告白
捨てる花は摘まないと言って岬は三度目の私の告白を断った
岬は中学の時からずっと一人の子を思い続けていた
なんか話しかけるとうつむいちゃって、人と目を合わせられないちょっと変わった、でもすごく顔がかわいい子
岬がその子を思うように私も岬のことがずっと好きだった
中学三年のとき最初の告白をした
バレンタインデー
チョコレートに手紙を添えて
手渡した瞬間、岬は私の目の前で封筒の中の手紙を読み
「ハァー」
ってため息をついた
そして手紙を返してきた
チョコレートはその場で食べた
いくつか袋を持っていた
きっとチョコレートが入ってる
岬は生徒会の副会長をやっていたしテニス部のキャプテンだったからそこそこ下級生からの人気があった
前髪が額の生え方のせいかいつも立っていた
それがまた雄っぽい顔立ちの岬に合ってた
中学生なのに、なんか世界を股にかけてる商社マンみたいな雰囲気
きっと下級生には大人っぽく素敵に見えたんだろう
私もだけど…
同級生の女子からはそんなに好かれてなかったように思う
少し気分にむらがあって気難しいところもあったから
もともとうちの学年は男子と女子の仲が良くなかったし
女子テニス部と男子テニス部も仲が悪かった
コートの整備の順番とか、ネットのしまい方とか些細なことでいつも諍いになって、それを収めるのに私も岬も苦労した
私、女子テニス部のキャプテンだったから
副キャプテンも交えてなんとか問題が起きないよう方法を話し合ってるうちに仲良くなった
で、告白して…
頂いたお返事はため息
告白する前の月の1月に私は岬と進路のことを話していた
「岬、どこ受ける」
「S高?」
「それ以外にあるか?」
「自信満々だね…」
「星野は?」
「私は…S高は無理だな」
とは言ったけど、S高を受けるつもりで勉強していた
多分岬がS高受けるだろうと思っていたから
トップ高に行けるほどの頭はない
けど、頑張りたい
最後の三者面談で志望校を決定するとき、私は無理を押し通した
担任は内申点も足りないし学力的にも無理だと言ったけれど
公立の合格発表の日、ボードに自分の番号を見つけたときのうれしさ
これでまた三年間岬と一緒にいられる…
会場で私は岬を探した
いるはず
私は多分ダメだろうと思っていたから、落胆する姿を見られたくなくて、同じ中学の子とは一緒に行かず一人で見に行っていた
岬…岬…、あ、いた
岬も三中の仲間とは少し離れた所にいた
「岬!奇跡が起こった」
「受かった、嬉しい」
「嬉しいっ」
「おうっ、おめでとう」
「俺、落ちた、ハハッ」
え…?