第二十四 『ほっぺつねり』
「とりあえず…
勝手に使って悪いけど、ノートにまとめてみたんだ」
【ALLDAY〜あなたとのキスは恋の味〜】
ギャルゲー
▶︎主人公
霜井戸〇〇
▶︎攻略対象
・上野七音(現在中身は飯岡健)
・宇保町明日( ″ 高岡穂波)
・小崎古味
・前原高菜
・旗靡園
【ア・カペラの星】
乙女ゲー
▶︎ヒロイン
黒八木柊花
人外?、正体は不明
魅了させることが可能(現時点では七音たちに効いていない→中身が違うから?)
▶︎攻略対象
・飯岡健(中身は上野七音)
・高岡穂波( ” 宇保町明日)
・その他大勢(消息不明、暗いところ?、消される?)
▶︎入れ替わった理由
・不明
(両者とも起きたら入れ替わっていた)
▶︎七音たちが戻れる方法
→黒八木柊花から【七音たち自身がこの件を解決すること】と言われている?
「このくらいか?」
「うん…うん、そうだね。」
「情報が少ねえ〜!」
「こっちはこっちで攻略し続けた方がいいのかな…」
「後〜、会長だけか。
会長なら大丈夫だろ、お前ら…あ゙ー、そっか、まぁでも七音は気に入られてるだろ。」
「……?
なんで、そう思うんだよ」
ははっと笑っていたコウちゃんは、俺の言葉を聞き、ピシッと固まる。
「…………誰が…俺を、会長に、売ったんだっけ…??」
「アッ」
小さい悲鳴をあげる。やべやべ忘れてた…。
「あれ〜!!!もうコウちゃん帰る時間じゃない!?」
「時間制限なんてないだろ!?」
「いやいやいや、まあ、ほら!
帰れ!」
「帰れってなんだよ!?
——……お前らで話し合うんだろ、素直に言えっての」
「……」
「……」
「……あのさ、返事くらいはしようぜ」
「……返事」
「……」
ほっぺを鷲掴まれる。
「はなへ〜!!」
デコピンをしてから、コウちゃんは無言で手を離し、出ていく。
……出て行く前にあっかんべーと舌を出してから、出て行った。
いくつだよ、あいつ。
そう考えながら、穂波と目を合わせる。
「……コウちゃんに話せるのはここまでだよな」
「そうだな」
そう、コウちゃんにも七音たちにも話せていないこと。
「——正気度システムがあるなんて言えねぇし、あいつのことをどれだけ話せば減るのかも分からない。」
「そこなんだよね、この世界にはそのシステムはないけど、いつあの女に手を出されるか分からない状況で、迂闊になんでもかんでも話すわけにはいかないからな…」
「俺らなんて何度発狂させられたか」
「システムだから、自動で減る。
しかも、何度も何度もやり直しをさせられる。
地獄ここに極まれり、だったな。」
「……やっぱ戻んないといけないよなぁ。
ま、戻れる方法も入れ替わった方法も分かんないんだけど」
穂波は無言でうんうんと頷く。
俺らが呑気に過ごしている間、あちらではそこら中の人が連れ去られていた。
穂波も知らなかった、俺も知らなかった。
知らなかったでは済まされない、心の中では理解していてもその重罪に対して、俺らはなにをするすべもない。
あるとすれば。
「ゲームを壊す…」
「意味、ないんじゃないのかな。
直されて、はい最初から、だよ。」
「……記憶も消されて、全部がおじゃんになったら、それこそ、ね」
暗い顔をしている穂波を見ていると、こちらまで気分が沈む。
「まあ、考えてても仕方ないし、こっちも進展があったら、連絡する程度に考えよう。
多分あいつなら、今は観測者気取りでいるから、手を出さないだろ」
「……うん」
ずっとシケた面をしているので、ほっぺを引っ張る。
現在は美少女なので心が痛いが、仕方なし。
「いはい」
「じゃあ、笑ってろ」
「おもひろいほとほはいのひ、わはえはいお」
「じゃあ、あれだ…うーん、うーん…」
頬から手を離し唸る。
思いつかない。
すると、穂波に頭を撫でられる。
「健ちゃんが健ちゃんでいる限り、面白いからいいよ」
その顔には微笑みが浮かべられている。
「……」
さすが美少女だ、と見惚れていると、明日の顔が赤くなっていく。
窓の外を見ると夕方だった。
「もう夕方か」
「……そろそろ帰ろうかな。」
「おう、今日はごめん、ありがとう」
「うん、なんかあったら呼んでよ。
またね」
ふりふりと手を振られ、振り返す。
1人になると不安になる。
お母さん、いるかな。
ご飯は出来てるかな。
……ふと、今日のことを思い出す。
(なんで、穂波、遊園地にいたんだ…?)
七音〜!!と呼ぶ声が聞こえたので、返事をして、駆け降りる。
まぁ、明日にでも聞けばいいか。




