表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
62/108

第三十六 『リセット』

ハッと意識が覚醒する。

な、なんで、コウちゃんとっ…!!!

そう思いながら、両手でコウちゃんの体を強く押す。

「っ、はぁっ…」

「七音……………じゃない、ケン…」

「顔赤くすんな!システムのせいだわ!!」

「ばっ、知ってる!!」

くそっ、屋上に入った瞬間に、主導権を取られた。

今の今までの記憶はあるものの、そんなセリフを言った覚えも、わざわざ歩み寄る行動もするはずがない。

くそ、くそくそ、七音が覚悟しなさいって言ってたのはこれかよ!

つか、キスシーンあるとか聞いてねぇよ!!!

先に説明しとけ!!

逆ギレをしていても仕方ない。

てか、明日、明日はどこだ、あいつさえいれば、止められただろ。

「明日は来てたか?」

「来てたら、止めてるだろ」

「それもそうか。

てか、このあとどうなるんだよ。」

「……このルートは終わりだ。

結婚ルートまでの好感度は稼いでないはずだから。」

俺がコウちゃんへの好感度がMAXだったら、そういうルート入ってたわけ??

えぐ。

明日、来てないのかよ。

さっきは言いすぎたから謝りたかったんだけど。

てか、終わりってことは……。

「まさかエンドロール中?」

「そうだな…」

「リセット……?」

「そうなる、かもな……

俺が俺のままだったら、大丈夫かもだけど。」

待て待て待て、嘘だろ…!

「穂波ー!!!」

せめて、せめて、今どこにいるかさえ分かったら。

血の気が引く。

いつも、手を引いてやってたのに。

今回は手を離した上に、振り払った。

ああ、ダメだ。

「ええ、ダメなカス野郎よね。」

ドアから声が聞こえてきた。

それは明日ではなく、虚な目をした会長だった。

「……」

「か、いちょう、それ」

「……いいでしょう?

私専用の、スタンガン。

不埒な男が近づいたら使えと、お父様に頂いたの。」

物騒なものを持ったまま、近づいてくる。

「だって、貴方、さっきハッピーエンドを迎えたでしょう」

「……は」

「いいの、いいのよ、霜井戸くんの選択だもの。

最後に私を選べばいいの。

この赤い糸は誰にも切れないもの。

でも……

——もう一つの赤い糸があるのなら、切らなきゃいけないわ。」

ばちばちと音が近くに聞こえる。

当たる。

そう思った瞬間、頭上からパチンと音があたりに響き渡った。

「おはよう♡」

みんなで声のした方、空を見ると、あの女がいた。

あの女への恐怖を感じるより先に、信じられない光景に目を見張る。

「——穂波っ!」

その腕の中には、明日の姿があった。

腕の中で健やかに眠っている。

「うふふ♡

可愛い健くん、これ、なーんだ♡」

あの女は、明日の服の中に手を突っ込むと、何かを取り出した。

その手にあるものは、ネックレスチェーンだった。

ネックレス……?いつから…?

明日の姿を思い出そうとする。

「隠していたから、見えるわけないの♡」

あの女はそういうが穂波が俺に隠し事をするわけない。

だって、いつだって、俺らは味方同士で。

「そう、貴方たちはこの世界でただ2人だけの親友であり幼馴染だったもの。

でも、ちゃんと見て、見たくない現実を直視して♡」

キラリと光るそれに目を奪われる。

「あ」

()()だ。

指輪。

嫌な記憶が蘇る。

「ああああ゙あ゙あ゙ぁ……お前、お前お前お前ぇっ!!!」

くすくすと笑い始める女に、怒りが湧き上がる。

会長の手から、スタンガンを奪う。

「きゃっ!」

「穂波を返せっ!!!降りて来いっ!!!!」

「こわぁい♡

うふふ、ふふ…ねぇ、長いと思わない?」

くすくすと笑いながら、問いかけてくる。

イライラする、何が長いって。

「……エンドロールが終わってない?」

後ろでコウちゃんが気づく。

「せいかぁい。

じゃあ、プレイヤーは誰でしょう?」

背中に寒気が走る。

ゾワゾワとする。

嘘だろ。

「そんなの、現実の……」

「システムに干渉出来るのは、貴方だけじゃないわ、小崎古味ちゃん♡」

「まさか」

「気づいたの?

私ぃ〜!」

ぴんぽーんと、口から擬音を出す女。

「穂波くん、傷ついたよぉ?

手を払いのけちゃったんだよね、こわぁい」

「俺」

「……ね、ね、先に契約しとけば良かったよね♡

そうしたら穂波くん無事だったかもしれなかったのに♡」

俺……。

「契約なんてしない!って叩かれた時痛かったなぁ♡

でも、でもでも……いいの♡

穂波くんが私のものになったから♡」

ああ、もう、ダメかもしれない。

「リセットしてあげる、また最初からやり直しましょ♡

また会いましょう、健くん♡」

光に包まれる。

光の中、後ろから抱きつかれる。

抱きついた相手を確認する間もなく、俺は意識を失った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ