死を選ぶ部隊
僕は安定してきた自分の部隊を壊したくなっていた。そうなった問題をスラリンに相談していた。
「スラリン僕はモンスターパーティーを大切に育てすぎた」
「ヤマトはモンスターに優しいよね」
「それが問題になって来てる。2つ問題になってる。モンスターを大切にするあまりにリスクのある次の段階のモンスターとの戦いに挑めない。もう一つは純粋に大切に育てたモンスターを助けようと僕自身がリスクを追う可能性がある。これと絡んで僕はスラリンを他のモンスターと別格で僕の命を守るように守りたい。最初は口だけで弱いモンスターだなと思ってた。でも今は第2の司令塔、相談役、友達。スラリンの変わりは居ない。リスクを背負うための僕とスラリンを守るための捨てモンスターを作りたい。そしてリスクを負った戦闘でモンスターが死んでしまっても全体で問題が無いように代わりのモンスターと作りたい」
「僕もヤマトと記憶を共有したり人の言葉で考えるようになって人間的になってると思う。ヤマトの提案乗るよ。僕はどこまでいってもモンスターだよ。人間にはなれない。ただ敢えて人間の様に保身を考えて生きたいと君に要求すれば良いんだろ?」
「うん。自分だけの保身ならゆっくりやっても良いからね」
「罪悪感を僕と分担するわけか…」
「それだけじゃないけどね、僕は他のモンスターとスラリンを差別化して扱いたい。どこかでモンスターと僕の間に線引きが欲しいんだよ。スラリンをこっち側に引き込みたい」
「モンスターの武器化、道具化か…、それをモンスターの僕に言うか。君は別だからと。なんとも言えない気持ちだね。良いよそのゲスな考え僕も乗ってあげるよ。君のアビリティを生かすにはベストなのは間違いない。でも酷いものだな」
完全には変えの効く部隊を作る気は一切無かった。そこまで保険をかけると逆に時間が掛かる。要となるモンスターがいるからそこだけピックアップした。スラ1は回復形ではうちのNO2。僕がNO1。スラリンがNO3。でもスラリンに担ってもらう。スラ1は死んでもフォローしない事に決めた。もう僕の部隊にスライムは決死の兵以外いらない。ゴブリンはメイジは必須。これはメイジがそもそも少なすぎる。僕の部隊は回復形はそれなりに揃ってるのでメイジが欲しい。脳筋パーティーだよな。ゴブリンでも何でも良いからメイジの発掘。後のゴブリンはすべて決死隊にする。ただ1号は出来たら殺したくないな…。ウルフとワーウルフ。この2人は必須だった。落ちても良いから代替戦士を作る。
僕はこの計画に従い行動に移した。今まで危険だから避けていたウルフの群れの討伐に向かった。実はこの依頼なら幾らでもある。ポピュラーな魔物だから。徒党を組むことが多いウルフは集団戦が多いから弱いうちは避けていた。決死兵のウルフが欲しいので狩りにいった。ワーウルフは1匹だけでよかった。ウルフと違って強いので単独が基本で狼だけど群れはあまり作らない。ワーウルフの方が狩りやすかった。ワーウルフを狩り、そこから模擬戦とゴブリン狩りとウルフ狩りを繰り返した。クリエイトを相手の勢力を見つつ速攻で行いすぐに図鑑に保管して魂をストックする狩りを繰り返して数匹のゴブリンとウルフを手に入れた。何よりあたりだったのはワーウルフがメイジが入ってた。ワーウルフは強力な身体能力で見通されがちだがさすがに人狼種だ知性がやっぱりゴブリンレベルよりは高いのだろう。
ワーウルフメイジを大切に育てた。しかし今のNO1戦力のワーウルフほどは育てなかった。もっと大事な目的があったから。決死兵による戦略の見直し。これによって僕は死んでも良いモンスターによる作戦を立てた。もちろん取替え可能だが、以前から居る1号など大切にした。見た目の特徴などもあまり覚えなかった。僕にはもう1つ作戦があった。ただそれは強く意図したものじゃない。しに行くモンスターの中で生き残ったモンスターを昔からいるモンスターの代替に利用しようとした。これによって2,3匹死んでも良いストックが出来た。メイジの育成はワーウルフだけにした。これらの低、中位モンスターでは魔法を使うモンスターの育成は限界だった。クリエイトによる偶然の付加能力だった。
「いよいよ完成したねヤマト」
「うん決死の兵として用いる10程度の駒、代替可能な競争により磨き上げられたストック兵、数は少ないがメイジの育成」
「いよいよ行く?」
「うん。たださ部隊の編成のためだけにやったわけじゃないんだ。僕は今まで僕の都合で動いてきた。モンスター部隊は偏見があるだろうからね。他のパーティーと組むのを避けてきたから弱いうちは小規模の相手だけにしてきた。後僕の保身ね。僕とスラリンのレベルアップと部隊全体の戦力の増強。以上が達成されたのでギルドにとって美味しい仕事を進んで引き受けた。マスターが扱いやすいように依頼を個別にしてたのはしってたからね。大部隊を展開して相手の集団を殲滅なんて真似前ならできなかった」




