第五十一 『再補習』
「で、試した結果は?」
「一応出てくれました。
あっちは無言だったので、こっちが勝手に喋っただけです。」
「お前の女が世界を滅ぼすって?」
「まあ、端的に言うなら、そう伝えはしましたけど」
「返事は?」
「………………その、難しくて、あんま分かんなくて……確か……。
『我もその女をとぶらへり。消息提供に喜ぶ。
そなたに向かふゆえ、ほどくれ。』だったかな……。」
電話を思い出しながら話す。
「…………時代錯誤すぎない?」
「古文だよなぁ……」
「ちょうどその女を探していたから、貴方の情報提供に感謝する。こっちにくるから、少し待て、ね。
あの女の婚約者と確定しても良さそうだわ。
……待ちなさい、あの女と組んだらどうしてくれるのかしら。」
「いや、でも、そいつが来てくれたら、なんとか……」
会長が拳を握りしめているのが、見える。
穂波のために、いろんなことに手を尽くしてるんだよ〜!!と半泣きになる。
「なんか、もっと言ってた気はするんですけど、覚えてなくて……」
「きゅっ……」
「これに関しては、古文で言われて一発で覚えんのは俺でも無理だわ。」
申し訳が立たず項垂れる俺と同調してくれるキュウをコウちゃんは後ろからポンポンと叩いて慰めてくれる。
「……こちらも、何も抵抗手段を思いつかなかったわ。
そもそも、敵に対しての情報が少なすぎるもの。
あるとしたら、その婚約者に賭けるしかないわね。
はあ……」
大きなため息をつく。
「い、一旦、柊花に接触とか……」
「コウちゃん、もうこいつ縛りなさい」
「そうね、霜井戸くん、お願いできるかしら」
「こいつは好きですけど、そういう趣味はないんでちょっと……」
コウちゃん、いい男だが、友人としてしか見れねえ、ごめんな。
じゃない、穂波の安否確認がしたいだけなんだよ〜……。
泣く泣く諦めるしかないのか……。
「……仕方ないわ。
行くなら、そこの黒いナメクジは置いて行きなさい。」
「キュッ!?」
「当たり前でしょう、あんたの仮のご主人様が死に急ぐんだもの。
なにかあったら、こちらから接触しに行くためよ。」
キュウは、置いてかないよね!?と俺の手にしがみついてくる。
可愛らしいが……。
「ごめんな」
そう伝えて、会長にキュウを渡す。
親から離された赤子のように、悲惨な鳴き声をあげる。
「会長、すみません。」
「何かあれば、ログに残るようにしなさい。」
「はい、キュウ、ごめん。
頼む」
鳴き声をあげていたキュウは、思案の末、また先ほどのポーズをしてくれる。
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