラン・賢聖ガーナ・俔聖シュナの三人とその部下達は、闘技場から王城への地下通路を通って王室へ続く長い階段を駆け上がっていた。
本来ならばシュナの騎乗するワイバーンにて王室へと向かった方が時短とはなるが、ワイバーンは竜による恐怖ストレスが限界を超え、シュナの魔法でも言う事を聞かなくなった為にその足で向かう事となった。
「ぬぅっ王よ無事でいて下されっっ」
そう言って重い巨体からは想像も出来ない速さでゴランは王室への長い階段を上って行くと、続くシュナがーーー
「で、でもでもあの人達そんなに悪い人達には見えなかった様な....」
「ばっ..馬鹿を....言えっ...はひ..奴らはお...王族をなん..何とも思っとらんっっひゅっ....私の事は構わず先にゆけ~~~~っっっ!!」
そんなシュナの後を魔法使いとしてデフォなくらい体力の無いガーナは、階段を上る途中に酸欠で倒れそうになる所をゴランに担がれ上へと進んだ。
そして王室の前へ到着すると周囲は兵士達でごった返しており、王室の扉が氷で硬く閉ざされているのを目にしたゴランは瞬時に持っていた戦斧に攻撃付与の魔法をかけーーー
「金剛斧岩斬撃っっ!!」
寧々の氷の能力で閉ざされていた王室の扉を、己の技にて粉々に砕き王室間へと飛び込んだゴラン達がそこで見たものは、まさおと杏子がデスラム王にめっちゃ怒鳴りながらアゴやハラをタプタプする姿だった。
「きさんっなんばしよっとね~~~~!?」
「どっどーいう状況だヨ~~!?!」
魔法の翻訳指輪のせいかゴランの叫びが何故か博多弁になっていたが、そんなゴラン達の呼び掛けにカルラ・トンガマ宰相や護衛兵らは目の焦点を合わせずただブツブツと何やら呟いていただけだった...
そこへゴラン達に続き王室へと突入してきた他の兵士らもこの混沌な状況に若干パニクり出すが、すぐにゴランの一喝にてアホな空気から一変して正気が取り戻されるーーー
「何やっとるか貴様ら今すぐ王から離れろ!総員 王と王妃をお守りするのだ!!」
そのゴランの言葉に周囲の兵士達は状況を理解する事を捨て、ただその言葉通りに行動を開始するーーーだが、
「やめいっっまだワシはこの者らとの話は済んどらんゾ邪魔するでない!!!」
そこで王室の外にすら響き渡るデスラム王の大声に、周囲の兵士らだけでなくゴラン達やカルラ・トンガマ宰相ですらもビクりと肩を上げ、驚きに満ちた表情を浮かべる。
それは【十つ国で随一の温厚派であり穏健派】を通り越して、【カンダミリア大陸唯一の弱腰の王】と揶揄されるデスラム王が初めて見せたその怒声に、兵士達は驚愕と共に恐怖すら覚えた程だった。
「しかしデスラム王...この者達を信じるーーー」
「くどいゾ カルラ、二度は言わん。皆の者も良いな?」
正気に戻ったカルラが恐る恐るデスラム王に進言しようとしたが、デスラム王は鋭い眼光でカルラ宰相を一瞥するとそのまま周囲の兵士達にも視線を送る。
[[[[[ハッッッ!!!!]]]]]
その圧に気圧されしたゴランらや兵士達は、慌てて今の立ち位置から一歩退くとそのまま武器を収め片膝をついた。
そしてデスラム王は博士達に向き直り、静かに口を開いた。
「それでお主達はこの大陸の外...確か日本と言うところから来たのでしたな。その事についてもう少し詳しく.....いや立ち話もなんだ、夕食を交えて聞きたいものですゾ。」
そんなデスラム王の突然の申し出に、後から王室に突入したゴラン達は「はぁっ!?大陸の外?」と要領を得ずギョッとした顔を見せると同時に、
カルラ宰相も「この様な者達と会食??」と驚きの表情を見せたが、そこへ再びトンガマ宰相の怒声が割り込んでくる。
「デッデスラム王っ何を言っているか分かってるざまぁすか!?王族に歯向う者は即刻処刑!それが十つ国を統べる帝王の意向であり法!!それを共に卓を囲むなぞ帝王の威光に逆らう事になるざまぁすよ!?」
このトンガマの言葉に辺りからどよめきが起きた。
確かにまさお達にとっては不条理ともいえるトンガマの言葉も、この世界では至極真っ当な言葉であり、
それを十つ国の一国の王がその規律を破る事は、場合によっては王族の制度に反旗を翻す意志と捉えられても何ら不思議はない。
その先にあるものは十つ国同士での戦争か、王位の剥奪か....
この場に居た者達がイシュダリアの者達だけならば、いくらでも内々に収める事は出来ただろう。
だが第4位国の宰相であり王族権威主義のトンガマはそれを決して許しはしない...そう思ったカルラ宰相は再度、デスラム王に向かい意義を唱えようと顔を上げたが、
「トンガマ宰相殿よ、もしワシの行いが反逆とされるならば...それは仕方のない事ですゾ。」
「『[「[[ーーーッッ!!?!」]』」]」
デスラム王が静かに笑ってそう言い放つと周囲は大きくザワついた。
デスラム王をよく知らぬ者ならば、事の重大さが分かっているのかと安直な申し立てをするだろう...しかしいくら王とて馬鹿ではない、ならばその言葉の真意はと皆が考えを巡らせた。
だが当然デスラム王とは親交もたいして深くなく、今回のように催事の来賓として来ただけの他国の宰相であるトンガマはその安直な言葉を言い放つ。
そしてーーーー
「こっ此度の件はっ十つ国中央元老議会に持ち帰って審議をするざまぁす!デスラム王っっ元老会から追って沙汰があるまで覚悟しておくざまぁす!!」
そう言いながらトンガマは逃げるように王室から出ると、そのまま己の従者達と共に、その日のうちに王都を後にした。




