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PS72パルサー星系防衛軍  作者: 星野 光一
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【9】3000年、太陽系掌握

「時空転移か。すごい技術だな」

俺は、言った。


「科学は、想像と実証の積み重ねです」

サクラの説明は、重みがある。


「で、人間は、宇宙のどこまで行けるの?」

「んー!良い質問です」

どっかで観たようなリアクションだな。


「天の川銀河程度は、活動範囲になっています」

「え?俺らのこの銀河系全部に行けるの?」

俺は、ビックリした。

せめて、火星ぐらいだろうと思っていた。


「そこで、宇宙軍のお話です」

「待ってました!」

俺は、喜んだ。


「そもそも宇宙軍創設構想は、2000年代からありました」

「うん。知ってる」


「その後、宇宙開発への民間企業の参入や、開発費への投資なども順調に進み、宇宙開発ペースは加速的に速まっていきました。しかし、そこにはある事情があったのです。つまり、地球が人類にとって住みにくくなるだろうという展望が発表されたのです」

「地球温暖化とか?」


「まさに、その通りです。太陽の活動が不規則となり、わずかに太陽が膨張を始めたのです。さらに輪をかけて、地球の資源の枯渇が切迫し、動植物の生活圏が狭まりつつありました」

「地球脱出計画か」

俺は、腕組みして考えた。


「で、やはり、テストを兼ねて、開発は月からです」

「そりゃ、そうだよな」

「で、月の基本調査が、開始され、2150年に月面基地建設が、着工しました。」

「それが、ここなんだね」

「そうです」


「人類は、1度経験すると実績を積み、スキルを上げて、開発ペースが速くなります。この月面基地の建設が50%まで進んだところで、人類は火星基地の建設を開始しました。太陽の膨張により、水星には近付けず、金星も高温高圧のため、移住は無理なので、資源採掘用の惑星となりました。そして、星間航行用の人間や資源を輸送するための宇宙船の大量生産と、過酷な開発現場で労働に従事するロボットやアンドロイドの大量生産時代になりました。このような開発ペースで、3000年までには、人類は、太陽系を支配することに成功しました」


「すげーな!おもしろいねー!」

「あの、クロさん」

「ん?どーした?」

「誤解しないでほしいのです」

サクラは、静かに言った。


「私がお話していることは、現実です」

「あー、うん。分かってるよ」

「地球の環境が変化し、人間の生活範囲も狭まっています。また、宇宙開発にも多くの犠牲者が出ています。順序的にもう少し先でお話ししようと思ったのですが、人間というのは新天地を発見し、活動範囲を拡げていくと、そこで争い事が起きるのが常です。で、最初の宇宙軍である、太陽系保安軍が創設されました。まあ、宇宙開発の初期ですので、治安の乱れが色々とありました。まあ、そんなこんなを経て、人間の活動範囲は天の川銀河全体に及び、範囲は広くなったものの、その後に設立された銀河全体を統括する宇宙軍の活躍により、かなり統制のとれた体制が執られています」


「うん。さすがは、地球の宇宙軍だ。

で、今は、宇宙狭しって感じで、宇宙船どうしの戦闘が繰り広げられているわけなんだろ?!」

俺は、だいぶ昔に観た映画の「スター・ウォーズ」の戦闘場面を思い浮かべた。


「1970年代から制作されたアメリカのSF映画、スター・ウォーズ・シリーズでは、戦闘をしているのは、人間どうしではありませんか?正確には、私たちの天の川銀河とは関係の無い、はるか彼方の銀河の設定ですが」


「うん、そうだよ。姿かたちは、人間だな。たしか、

銀河帝国軍と銀河共和国軍との戦いだよ」

俺は、スター・ウォーズを思い出しながら答えた。

まー、フォースとかいう超能力みたいのが本当にあるのか、分からないけど。


「あのスター・ウォーズという映画は、未来を予言したものだとも言えます。住みにくくなった地球から、それ以外の天体に移住した、元々地球上の人類由来の生物どうしの衝突を予言したものです。そして、それは、現実となりました」

サクラは説明を続けた。


「3000年に太陽系は統一されたように見えたのですが、居住困難となってきた地球から、火星へと本部を移した宇宙保安軍と、あ、この件は機密事項であることをご承知おきください。で、それに対し、木星の浮遊基地を本部とした木星衛星軍が発起し、軍事衝突が起きました」

「宇宙で、アメリカとロシアの戦争が起きたわけじゃなかったんだ」

俺の思考スケールは、やはり小さいのか。


「地球では、地球上の国家により分割統治されていましたが、現在は基本的に、1天体1統治体制です。

この3008年紛争は、それほど大規模な戦争には発展しませんでしたが、双方の兵器も、それ相応に強力な物を保持していたため、仮に全面的な戦争となった場合は、相当の被害が出るという戒めとなる出来事でした」


「やはり、人間は、こういう過ちを繰り返すものなんだな。今回は大したことなくて、よかったが」

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