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25話 これぞチート

 朝が来ました。

 永遠に明けなくてもいい夜明けがきてしまいました。

 夜明け前が一番暗いと言った人物がいますが、夜明け後の今からがモブにとっては一番暗いのかもしれません。


 デート。


 それも、超イケメンと。


 異世界で早々に死ぬモブとは私のことです。


 神よ、世紀末でなく、新世紀なのに、私は死ぬのですか。


 死ぬときはとりあえず「ひでぶっ」と言います。

 

 頭はモヒカンではないですが、私は完全なモブです。


 モブらしくリアクションを派手めに頑張ります。


 モブが輝いている作品はしっかりとリサーチしているのですよ。

 

 ウフフ。


 食堂に来ました。

 おお、今日も行列ですね。

 では、ヨーグルトを購入してと、おや、プリンが安い。

 

 78円。


 この物々交換にも特売日とかがあるんですかね。

 この前はもうちょっとしてましたよね。

 朝食に合わないかもしれないけど今日の朝食のデザートはプリンにしましょう、節約です。

 甘いものは、朝に食べても太らないと皆言っていますしね。

 朝からプリン。

 まぁ、細かいことはよろしいでしょう。

 でも、私だけがプリンを食べているのもなんだか良くないですね。

 おまけに、78円の特売品。

 プリンは銀貨1枚で売ってみましょうか。

 並べてみる……。


「これって、もしかして、プリンですか?」

「あ、はい、今日はこれも売ります。これは銀貨1枚でいいですよ」

「銀貨1枚?」

「はい、銀貨1枚です」


 ん?なになに、この世界でもプリンはあって、簡単には食べられない。

 普通は、誕生日とかに特別に作られるもので、卵一個が銀貨2枚なのに、牛乳も砂糖も使っているプリンが銀貨1枚で売られるなんてあり得ないこと?

 そんなことを言われても原価安いですしね。

 たまには、ぼったくりの転売ヤーも安く売らせてくださいよ。

 元の値段からするとそれでも10倍以上の値段ですからね。

 おしゃべりされた方が、大切そうにプリンとヨーグルトを買われていきます。

 プリンはヨーグルトではないですから、悪くなりますから早めに食べてくださいね、と声をかけます。


 おや?行列が長くなった。


 どうやら食堂を利用する方々だけでなく、掃除や調理場の方々も混じったようです。


 おお、サキさん。


「いつでもいいのだけど話があるの、この間の商品のことだけど」

 サキさんから話しかけられます。

「わかりました。今日は用事があるので明日話ましょう」

「わかったわ」


 この間渡した生理用ナプキンの話ですね。

 どうだったか気になりますね。

 それより、今はヨーグルト販売です。

 プリンが好評のようです。

 並んでいたプリンがなくなりました。

 追加購入します。

 列から離れようとしていた方々も、慌ててきちんと列に並び直します。

 あー、今日もぼろ儲けです。

 プリンがおいしい。


 さて、薬師ギルドを出て……。

 いました、くっそ格好いいイケメンが。

 くそなどと言ってはいけません。

 くそに失礼です。


 ふわぁ、気付かれました。

 ああ、その笑顔がまぶしい。

 モブにとっての暗黒時代の幕開けです。


「おはよう、ユキ。今日も可愛いね」

「おはようございます」


 死なせてください、今すぐに。

 胸に北斗七星の形の傷がある男性はいませんか。

 今なら爆死できます。


 ああっ、ぼんやりしてたら、手を握られた。

 ……恋人繋ぎ。

 絶望です。

 デートは今日1日、なるべく早めに帰りましょう。


「今日はユキを連れて行きたいところがあるんだ、目をつぶってもらってもいいかな?」

「目をつぶればいいんですね」

 おとなしく目をつぶりますよ。

 おおっと!抱きしめられた。

 セクハラですか?

 お尻を触られていないからセーフです。

「ユキ、目を開けて」

 目を開けますよ。

 おお、豪邸ですね。

 抱きしめられていた身体が離されます。

「王都の私の持ち家です。ここには転移魔法で来たのですよ」

 王都の私の持ち家?

 私の家ではないのですね。

 何軒も家がありそうな発言です。

 それに、転移魔法?

 テレポーテーションでしょうか。

 ヤバい魔法ですね、これぞチート。

 なになに、私がこの世界のどこにいても探し出せる?

 やめてください、なんのフラグをたてているのですか。

 どうやら、この異世界は安全ではないようです。『狙った獲物は逃さない』ヤバい言葉を思い出しました。

 クリスさんの発言が怪しい。

「とりあえず、馬車で移動しましょう。ユキ、こちらへ」

 あっ、手を恋人繋ぎされました。

 一緒に歩き始めます。

 どうやら、馬車のある方向に向かっているようです。

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