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  作者: 外山
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準備

ある日のホームルーム


担任が来るのがやたらと遅いので桐島達は雑談していた

「そういや、渡部と徒仲はいつから知り合いなんだ?やたら仲良いみたいだけど」

桐島は以前から気になっていた漠然とした疑問を2人にぶつけた

「私らは中学からだね」

「うん 確か、、、中学2年の時に麻癒が転入してきたの」

渡部はふと目線を上にしながら思い出した

「そうそう!なんか歩ちゃんどんよりしててさー!何話しかけても、『そう、、、』とか言うだけで全然目もあわせてくれなかったんだよね!」

「ちょ、ちょっと!いいでしょ!そんな話!」

「すっごくうっとうしそうにさぁ、『ついてこないでくれる、、、?』とか冷たい目でよく言われたよ!」

「やめてってば!む、昔の話だからね桐島君!」

渡部はモノマネ混じりに話す徒仲を止めながら桐島に否定する

「ふ~ん、、、徒仲はどっから引っ越してきたんだ?」

「隣町からだよ だからずっと埼玉!」

徒仲は人なつっこい笑顔でこたえる

「歩ちゃんは生まれは埼玉じゃないんだよね?」

「うん 小学5年生ぐらいまでずっと名古屋だったよ」

「名古屋、、、?」

桐島は思わず聞き返した

「え?うん、そうだけど、、、どうかした?」

「いや、、、なんで埼玉まで引っ越してきたんだ?」

「私もあんまり理由は知らないんだ いきなりだったから、、、」

渡部は少し寂しそうな表情を浮かべた

「そうか、、、」

「だからその時の友達も、私がどこに引っ越したかとか知らないんだよね」

「そんなにいきなりだったのかよ」

桐島は少し笑いながら返した

「そんなにいきなりだったの!」







少しすると、担任が遅れてやってきた


遅いホームルームに皆イラついていたのを感じたのか、担任は手早く話を進めた


「え~、体育祭が終わったばかりだがすぐに文化祭がある 体育祭の時と同じように実行部を決める必要がある」

担任のその言葉に桐島はすぐ反応した

(もう勘弁だぞ実行部は、、、)

桐島はドキドキしながら周りの様子を伺っていた

「ちなみに体育祭で実行部をした者以外で頼む だから桐島と渡部以外だ」

桐島はその言葉を聞いて安心した






実行部は割とすぐに決まりホームルームは終了した

(帰るか、、、)

桐島はカバンを持ち、席を立った

「ねえ桐島君」すると隣の席の渡部が声をかけてきた

「ん?」

「文化祭さ、何かやろうよ!」渡部の目は体育祭の実行部をやろうとしていた時と同じだった

「何かってなんだよ?つうか文化祭ってどんな感じ?」

「屋台とかやれるらしいよ!」

話を聞いていた徒仲は2人に言った

「なんかね、結構自由に小店みたいなの出せるんだって」

徒仲は続けて知ってる事を言った

「ふ~ん、、、」

桐島は特に興味なさそうにイスを机の下に入れる

「色んな機材とか食材とかある程度は無料で貰えるんだって」

「ま、頑張れよ お前らなんかやるんなら買ってやるよ」

桐島は徒仲の説明を流し、教室の出入り口のドアを開けた

「全部無料なのに、売り上げは貰っていいんだって」

「渡部 徒仲 文化祭なにがやりたい?」

桐島は一瞬にして2人の前に戻ってきた

「き、切り替え早いね」

渡部は桐島の豹変ぶりに驚いた

「なにをやるかっていうのももちろんなんだけど、どういう手順でやればいいのか分からないんだよね」

徒仲は困った様子で首を傾げる

「じゃあ頼りになる先輩に聞きに行こうぜ♪」

桐島はノリノリで教室を出た






「なんだお前ら 文化祭で何かやるのか?」

2人は帰宅の準備をしている竹内に話を聞きにいった

「いや~、何をやるかは決まってないんですけど、どういうものなのかなーって 屋台とか出来るんでしょ?手順が分からなくて」

桐島は目一杯下手に出た

「気持ち悪い奴だな、、、まあいい なにもややこしい事はないしな 簡単に説明してやろう」

竹内は咳払いした

「何をやるのかにもよるが、例えば屋台の場合、基本的には学年やクラス問わず誰とやってもいい.何人でやってもいいしな ただついてもらう教師が1人以上絶対に必要だ その教師に屋台を開く場所をとってもらったり、それに必要な機材を用意してもらったりする 場所や機材は早い者勝ちだ 期間で区切って希望が重なればくじ引きする 場所がなければ何も出来ないし、機材がなければ自腹で用意してもいい」


竹内は丁寧にわかりやすく教えた

「え~っと、、、じゃあ私らが今やる事はついてもらう先生を見つけるのと、一緒にやるメンバーを見つける事?」

徒仲は一つ一つ確認する

「そうなるな あとさっさとやる事を決めて早く場所を取った方が良い まだ場所取りは始まってないが毎年すぐに埋まるからな」

「分かった!悪いな!」

「ありがとねー!」

桐島と徒仲は早足で渡部が待っている教室に向かった

「敬語を使え!敬語を!」






「そっか、、、じゃあ早くしないとマズいよね」

話を聞いた渡部は頷きながら返事をした

「ああ!渡部と徒仲はついてもらう教師を探してくれ 俺は生徒何人か集めるから」

「うん!」

3人は手早く役割分担し、動き出した






教室を出た桐島は誰を誘うか考えていた

「焦栄は徒仲が誘うしな、、、誰誘うかな、、、」

(よく考えたら、、、俺友達少ねえなぁ、、、ま、それは中学の時から同じか)

桐島は気持ちを割り切り、心当たりのある人から当たってみる事にした







渡部、徒仲は担任の教師のところに行っていた

「悪いね 私はもう決まっていてね」

担任は申し訳なさそうに言った

「そうですか、、、」

2人は顔を合わせ落胆する

「というか、、、もう殆どの先生方は決まってると思うぞ?この時期には」

「え?」

「文化祭はみんなやたらと張り切るからなぁ 一般の人も入るからか知らないが」

「そうなんですか、、、誰か担当決まってない先生いないですかね?」

渡部は少しでも情報を貰おうと訊ねた

「う~ん、、、あ、そういえば、、、」

担任は何かを思い出したように呟いた







北脇は会議室で生徒会会議を行っていた

各学年数人が集まり、年間や学期間の風紀の確認をする


ガラガラ!!


すると突如誰かが入ってきた

「あ、いた 紗菜!」

いきなりドアを開けたのは桐島だった 桐島は北脇を呼ぶ

「なっ!せ、せい、、、」

周りの生徒会の人達は怪訝な目で桐島と北脇を見る

「っっ!!」

見かねた北脇は慌てて桐島のもとに駆け寄る

「な、なにしてんのよあんた!!会議中にいきなり入ってこないでよ!」

北脇は小声で桐島を叱りつける

「会議中?ああ、悪かったな それよりよ、文化祭でなんか一緒にやらねえ?」

「はぁ!?あんたそんな事言いにきたの!?」

「ああ、まだあんま人が集まってねえからさ」

「し、知らないわよ!早く帰って!」

北脇は桐島を外に押し出し、無理やりドアを閉めようとする

「ちょ、ちょっと待てって!」

桐島はドアを閉めさせず、まだ話を続けようとする

「うっとうしいわね!分かったわよ!やるから早く帰って!」

「マジで!?ありがとな!」

桐島がそう返事すると北脇はすぐにドアを閉めた

(もう!頭おかしいんじゃないのあいつ!)

北脇は生徒会の人達の視線に気がついた

「す、すいませんでした、、、」

北脇は一礼し、席に戻った








「え?私が文化祭の担当に?」

渡部と徒仲は保健室にいる女の先生、美嚢に頼みにきていた

「はい!私達準備始めるのがちょっと遅くて、ついてくれる先生がもういないんです!」

渡部はビッと頭を下げた

「う~ん、、、別に私はいいんだけど、、、それやった事ないのよね 私は教員ではないし、、、」

美嚢は少し困った様子で考えこむ

「どうにかならないですか!?」

徒仲は精一杯美嚢に迫る

「、、、うん、じゃあとりあえず教頭先生に訊いてみるわね」

美嚢は笑顔で頷いた

「あ、ありがとうございます!」

2人は同時に頭を下げた







「文化祭かぁ~、、、私は特に何もやった事ないなぁ、、、」

桐島は瞬のところへ来ていた

「じゃあ今年やりましょうよ せっかくだし」

「まあそれはいいとして桐島君、なにやるつもりなの?」

「え?、、、え~っと、まだ考えてないけど、、、」

桐島は色々と頭の中を巡ったが特に何も思いつかなかった

「何をやるかも決まってないのになんでそんなにやる気なの?」

「え、、、ん?さあ、、、なんとなく、、、?」

桐島は一瞬、売り上げを全てもらえるから、という答えが浮かんだが何か違う気がした

「歩ちゃんとやるからじゃないの~?」

瞬はニヤニヤしながら訊ねる

「は、はぁ!?何がだよ!」

桐島は焦って言い返した

「体育祭の時だってさぁ~、歩ちゃんが実行部やるから桐島君もやってたんでしょ?」

「ど、どういう意味だよそれ!?」

桐島は納得いかず、ひたすら言い返す

「別に~?気にしないでいいよ!あ、浜先輩と真奈美も誘っとくね」

瞬はそれだけ言うとニヤニヤしたまま去って行った

「なんだよあの人、、、まあいいや、次行くか、、、」








「別にかまわんよ」

美嚢はあっさり教頭から許可をもらった

「え、、、あ、ありがとうこざいます」

「うむ」

美嚢は職員室を出た


渡部と徒仲は外で待っていた

「どうでしたか!?」

2人は美嚢に押し寄った

「うん 許可もらったわよ」

「ホントですか!?良かったぁ、、、」

「見つけられなかったら誠哉君に文句言われてるとこだったね!」

2人はなんとか担当の教師を見つけ、ホッと安心した







「文化祭~?今んとこ興味ねえな」

外山はパソコンをいじりながら桐島の話を流し聞きしていた

「そう言うなって 瞬さんと安川さんと浜さんもやってくれるらしいからよ」

外山は桐島の言葉にピクリと反応した

「、、、お前、瞬さんのみならず安川さんと浜さんとも知り合いなのか!?」

外山はパソコンへの手を止め桐島に訊いた

「いや知り合いっていうか、、、瞬さんの幼なじみらしいし、、、」

「瞬さん達がやるなら俺もやる!」

外山は先ほどとは打って変わってやる気になってくれた




これで文化祭に向けての準備は整った

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