第7話 盗賊との遭遇
遅くなりました
城壁の門の前はとても混雑していたが、貴族の息子だということで直ぐに城壁を出ることができた
「オリヴァー、ここから先に絶対の安全なんてものはない。常に直ぐ動ける準備をしておけ」
「わかった」
といっても城壁を抜けて直ぐに何かが起こるわけがない
それに昼飯を食べた後なので眠くなる
俺は眠気を紛らわすために何か役立つ魔法みたいなものが前世で無かったか記憶を辿ると1つまだ試していない物が思い浮かぶ
そういえば何でこの魔法を思い出せなかったんだろ?
今思い付いた魔法を俺は試しにやってみることにした
自分を中心にして魔力を超音波のように反射の性質を持たして周囲に放つ
そう、索敵魔法だ
そして魔力が自分に跳ね返って来るのは感じるがそれ以上のことは分からない
失敗だった
うーん無理か…そもそも魔力をかなり使うから魔力切れになるか?
といっても魔力切れになったことないから意外と大丈夫なのかもしれないけど…
そう、俺は魔力切れになったことがない
1日中纒を発動させ、魔力制御の訓練をしても魔力が切れたりしないのだ
話によると魔力切れをおこすと強制的に意識がなくなるのだそうだ
戦闘でいきなり魔力切れになるということもありえるからやめとこう
それ以前に周りの様子なんて分かったもんじゃないし…
うーん、第3の目とかいってみるか?
そんなわけで俺は感知という性質を持たせた魔力を生み出す
だが何も変化がない
何でだ?何も変わらないぞ……数分考え続けた結果1つの仮定を思いつく
魔力の目が感知しても俺との繋がりがなければただ感知しただけの状態なのか?
まぁ、論より証拠だ。俺は細い糸のようなもので自分と魔力の目とを繋げるようなイメージをする
その瞬間視界が2重になった
うわ!頭が、がんがんする…
俺は目眩を耐えるために目を閉じ頭を振ろうとするが目を閉じても外の景色が見えることに気が付く
これは……魔力の目が見ている景色なのか?
試しに魔力の目を解除する
すると視界はいつも通りに暗くなる
もう1度発動するとちゃんと見える
次は成功したようだ
後は有効範囲がどの位なのかだな
やっぱ索敵といえば上空からだよな
というわけで魔力の目を上空に移動させるが…
結構な高さまで来たけど視力は俺と一緒か…
後少しで雲に到達する位の所でやめる
これ以上続けても俺の視力では意味がない
この高さが俺達が乗っている馬車を馬車だと認識できる最大の距離だ
すると、一瞬だが視界の端に光るものが見えた
何だ?
俺はそれが気になり光のした方へ魔力の目を移動させる
するとそこには20人程の盗賊のような男達に囲まれた5人の冒険者らしき集団が戦闘を行っていた
冒険者と思われる集団の中には子供が1人いて、その子を守るために1人割いているため実質20対3だ
これで見て見ぬふりをしたら寝覚めが悪い
全くモンスターよりも先に人間と戦うことになるとは…
「ソフィア、詳しいことは後で話すね。ここから少し行ったところで冒険者が盗賊と思われる集団に襲われてる。数は20。助けにいこう」
ソフィアは少し考え答える
「分かった、ただし私の命令には従うこと。危険だと判断したら直ぐ逃げること。いいな」
「分かった」
俺は直ぐ走れるように纒を発動させる
「おい!緊急事態だ!私たちは行かなければならない場所ができた。お前はここで待っていろ。夕方になっても帰ってこなかったらお前はそのまま戻れ!」
「了解しやした!」
少しずつスピードが遅くなる
「準備は…出来てるようだな。オリヴァーが先行。集団を発見したら、先頭を私と交代。オリヴァーは何か足止め出来る魔法はあるか?」
「あるよ。フラッシュって僕が言ったら2秒目を閉じて」
「よし!ならスイッチの掛け声で前後を交代。その際敵の足止めを頼む」
「了解」
「行くぞ!」
俺とソフィアはまだ動いている馬車から飛び降り、一瞬早く俺が先に動き出し横の茂みに飛び込む
その後をソフィアが追随する
茂みの中は倒木や岩などが散乱しているが全くスピードを緩めずに走り抜ける
前世で『ヴォルト』をしていた成果だ
前世で俺の家は合気道の名門だと言ったがあれは裏の世界での話だ
その為20才で初めて人を殺した
その後も何人か殺めてきたが、人殺しを成功しても失敗しても逃げ足というのは生死に直結する
だから俺は障害物があってもスピードを緩めずに、またある程度の障害物なら飛び越えることが出来るようにヴォルトという技術を修得した
それが今は人助けに使っているのだから人生何があるか分からない
「ソフィア後少しで視界に入るよ!」
「分かった!」
その数秒後金属同士がぶつかる甲高い音や怒声なども聞こえてきたと思ったら直ぐ集団が見える
「スイッチ!」
その瞬間俺は光の玉を集団の中央に狙いを定め撃ち放つ
「フラッシュ!」
掛け声と共に光がはじける
「くそ!何だこれは!」
「目が目がーー!!」
「目が開けねぇ!」
何人かが足元の木の根などに引っ掛かり近くにいる仲間と一緒に倒れる
足場が悪いから効果は倍増だ
混乱した盗賊の集団にソフィアは鞘がついたままの剣で近くにいた盗賊を殴りかかる
「がっ!」
「ぐふぇ!」
「どぅふぇ!」
剣を鞘から抜いていないということは殺すなということだろ
俺もそんなソフィアに続いて近くにいた盗賊の顎や首、鳩尾などに攻撃を加え気絶させていく
「くそ!何が起きてやがんだよ!」
そう叫んだ男も次の瞬間にはソフィアから殴り飛ばされ意識を失う
意識のある盗賊がおよそ半分になった頃ようやく視力が回復した者が現れてくる
もう少し数を減らしたかったが一旦距離を取り、どのようにして敵の数を減らすかを考えようとする前に盗賊の1人が声を上げる
「退避!退避だ!!」
そいつは頭領なのだろう
そいつが命令すると無事な者たちは四方八方、散り散りになって逃げていく
ソフィアの反応を見るが追いかけたりはしないようなので俺は構えをとく
こうしてこの世界で初めての人助けをしたのであった
「目が、目がーー!」
この台詞を書いたとき魔法名をバルスにするかどうか真剣に悩みました
…というのは、ウソでぇ~す




