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黒い夢と白い夢Ⅰ ――過去の呪い――  作者: 葉都菜・創作クラブ
第2章 幻想の師 ――幻想都市ファンタジアシティ――
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第11話 ファンタジアの緒戦

※パトラー視点です。

 【幻想都市ファンタジアシティ 市内】


 ファンタジア防衛師団本部要塞の上空に辿り着いた政府軍の艦隊。大型飛空艇2隻に中型飛空艇30隻。その中から無数のガンシップや戦闘機が飛び出す。

 分厚い雲に月明かりは隠され、激しい雷雨が市内全域に降り注ぐ。その中を国際政府・連合政府の両軍は戦う。クリスタルの都を巡って――。


[かかれ! 連合軍を一気に市内から追い出せ!]

[連合軍の軍艦の艦隊を確認!]


 私は1機のガンシップに乗っていた。ガンシップは素早い動きで激しい銃撃をかましながら市内上空を飛び回る。市内を埋め尽くすのはバトル=アルファの大軍。何十万もの数だった。

 上空を見れば、連合軍の軍艦が浮かんでいる。全部で20隻。封鎖艦隊を構成していた軍艦も含まれる。あの戦いで確かに私達はコア・シップと多くの軍艦を墜落させた。だが、15隻の軍艦はファンタジアシティに逃げ込んでいた。


「パトラー准将! 敵は圧倒的に多数です!」


 地上からは何万体ものバトル=アルファやバトル=ベータの大軍が私たちに向けて射撃・砲撃していた。無数の銃弾と砲弾が飛んでくる。

 ガンシップと戦闘機からも激しく応戦するが、これではキリがない。かといって退却するワケにもいかない。私たちが援軍に駆け付けたことで連合軍は更に兵力を増強するかも知れない。そうすれば、また危機的状況に陥る。


「敵を何としてでもファンタジアから追い出し、七将軍の1人であるバトル=オーディンを倒すんだ!」


 私は大きな声で言う。まずは彼ら連合軍をファンタジアシティから追い出さないといけない。追い出して防御態勢を立て直さないと。

 今、この街を攻め立てる連合軍の指揮官はバトル=オーディン。各地で殺戮を繰り返す連合軍最強にして最凶の将軍だった。彼を破壊すれば、連合政府筆頭将軍のクラスタ失脚にも匹敵する衝撃を与えられる。


「撃て! バトル=アルファは弱兵! 一気に倒すんだ!!」

「イエッサー!」


 ガンシップの下に取り付けられた砲身から砲弾が飛ぶ。それは市内のバトル=アルファで構成された大軍のど真ん中に撃ち込まれ、無数の敵兵が吹き飛ばれる。

 雷鳴が鳴り響く。それとほぼ同時に爆音が鳴り響く。炎が上がり、瓦礫とバトル=アルファが吹き飛ばされる。


「エリアG4に着陸します」


 私を乗せたガンシップは敵のいないエリアに着陸する。私と中に乗っていた兵士たちが一斉に降りると、ガンシップは再び飛んでいく。

 私たちが降りた場所にはすでに大勢の兵士がいた。そして、体制を整えた部隊から敵の軍勢に向かっていく。


「パトラー准将、敵は多数です。数は少ないですが、大型軍用兵器も確認されています」

「ひとまず最低でも敵軍を中央市内から追い出すんだ」

「イエッサー」


 私はサブマシンガンを握り、激しく雨の降る外を走り出す。近くの瓦礫を上ると、近くの戦場を見下ろす。そこでは両軍の兵士たちが撃ち合っていた。

 隊列を組んだバトル=アルファの軍勢は規則正しく動き、手に持ったアサルトライフルで射撃しながら私の軍を徐々に追い詰めていく。


[攻撃セヨ! 破壊セヨ!]

[攻撃セヨ! 破壊セヨ!]


 バトル=アルファの戦闘能力・耐久力は低い。だが、数では圧倒的に勝っていた。それだけが連合軍の強みだった。


「パトラー准将! ここにいては危ないです!」

「大丈夫!」


 私は背中にジェット機を起動させると、一気に飛び上がる。そのままバトル=アルファの隊列の上を飛んでいく。狙いは後方にある戦車に乗った戦術ロボット――“バトル=アレス”だった。バトル=コマンダーの上位種に当たるロボットだった。


[全軍進め! 政府軍を皆殺しにセヨ!]


 いたいた。地面から1、2メートルほどの高さを飛行する戦車から上半身を出した鋼色の人間型ロボット。片手にハンドガンを握っているアイツがこの部隊の指揮官だ。

 私はサブマシンガンの銃口をバトル=アレスに向ける。雷鳴がとどろく。それとほぼ同時に発砲した。銃弾はバトル=アレスの頭を貫く。それと共に私は一気に空中から戦車に向かって突っ込む。


[――ギ、グ―?]


 私は頭から煙と炎を上げるバトル=アレスの首を掴むと、戦車の外に放り捨てる。そして、戦車の中に身体を滑り込ませる。

 私は戦車の中にいた1機のバトル=コマンダーを蹴り壊すと、彼を椅子から押し倒す。操作パネルに触れ、戦車の前を歩くバトル=アルファの部隊に向けて砲撃を加える。


「よし、あとは……」


 間髪入れずに戦車の向きを変え、後方の部隊に向けて撃つ。爆音と共に多くのバトル=アルファやバトル=ベータが吹き飛ぶ。

 私は周りの敵を一掃すると戦車を動かし、敵の数が多い場所まで向かう。そこに着くと同じように砲撃を繰り返し、敵を一気に殲滅していく。敵は私の乗った戦車を味方と思っているらしく、しばらくは何も攻撃してこなかった。

 だが、すぐに乗っ取られている事に気がついた。バトル=アルファやバトル=ベータの大軍が一斉に私を乗せた戦車に射撃する。


[攻撃セヨ! 破壊セヨ!]

[攻撃セヨ! 破壊セヨ!]


 私は魔法発生装置を使って自分自身に物理シールドを張ると、ジェット機を起動させ、戦車の外に飛び出した。その瞬間、戦車は他の戦車からの砲撃を喰らって破壊された。

 外に飛び出すと、サブマシンガンを両手にバトル=アルファの大軍に向けて連続で射撃しながら、近くの道路に着地する。クリスタルで出来た道路だ。


[パトラーだ! 討ち取れ!]

[イエッサー!]


 何か会話しているバトル=アルファを撃ち壊すと、周りの軍勢に向かって魔法攻撃を繰り出す。無数の火炎弾が飛び、轟音と共に炎の柱が上がる。何十体もの軍用兵器が倒れる。

 私はその間にハンドボムを投げる。それは空中でキレイな孤を描き、敵が密集しているところに落ちる。爆発。多くの軍用兵器が吹き飛ぶ。


[クリスタルの都は我らのものだ!]

「黙れ!」


 私は腰に装備していたデュランダルと呼ばれる名剣を引き抜くと、それでバトル=コマンダーを斬り壊す。彼は火花と煙を上げながら倒れる。

 周りのバトル=アルファが一斉に私を目がけて撃ちまくる。物理シールドがあるからそんなにはダメージはないが、それでも危ない事には変わりない。

 私は銃弾が目に入らないようにしながら軍用兵器を斬り壊していく。


[破壊セヨ!]

[攻撃セヨ!]


 私は近くの戦車に飛び乗る。指揮を執っていたバトル=コマンダーを破壊する。中の操縦を行っていたバトル=アルファを撃ち壊すと、素早く飛び降りる。

 その時、空から4機のガンシップが飛んできた。乗っているのは……ピューリタンの副将であるトワイラルだ!


「パトラー准将! 一時撤退を!」

「撤退? なんで!?」


 私たちの軍とクォット将軍の軍、それにファンタジア警備軍が協力すれば一気に連合軍を街から追い出せそうなのに……!


「ファンタジアシティ北部の部隊が壊滅したんです! 敵はすでに市内中央エリアの外まで追い払っています! 至急撤収を!」

「クッ……! わ、分かった!」


 ファンタジアシティの北部に派遣した部隊が壊滅……? なんで? どうなってるんだろ? 私はトワイラルの言葉に強い疑問を抱きながらもガンシップに乗った。

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