24話 マシュマロ
考えてもわかりませんね。
時間の無駄ですやめましょう。
「うーん、お前にもわからないか。なら、仕方がないな、ま、言っておくが、クリスさんは剣だけでなく魔法も優秀だ。元々人間でなく、魔族という種族で千年ぐらい寿命がある長命種らしい」
なんですと、魔族?
「聞いてないんだけど……」
「ま、俺も有名人だから知っているだけで、よくは知らない。ただ、魔族の寿命は千年ほどあって、とくに人間に敵対しているといったこともないらしい」
ほうほう、寿命が千年ですか、私なんて赤ん坊同然ですね。
私がクリスさんに手を繋がれていたのも、小さな子どもが危なっかしいのを見かねてとかに近い理由でしょうか。
デートは私が異世界人だとわかったから親切心をだして案内してくれる口実だったりして、よくわかりません。
「まぁ、そんなわけで高梨とクリスさんにはどうしようもない、溝があるんだよ。高梨が傷つかない前に教えておこうと思ってな、余計なお世話かもしれねぇけど、少しは力になりたいんだ」
佐藤君が照れたように言います。
ありがたいですね、わざわざ私が傷つかないように事前に通達してくれたわけです。
見た目も格好いいですが、中身も格好いいんですね。
賛辞を贈ります。
ブラボー。
「ところで、冒険者がモテるってなんで?」
確かに危険な仕事ですし、鍛えた筋肉は魅力的ですが、その理由なら騎士だっていいはずです。
「ああ、それは魔物から街や村、国自体を守ると同時に、ダンジョンから出てくる宝箱から硬貨を持ち帰ってくるからだぜ」
「硬貨?」
「金貨や銀貨、銅貨もそうだな。鉄貨は国で管理して作るが他は皆ダンジョンから出ている代物だ」
金貨ってダンジョンから出てくるんですね。
「じゃあ、国が違っても貨幣は変わらないんだ」
「変わらないな、鉄貨ですら、国同士で決められた生産枚数しか作らない。他の貨幣はダンジョンを通じて神が作ったとされているんだ。だから、高ランクになるほどモテる。クリスさんなんて本当は恋人をダースで揃えてなきゃいけないほどモテるんだけどな」
「へぇー」
「ま、クリスさんぐらいになると、ダンジョンの最下層から白金貨をたくさん得ているみたいだし、俺らみたいな若造なんて歯牙にもかけないはずなんだが、高梨のことは、よくわからん」
私にもなんでクリスさんが構ってくるのかわかりませんが、私の精神的な安定の為に謎は謎のままにしておきましょう。
いずれにせよ堂々巡りですしね。
佐藤君はそれからも色々な話をしてくれ、今度暁の翼の皆さんと何泊かしてダンジョンアタックをする話をしてくれます。
この街から程近いところにはダンジョンがあり、その為にこの街が造られたということです。
何泊も、ということは夜営ですね。
陽キャによるところの『パーリーナイト』です。
焚き火をしながら、恋愛や人生の悩みなんかを暁の翼の皆さんと語り合うんですよね。
ここは、私が役にたちますよ。
焚き火といえばコレ。
必殺、マシュマロアターック!
単に物々交換でマシュマロを購入します。
そして、佐藤君に渡します。
ふふ、驚いていますね。
いい気分です。
マシュマロアタック成功ですね。
「高梨、お前元の世界の物を持ってこれるのか?」
「うーん、一部だけどね」
チートスキルだということを忘れていました。
黙っていたほうが良かったかな?
「ええと、ポテチとコーラ、それとカップラーメンの醤油味も手に入るか?」
なんだか、声が震えているようですね。
「大丈夫だよ」
ポテチはスタンダードな塩味で、コーラは大きなペットボトル。カップラーメンは一番売れている昔からの物。
「はい、どうぞ」
テーブルの上に並べてみる。
おお、感動してるな。
「金はいくら必要だ?」
「うん、心配してくれたお礼、今回はいらないよ。あ、コーラ大きいから、スーパーの袋必要かな?」
「いらねぇ、マジックバックがあるから」
おお、マジックバック。
お高いのですよね。
え、借り物?
いつか買いたい?
今だったら安いですよ。
親切な魔道具屋さんが勧めてくれましたし。
どうも新たな時空魔法使いが現れたようでマジックバックを量産しているみたいなんですよね。
なに?俺たちのクラスメイトかも?
そうかもしれませんね。
それからも色々な話をわちゃわちゃと話します。
「すっかり遅くなったな、送るわ」
「ありがとう」
この世界はまだ安全かどうかもわからないですから送ってもらいます。
薬師ギルドの前。
「じゃあな」
「おやすみなさい」
元気に別れます。
部屋に戻って日課の下級ポーション作り。
今日は楽しかった。
明日はクリスさんとのデートです。
どうなることやら心配です。




