88話 ミネストローネと衛兵
ミネストローネのスープを売っていきます。
前回と同じ銅貨5枚です。
もう、スープ類は全部銅貨5枚で売っていきましょう。
バターロールは制限の2個まで買っていくお客さんばかりです。
皆さん嬉しそうにバターロールを手にしています。
うん、BGM が聞こえてきましたね。
うめぇだの、明日も勝つだとか、さまざまです。
「これは明日も取り締まりが必要かな?」
「明日は非番です。朝一番に来ましょう」
「うむ」
遠くから、話し声が聞こえてきました。
うん、衛兵さんたちは明日もくるのか、というか、取り締まられるのこの屋台? そういえば、常習性のある薬物の確認はどうなったのかな。発見出来たのだろうか。
疑問は尽きません。
「今日も売り切れですね、今日の売上は僕たちいらないです。昨日もらいすぎましたし、お母さんの病気が治ったので、そんなにお金も必要なくなったし、服もバックももらいましたから」
あ、服、二人共、昨日渡した服を着ていますね。
「お母さん、治ったんだ」
「はい、治りました。3日ほど安静にして、ほとんど寝たきりだった身体を慣らしたら、静かにしていれば一緒にスープ売りをしてもいいとのことです」
「そっかー、良かったね」
「はい」
エリク君にスープを一杯よそい、バターロール1個を一緒に渡すと、昨日と同じように隣に持っていくように頼んだ。
「いってきます」
エリク君が慎重にスープを持っていきます。
おぼんとか用意したほうが、いいのかな。
デパートで物々交換を使い、おぼんを購入します。
これを屋台の下の物入れに仕舞っておいて、私は3人分のスープをよそいます。
エリク君が帰ってきました。
3人で昼食をとります。
私は、嬉しそうなエリク君に話しかけます。
「エリク君、さきほどの話だけど、今日の売上はきちんと半額持っていって、私お金だけはあるんだから」
私が自信満々にそう言います。
だってポーションでもヨーグルトでも商業ギルドでも儲かっていますからね。
「そんな」
「遠慮しないで持っていって」
「わかりました。僕たちなんにも出来ませんが、頑張ります」
「ありがとう」
食後にリリアちゃんが、お客さんの分と私たちの食事のあとの洗い物を率先しておこない、エリク君が、お金を半分にしています。
「出来た」
エリク君から、お金を渡されます。
「今日もお疲れ様でした」
「こちらこそ、ありがとうございます」
エリク君が少し重そうにリュックサックを背負いながら、リリアちゃんと一緒に帰っていきます。
明日は、なんのスープにしましょうかね。




