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第25話 決別

 一度姿を消してコボルトキングを倒した勇太たちにコッソリ近づく俺。

 辰巳は俺の顔を見るなり、不機嫌そうに視線を逸らす。

 ま、悔しいだろうさ。

 自分が負けた相手に、自分が追い出した俺の仲間が勝ったんだからな。

 俺は心の中で「ざまあみろ」なんて呟いておく。


「アイリっていつの間にこっちに来たんだ?」

「さ、さぁ……俺も彼女を追いかけてきたから、よく分からないんだよ」

「そっか……ま、皆無事だったしいっか!」


 いつもの明るい勇太に戻っている。

 親指を立てて、とびっきりの笑顔をかましてきた。


「アイリ。みんなの遺体を埋めてやろう」

「ありがとう……司」


 俺たちはアイリと共に、無残に転がっている村人たちの遺体を、掘った穴へと埋めていく。

 時間はたっぷりとかかり、終わった時すでに外は真っ暗になっていた。

 穴を掘った程度の安易なお墓の前で膝をつくアイリ。

 祈るように手を組み、目を閉じている。

 俺も由乃たちも目を閉じ、黙祷を捧げた。


 辰巳だけは最初から最後まで手伝うことなく、そっぽを向いたままだ。

 お前は子供か。


「とりあえず、町に帰るとするか!」

「おう! 早く帰って飯食おうぜ! そうしたら辛いことも悲しいことも、ちょっとばかりは和らぐってもんだ!」


 勇太と磯さんの明るい声に、アイリはちょっぴりだけ口角を上げた。

 悲しそうな笑みではあるが、どこか救われたような表情をしている。


「リリース、ターミラ」


 由乃が【リバース】のカードを使用し、ターミラの町へと瞬時に戻る。

 町に到着すると、クラスメイトたちが宿前に集結していた。


「皆さん、無事だったんですね」

「天野……大崎」


 再会を果たしたものの、クラスメイトたちは笑顔を浮かべることなく、ただただ怯え震えているようだった。

 そして辰巳の顔を見るなり、皆彼を睨みだす。


「お、お前のせいだろ……三木も山本も池田も……お前の所為で死んだんだ!」

「そ、そうだ! お前が無茶をしなかったら、誰も死なずに済んだんだ!」

「あの場に大崎がいたら結果はまた違ったものになっていたろうに……お前が島田を追い出したのがケチの付き始めだ!」


 皆が辰巳に対して、罵声を浴びさせていく。

 責任転嫁だ。

 何もかも辰巳の所為にしようとしている。

 そりゃ、辰巳が悪い部分だって大いにあるだろう。

 だけど俺を仲間外れにしたのも、辰巳をリーダーとして受け入れたのもお前たちだろ?

 責任は全員にある。

 悪いのは辰巳だけじゃない。

 そう考える俺ではあったが、心の中ではもう一度だけ「ざまあみろ」と呟いている自分もいた。


 辰巳は暴言をその身に浴び続け、怒りと悲しみに満ちた瞳で体を震わせている。


「わ、悪いのは弱いお前たちだ! お前たちも【勇者】だったら、俺たちは負けてなかったんだ! 俺は強い……全部弱いお前たちの所為だ!」


 辰巳の言葉にシーンと静まり返る。

 一拍をおいて、ドッとクラスメイトたちの怒声が雪崩のごとく響き渡った。


 俺たちは皆と辰巳を引き剥がそうと間に入ると、辰巳は眉間に寄せれるだけ皺を寄せ、その場を去ろうとする。


「辰巳くん、どこに行くんですか!?」

 

 由乃の声にピクリと反応した辰巳は振り向くことなく立ち止まる。


「俺は、一人で行く。一人で強くなって……」


 俺の方にチラリと視線を向け、辰巳はさっさと歩き去ってしまった。

 今のは何だったんだ?


「で、皆俺たちと一緒に来るのか?」

「あ、いや……」


 勇太の言葉に、返事を戸惑うクラスメイトたち。

 さっきまで辰巳に好き勝手言ってたのに、震え出す皆。


「わ、私はもう怖いのは嫌」

「俺も嫌だ! もうモンスターと戦うなんて御免だ!」


 どうやらモンスターに捕えられたこと、そして三木たちが食われたのを目の当たりにして、恐怖に支配されているようだ。

 俺たちに付いて来るのを拒否しようとしている。

 

「…………」


 沈黙が続き、俺と勇太は顔を見合わせながら、肩をすくめる。


 ◇◇◇◇◇◇◇


 皆に部屋を取り、俺たちは自分の部屋へと戻って来ていた。

 疲れがあったのか、勇太と磯さんはベッドに横になるなり眠りにつく。

 俺は平常運転というか、特に大変なことも無かったので大して疲れもしていなかった。

 なのでどれだけ能力が上昇したのかを確認するため、ステータス画面を開く。


 島田 司

 LV99

 ジョブ  合成師

 HP  3000(+9000)

 MP  1500(+2300)

 攻撃力 1500(+4500)

 防御力 1000(+3000)

 敏捷  1000(+4000)

 魔力  1500(+3420)

 運   1250(+3750)


 ジョブスキル

 合成Ⅰ

 武器スキル

 体術 99 弩 99

 アクティブスキル

 火術Ⅴ 99 風術Ⅴ 回復術Ⅴ 

 心術Ⅴ 99 弱化Ⅱ 6 手加減Ⅴ 27 

 潜伏Ⅴ 99 鷹の目Ⅴ99 帰還Ⅰ 19

 パッシブスキル

 HP増加(特大) MP増加(特大) 怪力 

 鉄壁 俊足 超魔力 

 強運 神の加護 毒無効

 麻痺無効 石化無効 混乱無効

 誘惑無効 病気無効 魔力消費0

 高速成長


「おお……」


 結構なパワーアップを果たしていたのを見て、俺は感嘆の声を漏らす。

 まぁ倒したコボルトの数は半端なものじゃなかったからな。


 俺はホクホク顔で新たなカードを入手していないか見るため、《ホルダー》を開く。


 術発動時間短縮(微弱):レア度N ランクB

 術発動時間を1秒短縮する


 【術発動時間短縮】……コボルトキングを勇太が倒したことにより、手に入れたカードか?

 喜びを感じる反面、合成で強化できないことを考えると、いまいちの性能だとガッカリもする。

 ないよりはマシだけど、こういうボスドロップのカードは恩恵が少ないよな。


「…………」


 ボスと言えば……三獣神(さんじゅうしん)とか言う奴がいたよな……

 もしかしたら、レア度が低くても凄い性能のカードをドロップするんじゃないのか?

 今の俺の能力なら、何とかなるかも知れないよな……

 勝てそうになかったら逃げる。危なそうでも逃げる。

 【潜伏】もあるし……とりあえず見に行くぐらい、いいよな?


 俺は抑えきれない興奮を胸に、眠る勇太たちを横目に部屋を出た。

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