第27話 黒き獅子②
ズンズンと音を鳴らしながらこちらに近づいて来る《黒き獅子》。
全身を絶望が支配する中、失った四肢に視線を落とす。
「……あれ?」
失った部分を見ていると、急速に腕と脚が生えてくる。
ピクリと反応する《黒き獅子》。
俺に止めを刺そうと俊敏な動きに切り替え、襲い掛かろうとする。
が、俺は再生された手足で上空に飛び上がり、寸前のところで逃げ出した。
そうか……【神の加護】か。
瞬時に傷を再生する能力……今まで怪我をしたことが無かったから忘れてた。
俺は木の上に着地し、《黒き獅子》を見下ろす。
再生したのはいいけど、どうやってこいつから逃げるかだな……
クロスボウを取り出し、奴の右前足に向かって矢を放つ。
この攻撃がどれだけ通用するか……少しぐらいダメージを負ってくれたら逃げることも可能だけど、どうだ?
「ガァアアアアアアア!!」
矢はアッサリと《黒き獅子》の右前足に突き刺さり、悲鳴のような叫び声を巻き散らす。
あれ? 意外と通用するのか?
「【パワーショット】!」
弩のスキルを発動し、強力な一撃を放つ。
ドンッと右肩に矢は突き刺さり、《黒き獅子》を吹き飛ばしてしまう。
「…………」
なんだよ。十分通用するんじゃないか。
ビビッて損した。
恐怖なんて感じることなかった。
最初から攻撃しとけばよかった。
俺はさっきまで好き勝手やられていたことと、無駄にビビッていたことに対して怒りを覚え、感情のままにクロスボウを連射する。
「【パワーショット】! 【パワーショット】! 【パワーショット】!」
ドンッ! ドンッ! ドンッ! と《黒き獅子》は連続で後方へ吹き飛んで行く。
俺は地面に着地し、全力で駆け出す。
「これは俺の四肢を奪った分!」
「ガァッ!!」
顎をつま先で垂直に蹴り上げ、奴の体を宙に浮かす。
「そしてこれは――ムカついた俺の心の分だ! 【虎咆】!」
スキルによって繰り出される強烈な拳は、《黒き獅子》の腹部にポッカリと穴を開ける。
《黒き獅子》は断末魔を叫ぶはずだったのだろうが――もう既に声は出ない。
大袈裟に口を広げるだけで、そこからは何も発されることはなかった。
そのまま地面に落ち、あっさりと絶命する《黒き獅子》。
俺はプンプン怒りながら奴を見下ろす。
というか、逃げることばかり考えてた俺が悪いんだけどね。
《黒き獅子》の死体は、砂状に変化していき、徐々にその存在を失っていく。
そしてその体は夜空に融け込み、完全に消滅してしまった。
「ふー」
俺は大きく息を吐き、ステータス画面を開く。
どんなカードが手に入ったのだろう。
記録には『《黒き獅子》を討伐したことにより、新たな称号を入手しました』と表示されていた。
俺は称号の文字をタップし、入手した称号を確認する。
獅子を討伐せし者:黒き獅子を討伐した者に送る称号
効果・基礎攻撃力が二倍になる
攻撃力が二倍!?
大盤振る舞いもいいところだな……
まぁ、とんでもなく強い敵3匹のうちの一匹だしこれぐらいの効果があっても不思議でもないか。
四肢を切断された甲斐はこれだけでもあったというものだな。
と言うか、四肢を切断せれたのは自分のせいだけど。
カードは何か手に入っているかな……
《ホルダー》を確認してみると、【召喚士】と表示されたカードが新たに手に入っていたようだ。
召喚士:☆☆☆
どうやら【ジョブカード】のようだ。
召喚士ってことは……そのままの意味で、何かを召喚して戦うってことだよな。
俺は新たな力に興奮し、そのカードをタップする。
すると驚いたことに、『合成しますか?』という文字が映し出される。
「合成……?」
特に何も考えずに「YES」の文字を押す。
すると【合成師】のカードがキラキラと光を放ち、【召喚士】のカードが消失する。
「……えっ?」
何が起こったんだ?
俺は唖然としたまま、ステータス画面に切り替えた。
島田 司
LV99
ジョブ 合成師+
HP 3000(+9000)
MP 1500(+2300)
攻撃力 3000(+9000)
防御力 1000(+3000)
敏捷 1000(+4000)
魔力 1500(+3420)
運 1250(+3750)
ジョブスキル
合成Ⅱ 召喚
武器スキル
体術 99 弩 99
アクティブスキル
火術Ⅴ 99 風術Ⅴ 回復術Ⅴ
心術Ⅴ 99 弱化Ⅱ 6 手加減Ⅴ 27
潜伏Ⅴ 99 鷹の目Ⅴ99 帰還Ⅰ 19
パッシブスキル
HP増加(特大) MP増加(特大) 怪力
鉄壁 俊足 超魔力
強運 神の加護 毒無効
麻痺無効 石化無効 混乱無効
誘惑無効 病気無効 魔力消費0
術発動時間短縮(微弱) 高速成長
なんと、ジョブが【合成師+】に変化し、ジョブスキルの【合成Ⅰ】が【合成Ⅱ】に代わり、【召喚】が追加されている。
合成Ⅱ:同じカード同士を合成させることができる
ランクアップカードの作成ができる
「……ランクアップカード?」
《黒き獅子》を倒したことにより起きた新たなる変化。
俺は心臓が波打つ音を聞きながらひどくを興奮していた。
だが……この《黒き獅子》を倒したことによって、俺は大波乱に飲み込まれることになってしまうのだが……当然の如く、この頃の俺はそれを全く分かっていなかった。
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