55話 商談
佐藤君が帰りました。
佐藤君は食事のお金を支払ってません。
ほとんどの材料が私からの物だからといって、ご主人がお金を受け取らなかったんですね。
同じ理由で、私のごはんも支払っていません。
さて、ここからが、商談です。
ご主人は佐藤君が来た時点でこの店を臨時休業にしていたのでお客さんは現在いません。
ゆっくりと商談します。
スーパーでペットボトルの紅茶と、デパートでモンブランのケーキを二つずつ購入します。
皿とフォークを用意してケーキを載せます。
夜に食べると太るんですよね。
まぁ、今回だけですからいいか。
ペットボトルの開け方がわからないようですね、私がペットボトルの蓋を捻って開けてみせます。
おお、わかったようですね。
うん、紅茶が甘い。
普通のストレートティーにしましたからね。
モンブランも甘い。
上のニュルニュルした甘い栗の部分が好きなんですよね。
モグモグ。
あれ、ご主人食べないんですか?お金はとりませんよ?
勿体なくて、食べられない?ああ、奥さんがいて、奥さんに食べさせてあげたいんですね。
だったら物々交換。
デパート……モンブラン購入。
はい、どーぞ、おみやげです。
感動してますね。
とても嬉しい?
良かったです、喜んでいただけて。
ご主人もモンブランを食べます。
固まっていますね、見事に動きません。
え、高かったんじゃないか?砂糖がふんだんに使われている?
使ってますよ、お菓子ですもの。
この支払いは今日の売り上げでは心許ない?
おごりますよ、私からのプレゼントです。
感激してますね。
それより、商談に入りましょう。
言い値でいい?
駄目ですよ、それより、挽き肉は悪くなりやすいのですが、大丈夫でしょうか。
時間停止付きのマジックバックと冷蔵庫があるから平気。
なるほど、そうですか。
しかし、トマト全体を湯剥きして切るのは大変ですね。
スーパーで紙パックのカットトマトを購入してパッケージを見せてみます。
驚いてますね。
言い値で買う?
いやいや、これは安いんですよ。
いくらぐらいなのか教えてくれ?
銅貨1枚程度なんですけどね、これから交渉ですから黙っています。
金貨10枚渡されます。
これで食材と調味料を買いたい?
大金ですね。
この店はだいたい銀貨1枚の食事ですよね、金貨10枚を全部仕入れに使っていいんですか?と聞いてみます。
いいようです。
もらいすぎですね、野菜も買いましょうか。
こちらの世界の市場で買ってもらってもいいですが、せっかく信頼してお金を渡されましたからね、物々交換でスーパーでニンニクや玉ねぎ、トマトでも購入しましょうかね。
この料理で、生のトマトを使うことは必須です。
トマトは既に加工してあるカットトマトだけだと味が単調でおいしくないんですよね。
ええ、ご主人、湯剥きして切ったトマトを加えたほうが断然おいしくなります。
グランシェフ健在。
料理指導をします。
先ほどの調味料等は差し上げます、その代わりと言ってはなんですが、この世界に学校があるのか教えてくれ、とご主人に聞いてみました。
答えは、ある。
どうも裕福な商人や冒険者、貴族なんかが行くようですね。
主に魔法や、剣術、武道を中心とした教育に、礼儀作法などがあるそうです。
うーん、どうしようかな。
また、今度考えましょう。
さて、お待ちかねの食材と調味料の購入ですね。
スーパーで牛の挽き肉、ニンニク、玉ねぎ、トマト、カットトマト、ローリエ、塩、胡椒、トマトケチャップ、ソース、乾燥パスタ、オリーブオイル、粉チーズ。
ホームセンターで紙パックのカットトマトを開ける際のハサミ。
はい、購入。
ハサミの使い方を教えます。
ご主人が驚いてますね。
食材など全部含めて金貨8枚分買ってみました。
残りは手数料です。
乾燥パスタなどは結構な量になりました。
ご主人がいそいそと嬉しそうに、食材と調味料をしまっています。
これだけあれば150皿分ぐらいは軽く作れると思うのですが、どうでしょうか?
200皿はいける?良かったです。
定期的に卸すことにして、なにかあったら私はクリスさんの家にお邪魔していると告げて、店を出ました。
どうやら、家の場所の説明はしなくてもいいようです。
クリスさんの家は皆さん承知のようですね。
やっぱりS級冒険者の知名度は凄い。




