静香との対決
小西は、長尾の正体を静香に意ってしまいます。
ⅩⅠ 静香との対決
次の日、おばあちゃん家に静香と小西が連れ立って来た。
「綾乃ちゃん。長尾くんって、龍だったんですって?」
静香が鋭い目つきで詰め寄った。
小西がチクッたのだ。あんなに頼んだのに。
許せない。最低のヤツだ。ジロリと小西を睨め付けた。
ここは黙秘権の行使だ。何も言わないことにしよう。
「とんでもないことなのよ!分かってるの?」
「どうして、いつもいつも、龍にばっかり逆上せるの?あなたは、魔女で、しかもパーフェクトなのよ」
「何とか言って頂戴!」
「長老に報告しないわけにいかないでしょ?」
「佐藤さんのことだって頭が痛いのに。勝手なことばっかりして!」
五分ぐらい静香が吠え続けた後だった。中島が顔を見せた。
「透の家に行ったら、ここだって聞いたから……」
「薫。あなたからも言って頂戴。綾乃ちゃんが恋してるのは、龍なのよ!」
静香がまくし立てると、中島が冷たい目をして小西を見た。
「シズ、誰に聞いたの?」
「透に決まってるでしょ!」
「透。お前、最低だ。綾乃に代わって僕が戦う」
「何でそんな話になるのよ?」
静香が目を剥いた。
「僕は、今朝、その話をしようと思って透の所へ行ったんだ。綾乃の頼みを聞いてやって欲しいって」
「薫。馬鹿なこと言わないで!」
静香が、目を見張って中島を見た。その瞬間、中島の顔が歪んだ。静香の心を読んだのだ。
私や小西と対峙する時、静香は心にしっかりガードをかけて、絶対読まれないようにしている。でも、中島が相手だと――相手は読めないのだ――ガードが緩んだのだ。
中島は、瞬時に静香の心を読んでしまったのだ。
「カ、読めないほうが良かったやろ?」
私が言うと、中島が辛そうに首を振った。
「少なくとも、君が裏表のない人だということが分かった。君は得難い人だ。ジュニアに取られるのが……惜しい」
静香が不思議そうな顔をしたが、小西は分かったのだろう。固まってしまった。
「透。お前に藍の力があるのなら、どうして、綾乃を助けてやらなかったんだ?こんなに独りぼっちで、こんなに傷だらけで。可哀想に。この人を理解していたのは、龍だけだったんだ」
中島が辛そうに言った。
小西の馬鹿!静香の馬鹿!




