23話 飲み物も?
ピロリン。
「ステータス」
【名前】高梨 由紀
【種族】人族
【年齢】16
【レベル】5
【HP 】175
【MP 】305
【攻撃力】204
【防御力】98
【筋力】135
【敏捷】87
【知力】183
【運】298
【スキル】錬金術、重力魔法、聖魔法、鑑定、アイテムボックス、世界言語、料理、物々交換、特殊経験値
【称号】女神のお気に入り
『特殊経験値』。
ふんふん、このスキルがあると、私の料理を食べた人間の経験値が私にもらえるのね。
いいんじゃない?
とってもいい。
ワクワクした気持ちで女神様を見る。
感謝の気持ちがわいてくる。
「うーん、とりあえずそれでいいかな?でも、食べた者たちだけなく、一応、由紀ちゃんが作った飲み物を飲んだ者たちも同じようにするわね。経験値ががっぽり入るように」
「はい、ありがとうございます」
おお、飲み物まで、もしかして、私が淹れた紅茶を飲んだ人がいたら、同じように経験値が入るのですかね。
なにげに凄いです。
そして、遠慮なくスキルをいただきますよ。
だってこの世界、講義は受けたけど、まったくわからないこともまだまだたくさんあって不安だもの。
薬師は安定した職業だとは思うけど国によるセーフティネットなどはなさそうだし。もし、病気になったとしても『自己責任』として、放置されそうだしね。
この世界での安定した生活を目指す為にも力はいくらあってもいいと思う。
借り物の力でなくて、自分自身の力が欲しい。
そう考えると今回もらったスキルは非常にいいスキルだ。
「じゃ、これでー」
ピカピカと周囲を光らせながら、女神様が去ります。
うう、本当にありがたい。
今日はレベル上げはもちろんだけど薬草採取も目的の一つです。
サクサク採りますよ。
おっと、フォレストキャタピラー。
気持ち悪いけど倒しますよ。
あ、スライム。
これも倒します。
魔石発見。
あ、薬草。
なんだかんだと時間が経つ。
ふー、こんなものですかね。
街に帰るとしましょうか。
街に帰ったので冒険者ギルドに行きます。
クリスさんは、いないかな。
いないようですね。
ふー、安心。
お、佐藤君見っけ。
それに、暁の翼の皆さんも。
買い取りカウンターにスライムの魔石を提出します。
前にアイテムボックスにためておいた魔石とあわせて、銀貨4枚と銅貨1枚。
しょせん、こんなものですね。スライムの魔石は銅貨1枚ですから。
さて帰りますかと扉に向かう。
お?佐藤君が呼んでいる。
あ、暁の翼の皆さんがいない。
「高梨話しても大丈夫か?」
「うん、大丈夫だけど?」
なにかお話があるのですね。
他のクラスメイトの話でしょうか?
「とりあえず、ここを出て俺の行きつけの店に行かねぇか」
「うん、行く」
なんの話かわかりませんが、聞いておいたほうが良さそうですね。
感じの良さそうなお店です。
こじんまりした裏通りの店です。
食事はだいたい銀貨1枚。
いいですね。
串焼き1本銅貨5枚の世界ですから。
オススメですか?これがミートソースのパスタに似ている?
それにしましょう。
うどんにざく切りトマトを炒め簡単に塩味がつけられたものがかかっているだけの感じです。
お肉は細かくした、ホーンラビットですか。
まぁ、食べられなくはないけど、圧倒的に日本のミートソースのパスタのほうがおいしいですね。
「で、話ってなに?」
「まぁ、本当はスキルのこととか聞きたいんだけどよ。マナー違反になるらしいから、聞かないが、まず俺の現状から話しておくと、今、暁の翼さんたちのいる宿に無料で3ヶ月居させてもらえるようになっている。異世界転移者の特典らしく、金は冒険者ギルドを通じてだが、どうやら国の方から出ているらしい」
ふぅん、私もだいたい同じような感じですかね。
「ところで話はかわるが、冒険者はモテるし、金になるらしい。ま、俺は別にモテないとしても、クリスさんは違う。S級冒険者だし、狙った獲物は逃さないって有名なんだって。で、なんでそんな有名人が、高梨とパーティーを組もうとしているのか、意味がわからないんだが」
私もわかりません。運命とか言われたような気がしましたが、あれは幻聴です。
多分、あれは涅槃から聞こえてきた寝言に違いありません。
しかし、『狙った獲物は逃さない』ですか、NGワードですね。
明日のデートは早めに帰ったほうが良さそうですね……。
「とにかく、なんだかわかりませんが、クリスさんは、謎だらけです。私に聞かれても困ります」
私はこの世界のスタンダードではないのでしょう、地味な人間です。クリスさんに好意を抱かれる原因がないと思うのですが、何故か構われる、なんでだろう。




