綾乃の逆襲
守るだけじゃない。綾乃は攻撃だってするんです。
「そっちの攻撃が終わったんやろ?今度はこっちが攻撃する」
「無茶だ!相手は長老だぞ!」
佐藤が叫んだ。
「半径十メー透以内の霊力を消滅させる」
ピシャリと言うと、周りが絶叫した。
「綾乃ちゃん!無理よ。長老がブロックするに決まってるわ!」
「自分の霊力を保ったまま戦おうとするから、ブロックされるんや。それじゃ勝てん。私は自爆テロや。ブロックできひん。一緒に爆発して霊力がなくなるんや」
一同、腰を浮かした。そんな馬鹿な。という思いと、やりかねないという思いが交錯して、部屋の中の空気が乱れた。
「お前の望みは、何じゃ?」
長老が訊いた。
「自由を奪われないこと。結婚する相手を選ぶ自由、交際する友人を選ぶ自由。それを、今後、一族全員に保障して頂きたい」
「魔法使いが一般人と交わると、不幸が生じる」
「それを気にする人は、魔法使いとだけ付き合えばいいのです。私のように、気にしない人間には、勝手にさせたらいいのです。万一、秘密が漏れたら、それは、秘密を漏らした罪として罰を与えたらいいわけで、始めから自由を奪うようなことをしないで頂きたい」
「お前は、僕と結婚するんだ。そんな勝手は、長老がさせない!」
思い出したように佐藤が叫んだ。
こいつ、本物の馬鹿だ。そもそも、そんなことさせないと言うなら、自分で戦ってみろってんだ。佐藤に詰め寄って腕を掴むと、電流が流れて佐藤が絶叫した。
「拷問みたいやね」
薄く笑うと、佐藤が喘ぎながら叫んだ。
「ち、長老!こ、こ、この魔法をか、解除して!こ、これさえなけりゃ、い、いいんだ」
「そちらが解除の魔法をかける。こっちが霊力の消滅を狙う。どっちが先になるか、勝負や。面白いと思いませんか?」
まるで西部劇だ。腰の拳銃に手を掛けて決闘するのだ。どっちが先になるか、勝負だ。
霊力を消滅させたい。でも、もし、心を支配されて、電気の魔法の解除を目論んでも、絶対に解除できない。
解除を前提とした魔法はもろい。長老の反対呪文で簡単に破れるだろう。だから、限られた場合しか解除出来ない魔法――自由意思で、なおかつ真摯に解除を希求する場合にしか解除できない魔法――にしたのだ。
静香が気付いて叫んだ。
「綾乃ちゃん!自由意思でも解除できないかもしれないって、そんな魔法をかけたら、下手すると、あなた、これから、誰とも握手したり、肩を抱いたり、触れ合ったりできなくなるわ。誰とも付き合えなくなる。いいから、解除なさい!長老には、私から頼んであげるから!」
「シズ、私は、あんたと違うんや。今も……誰とも、付き合うてへん。だから……変わらんのや。霊力が、なくなれば……私は……自由になる。誰にも……何も…強いられん。それで……いいんや。そう、なりたい……んや」
私の体を包んだ炎が天井まで届いた。
佐藤は登場人物の中で一番のボンで、アホです。




