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第41話 オークキング①

「おう! このまま行けそうだな!」

「ああ! 俺たちなら勝てるぞ!」


 戦いの中で成長する勇太たち。

 磯嶋はオークの攻撃を全て引き受け、勇太たちはオークらを一撃で葬っていく。

 数はまだまだいるが、自分たちなら勝てるはず。

 皆そう信じていた。


「【サンダーアロー】!」


 勇太の左手から雷の矢が放出され、オークの頭部に突き刺さる。

 由乃は力任せにハンマーを振り回し、オークの頭や腕などを吹き飛ばしていく。


「問題はあの大きなオークですね」


 由乃はオークキングを見据えながらそう漏らした。


 円が紫色のオークに斬りかかる。

 それはハイオーク。

 オークの上位種で、戦闘力は遥かに高い。

 円の一撃はハイオークの腕を傷つけ、青い血を巻き散らせるがまだまだ動ける様子。


「こいつも強い」

「だけど、俺たちも強い!」


 勇太は剣のスキル【ダブルスラッシュ】を発動させる。

 瞬速の二連撃がハイオークを襲う。

 腕と首が天高く舞い上がる。


「あ、あいつら強いぞ」

「ああ。俺たちもやるぞ!」


 勇太たちに鼓舞されるように、ダラデニーの兵士たちもオークへ押し強い突撃を仕掛ける。


「俺たちはあの紫の奴らを倒すぞ!」

「分かりました! 【ハイパーチャージ】!」


 バトルマスターのジョブスキル【ハイパーチャージ】。

 発動に10秒ほどの溜め時間が必要となるが、凄まじい一撃を放つことができるスキルだ。


 由乃は【ハイパーチャージ】を発動させ、ハイオークに【ハンマークラッシュ】をお見舞いする。

 その一撃はハイオークの上半身を粉々に粉砕した。

 

「すげーな、由乃! 俺も負けてらんねーぜ!」


 ズバズバとオークたちを切り倒して行き、ハイオークとも互角以上に戦う勇太。

 円も流れるような動きでハイオークを切り刻んでいき、確実にその数を減らしていった。


「ぐはは。面白そうなやつらがいるな」


 しかし、勇太たちの猛攻を眺めていたオークキングが動き出した。


 ドシドシと緩慢な動きで勇太たちに近づいていくオークキング。

 奴が動いたことに気づいた磯嶋は、皆の前に出て盾を構える。


「おう! 来いや!」

「お前みたいな勘違いした奴を叩きのめすのが楽しいんだよなぁ」


 オークキングは高々と巨大包丁を振り上げる。

 

「ぬん!」


 ただ力任せに振り下ろした包丁、それは磯嶋を激しく吹き飛ばす。


「な、なんだぁ!?」


 衝撃に耐え切れず、ゴロゴロと転げる磯嶋。

 勇太たちはオークキングを警戒しながら奴の周囲をぐるぐると回る。


「気をつけろ。結構強そうだ」

「ぐはは。お前たちじゃ俺には勝てないぞ」

「そんなのやってみないと――分からないだろ!」


 勇太は飛び上がり、両手で剣を振り下ろす。

 その隙に円が背後に回り込み、腰を十文字に切り裂こうとする。


 しかし、オークキングの分厚い皮膚は、円の剣を軽々と弾いてしまう。


「!!」


 勇太の剣を包丁で受け止め、そのまま押し返してしまうオークキング。

 勇太は町の壁まで吹き飛ばされ、頭を強く打ち付ける。


 磯嶋が再度前に出て、防御態勢を取り、オークキングの注意を逸らす。


「おうおう! こっちだ!」

「行ってもいいのか?」

 

 磯嶋へズンズン近づいていくオークキング。

 余裕の表情を見せながら振り下ろした包丁は、磯嶋の盾を真っ二つに切り裂いてしまう。


「な、なんだと!?」

「弱いなぁ、お前ら。俺は弱い者いじめが好きだから楽しいけど」

「そんなに余裕を見せていてもいいんですか!?」


 由乃は【ハイパーチャージ】を発動させ、オークキングの背後から力強い一撃を振り下ろす。


「ぬっ」

「はぁあああ!!」


 オークキングはその攻撃はそこそこ威力があると判断し、包丁で受け止める。

 その威力にズサーッと弾かれるオークキング。

 しかし、それだけであった。

 ダメージを一切与えることはできず、由乃はその圧倒的な力を前に、恐怖を感じ立ちすくんでいた。


「おう!」

「ん?」


 磯嶋が槍でオークキングの腹を突くも、効果は全く見られない。

 オークキングは驚く磯嶋を見下ろし、ニヤリを笑いながら腹部に膝を叩き込む。


「んぐ……」


 腹を抑え、血を吐き出す磯嶋。

 

 オークキングはそのまま倒れている勇太の方へと歩きだす。

 円はオークキングの動きを止めようと試みるも、他のオークたちに取り囲まれ身動きが取れなくなっていた。


「勇太、逃げて!」

「く、くそ……」


 頭を打ち付けたことにより平衡感覚が失われ、立ち上がることができない勇太。

 オークキングは勇太の前に立ち、ニチャーと粘りっ気のある気持ち悪い笑みを浮かべる。


「おい」


 オークキングの言葉に、オークは近くの兵士の頭を切り落とした。

 血を吹き出す兵士を見て、勇太たちは顔を逸らす。

 オークは切り落とした首を、槍に突き刺し、両手でそれを高々と掲げる。


「俺の趣味は弱い者イジメと人の首を収集すること。お前の首も貰っていく、がははっ」

「こ、こんなところで終わりかよ……」


 オークキングを睨む付けるも、動くことができない勇太。

 慈悲なく包丁は振り上げられる。


 もう終わりだ。

 勇太は死の覚悟を決め、ギュッと目を閉じる。

 振り下ろされる包丁。


「勇太くん!」

 

 誰もが勇太の終わりだと感じている。

 包丁はそのまま勇太の首を切り落とす――はずだった。


 しかし突如現れた司の足が、横から包丁を粉々に粉砕した。


「……誰だ?」

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