第一 『俺の幼馴染は平凡イケメンでした。』
「おいおい…美少女に転生かよ?!」
「何言ってんのよ、病気?今日はコウちゃんと一緒に登校するんでしょ?
ほら、さっさとご飯食べなさいな」
知らない母親の声が聞こえた。
「は、はーい!」
とりあえず元気に挨拶、これ大事
コウちゃんとは誰なのか、そして今どのような状況なのか
全ての疑問を置き去りにし、この次元にある俺の学校へと行く準備をした。
〜・〜・〜・〜・〜
どうやら、俺は『上野七音』という美少女になったらしい。
結構胸が大きく、身長も俺ぐらいはあった。
だが、性格はとても優しく温厚な子らしい
幸いなことにまだ高校一年生らしい
(よかった、俺が高校三年生で…)
授業内容は安心だ
だけど、少し心細いな…
知ってる奴がいないという世界でやっていけるだろうか…
とりあえず、朝食を終えて学校に行く準備が終わったので
外で例のコウちゃんを待っている
「コウちゃん、まだかな…?」
など練習をして暇をつぶす
五分後にそのコウちゃんは隣の家から出てきた
「おはよう!」
「おはよう、七音」
元気ににっこりと笑って挨拶すれば、あちらもにっこりとイケメンフェイスで笑い、挨拶をする
残念ながら、穂波並みのイケメンではなく
そこら中にいるいわゆる『平凡イケメン』だ
(穂波ほどのフルイケメンがいれば、惚れてやろうではないか)
そんな考えを遮るように彼は言った
「遅くなってごめんな、行こうか」
と、手を差し出してくる
待って、何この紳士。
平凡イケメンのくせに…お前、この美少女の手を握ろうってか…
(うわぁ…)「うん、コウちゃんは学校行ったら何の部活に入るの?」
心情を出さないように、ゆっくりと聞きだす
「俺は、七音と一緒の部活に入りたいって思ってるんだよな」
そもそも、なんの学校かも知らない俺に言うのか、それを…
とりあえず、この場合はなんと返せばいいのかがわからない
「私も同じ事思ってたんだ、凄いね、幼馴染って!」
んふふーとか男の俺がしたら気持ちが悪い行為を行う
その様子を見て、微笑ましそうに笑うコウちゃん
…待てよ、学生手帳にもしかしたら情報があるんじゃないのか?
七音とこのコウちゃん、俺が美少女になってから出会ったのはこの二人だけ
というか、七音は俺になっちゃったんだけどさ
あれやこれやと話していたら、もう学校前だ
さて、問題です。
俺のクラスはどこでしょうか!
はい、時間切れー!答えはー、俺もわかりません!
茶番を繰り返していると、コウちゃんが
「また、忘れたのか?そろそろ慣れなくちゃな、七音は『1−5』だろ?」
なるほど、1−5か…
下駄箱に靴を入れて、スクールシューズに履き替える
かっこよく言ってるけど、ただの上履きです。はい
「コウちゃん!ちょっと学生手帳見せてくれない?」
「いいけど、どうしたの?」
と快く貸してくれる
よかった貸してくれて、男の俺だったら友情アッパーをかます場面だな
『霜井戸孝乃』
やけに珍しい名前だな、俺なんて上野だぞ
ありふれすぎて、何も面白みなかったぞ
「えへへ、誕生日忘れちゃって。よかった、まだ過ぎてない…」
ほっと息を吐く
もちろん、嘘だ。
男の誕生日を知って何になる?友人ならまだしも、こいつは他人と言ってもいいぞ
まぁ、俺からしたら…なんだよなー
俺(七音)の幼馴染だもんな…
「そっか、七音と近いから覚えやすいんだけどな」
なんて言って青春男子の顔をしている
漫画ならば、女子がきゃーと甲高い…悲鳴のような歓声を上げるだろう場面
「じゃあ、教室いこっか!」
話をそらすために教室に行こうと提案をする
「いいけど…七音、靴履き違えてる」
コウちゃんの指差す先を追えば、左右反対の上履きを履いた俺の足が見えた
「…てへ」
と少女だけが使う秘技『てへぺろ』をした後、すぐに直した
「相変わらずだなー」
なんて、言って口元に手を持って行って笑っている
お前、母親かよ。なんだよ、相変わらずだなって俺でも使ったこと…あるか
これはあれだな、幼馴染特有の性質だろ
くだらない考えを悶々と繰り返してきた俺の肩に手が伸びてきた
その先を辿れば、予想通り
「お二人さん、朝からお熱いねー。そろそろ、チョコレートが溶けてきそうなほど熱いから教室に入った入ったー!」
美少女がいました。
くだらない考えって終わりませんよね。




