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吉岡綾乃は最強の魔法をかけた  作者: 椿 雅香
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綾乃の魔法

綾乃は、とある魔法をかけて長老と対決します。

 佐藤は、顔を真っ赤にして怒鳴った。

「失敬な!僕は、四色も使う優秀な魔法使いだ。大根や菜っぱと一緒にされる覚えはない!」

「大根や菜っぱに失礼やった?あんた、そもそも四色や四色やて言うけど、その四色で、何してるん?あんたが、その優秀な四色の魔法使て、世のため人のために何かしてるって噂は聞いたことがないわ。あんた達、魔法使いは種の保存のことばっかり考えて、本来やるべきことを忘れてしもとるんや。

 魔法使いの能力は、本来、地域のみんなを助けるために使うためにあったはずや。それなのに、魔法使いが減ったからって、魔法使いを増やすことだけを目的にするようになって、魔力は何のためのものか忘れてしもたんや。周りを見ればいい。魔法使いは魔女を、魔女は魔法使いをものにすることしか考えん。みんなのために魔法を使うことなんか考えもしいひん。

 使わん能力やったら、あってもなくても一緒や。そんなんやったら、皆さんに食べていただいて、血となり肉となる大根や菜っぱの方が、よっぽど、世のため人のため役に立ってるわ」

 佐藤だけでなく、静香も小西も真っ青になった。中央の長老と付き添いの魔法使い達も唖然としている。今まで誰も、長老にこんな物言いをしたことがなかったのだろう。長老は絶対だ。逆らってはならない存在なのだ。

「ワシに逆らうのか?」

「私は、納得したことしか受け入れません」

 息を整えると、体を包む炎が揺れた。

「ワシは、お前の記憶を消して、真一に添わせることもできる」

「知っています」

「だったら、ワシに逆らうのは賢い方法だとは言えまい」

「その脅しは通じません」

「?」

「私の心を操作すると、ある魔法が解除できなくなるようにしてあります」

「どんな魔法じゃ?」

「人間の男、特に魔法使いは、私に触れることができません」

「何をした」

「単純な魔法です。電流が流れるのです」

「ワシがお前に解除させる」

「この魔法は、私の自由意思でのみ解除できます。もし、あなたが、私の自由意思を取り上げたら、私は解除できない電気の魔法に呪われた魔女です。誰のものにもなりません」


 静香が驚愕して割って入った。

「綾乃ちゃん。無茶よ。あなたがどんな魔法を使っても、長老の方が霊力が上なの。解除するポイントまで、あなたの意思を持っていくことができるの」

 長老が満足そうに、静香を見た。私は、やっぱり、と、笑って言い返してやった。

「タヌキでも、キツネでも、年経たものは、霊力が高い。魔法使いだって、そうやないかと思ってた。そんなこと、計算済みや」

タヌキやキツネと一緒にされたのだ。長老は真っ赤になった。

「ある限られた場合じゃないと、解除できひんことになってる」

「それって、どういうこと?」

「私の自由意思で、なおかつ心の底から真摯に解除を求めた場合にしか解除できないように設定してあるんや」

「あなたの自由意思でも解除できない場合があるってこと?」

「そうや。だから、長老が、私の自由意思を操作しても、本当に心の底から解除を願わんと解除できひん。操作された自由意思じゃ、心の底から、という意味で無理がある。もしかして、私の自由意思でも解除できひんかもしれん。何せ、ここんとこ、ズッとかけっぱなしやったし」


「お前、そんなもん、かけたのか?」

 小西が唖然とした。

「ト、あんたの協力には感謝する。おかげで、どのくらいの電圧がいいのか、よう分かった」

「あれは、そういう実験だったのか?」

「一度、この人と戦いたかったから。私から、恋人の達也くんも、親友の美加も、タツヤも取りあげた。魔法を使わない魔法使いの一族の血を護るって馬鹿げた理想のために。そんなことしても絶滅するものは絶滅するんや。

 こんな馬鹿なことは早く終わらないと、将来も私みたいな子が出て来る。友達全部取り上げられて、パートナーを捜すことだけを求められて、苦しむ子が出て来る。私のことはもういい。でも、ここで止めさせなければ、このままずっとこの馬鹿げたことが続くんや」

「何をする気だ?」

 長老の脇で控える魔法使いが叫んだ。



綾乃の存在を失いたくない魔法使い社会にとって、最悪な魔法です。

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