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  作者: 外山
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過去編~中学校~1

これは桐島誠哉と野波佳焦栄の中学時代の物語です

今年から中学1年になった桐島は、冥名中学校に向かっていた

「、、、完全に遅刻だな、、、まあいっか 入学式だし」

桐島はゆっくりと小川沿いの道を歩いていた

「中学ね、、、別に緊張とか期待とか不安とかなんもないな、、、それより生活の方が大変だ 早く慣れねえとな、、、」

小さい橋を渡ると、前にベンチがあるのが分かった

(ここでちょっと寝てから行くか、、、)

春の気持ちいい陽気はひたすら桐島の眠気を誘った

桐島はそのままベンチで眠っていた





、、、ろ、、、きろ、、、


(ん?)

「起きろ!さあ早く!」

「う、うわぁ!なんだあんた!」

寝ている桐島を必死で起こしていたのは若い男だった

「お前冥名中学の生徒だろう!見慣れない顔という事は新入生か!?」

男は桐島を立たせ、学校に向かって桐島を引っ張る

「そ、そうだけど、、、あんたは誰なんだよ!」

「俺は冥名中学で教師をやっている仲谷だ!」

「きょ、教師!?」

桐島はそのまま学校まで連れていかれた






「ほら、ここだ」

仲谷は押し込むように桐島を体育館にいれる

「、、、、、」

桐島はめんどうそうに体育館に入る


すると静寂に包まれている体育館の中にいる生徒達は出入り口の方に振り向いた

(、、、なに見てんだよ 途中から入るとこんなんになっから嫌なんだよ)

桐島は怪訝な表情で、仲谷に誘導され自分の席についた



桐島が座ると前に座っている男が振り向いた

「おいてめー」

席の場所からしてその男も新入生だった

桐島はゆっくりと顔を上げる

「俺はてめーみてえなスカしてる野郎が大っ嫌ぇなんだよ」

ワックスで髪を上げ、いかにも不良な男は桐島に凄んだ「、、、、、」

桐島は前の男のイスを蹴った

「うぜーんだよ 前見とけや」

「んだとコラ?」

「汚えツラ見せんなってんだよ うぜー」

「うぜーのはてめえだ!」

「どっちもうぜー」

2人の言い争いに一言参加してきたのは桐島の後ろの席の男だった

2人は勢いよく振り返る

「ん?なに?」

その男はとぼけた表情をしながら金色のメッシュが入っている前髪をいじっていた

「なにじゃねえよ!」

桐島の前の男は後ろの男にどなりつけた

「いちいち騒いでんじゃねえよ単細胞 うぜーからうぜーっつっただけだ」

そう言い終わると同時に桐島は後ろの男の胸ぐらを掴んだ

「、、、、、」

「、、、、、」

「、、、、、」

3人は黙って睨み合った






その後3人は生徒指導室に呼び出されていた

「全くお前ら、、、入学式早々騒ぐんじゃない!桐島!野波佳!菅井!」

仲谷は3人を座らし説教していた

「俺は別に、、、このバカ2人がうぜーから」

「誰がバカだコラァ!!」

桐島と野波佳は同時に菅井に言い返す

「いい加減にしろ!!全く、、、」

「ちっ、、、くそ」

(うぜー奴らと関わっちまったな、、、)

物静かに学校生活を送りたいと思っていた桐島は面倒くさそうにため息をついた








入学式から一週間 放課後



桐島はいつものように帰宅しようと昇降口を出た


すると先輩の不良数人が桐島の前に現れた

「よう桐島」

「、、、誰だよお前ら」

桐島は面倒くさそうに言った

「お前よぉ、あの野波佳って奴、ムカつかねえか?」

「、、、、、」

桐島はその名にピクッと反応した

「あいつ、俺は桐島より強いっつって言いふらしてるらしいぜ」

「、、、それがなんだよ?」

「俺らは断然桐島派だからよぉ、そういうのムカつくんだよ なぁ?」

男達は目を合わせ確認しながら頷く

「だからお前がやる気なら、野波佳呼び出してやるぞ?タイマン張らせてやっから」

「、、、、、」

桐島は男達を押しのけ歩き出した

「おい」

「時代間違えてんじゃねえよくだらねー 俺誰が強いとか興味ないし」

桐島はそれだけ言い残し、その場を去った


「、、、ちっ、あの野郎乗らなかったぜ」

「いいんだよ別に あいつ口じゃあんな事言ってたけどかなりイラついてたぜ」

「そうだな、、、野波佳の方を上手く乗せれりゃいいんだ」





「おい、野波佳」

また男達は桐島の時と同じように声をかけた

「なんだてめえら?」

野波佳は男達を睨みつけた






翌日 放課後




桐島と野波佳と見物人である男達8人は体育館裏にいた




(やっぱり野波佳は簡単に乗ってきたな)

(ああ)

男達はこそこそ小声で話していた


「おい、桐島、、、前も言ったけどな、、、」

野波佳は学ランの腕をまくった

「俺はお前みてえな野郎が一番嫌いなんだよ」

野波佳は桐島を指差しながら言った

「お互い様だろ?野波佳 こいや」

桐島はクイッと人差し指を引いた




菅井は体育館の陰からそれを見ていた

「あ~あ、始まっちまったか」

菅井はため息まじりに呟いた





十数分後、、、




「はぁはぁ、、、」

「はぁはぁ、、、」

桐島と野波佳は互いにボロボロになっていた

「ちっ、、、」桐島が吐いた唾は赤みがかっていた

「クソが、、、」

野波佳は切れた頬から流れる血を拭う

(なんだこいつ、、、もう何発入れたと思ってんだよ、、、)

(こいつ俺の動き読んでんのか、、、?簡単に避けやがるしあいつのパンチは避けにくいし、、、)

2人は互いに、ここまで苦戦するとは思っていなかった

「うらぁー!!」

「ぶっ殺す!!」

2人はまた殴り合いを始めた



男達はそれを見物していた

(へっ、さっさと殴り合いやがれ)

ニヤニヤしながら目で確認しあっていた







この体育館裏は校舎のある一室からだけ見える場所にあった

その教室は今は使われておらず要らない器材を置く場所になっていた

なのでその教室はよく不良の溜まり場になっていた

「杉山さん!作戦通りっすね!」

杉山と小原という男2人はその教室にいた


「ああ、チョロいもんだろ?威勢よく殴り合ってんじゃねえか」

杉山は桐島と野波佳のケンカを見ていた

「そうっすね 杉山さんはあの2人、どっちが強いと思いますか?」

「そうだな、、、まあ五分だろうが、それが今日分かる事はねえよ」

杉山はタバコをふかした

「2人が弱ってきたら周りの8人でフクロだ 生意気な新入生はこうやって指導してやらねえとな」

「杉山さん、、、ドワルっすね!憧れます!」


コンコン


すると誰かが教室をノックした

「ちっ、誰だ?」

杉山はタバコを消し、小原はドアを開けにいった







「はぁはぁ、、、」

「はぁはぁ、、、」

2人は膝に手をつき、疲れきっていた

「、、、へへっ」

「ふっ、、、はは、、、」

2人は互いに目を合わせ、笑いあった

(お、おい、こいつら本気でやってんだろうな?)

(やってなかったらこんなにボロボロになんねえだろ)

(まあ確かに、、、てゆうか杉山さんからの連絡遅くねえか?いつも途中で一回くるのに、、、)

(確かに、、、)

男達は小声で会話をしていた



すると体育館の陰から誰かの声がした

「お~、バカ2人が殴り合ってボロボロになってんぞ~」

菅井だった 菅井は壁にもたれ、笑いながら2人を見ている

「す、菅井、、、」

「何しにきやがったあいつ、、、」

桐島と野波佳は菅井の存在に気づいた

「お前らなにやってんの?ホントバカな奴らだな~」

「何だとコラ!」

野波佳は桐島や男達そっちのけで菅井に敵意を放った

「そこの先輩方、弱ったお前らボコる気なんだぜ?」

菅井は男達を指差した

「な、お前、、、」

男達は何故知られてしまったのか分からず、息を呑んだ

「なんか偉そうにしてるバカそうな奴の指示でよ?」

菅井は左手に持っていたタバコを投げ捨てる

「、、、てめえ、、、杉山さんが聞いたら終わりだぞ、、、」

男達は菅井にプレッシャーをかける

「ふ~ん、杉山、、、杉山ねえ」

菅井は手を顎にそえ、頷く素振りを見せる

「杉山ってのは、、、」

菅井は後ろにあるモノを前に出した

「こいつかよ?」

菅井が出したモノは、気絶した杉山だった

「なっ、、、杉山さ、、、」

「つー訳だ 桐島 野波佳 ぶちのめす相手は誰か分かってるよな?」

菅井はニヤリと笑った

「うるせー、指図してんじゃねえよ」

野波佳は学ランを脱ぎ、続いて桐島も学ランを地面に置く

「こいつら、、、全員死なす」






数分後





「やるじゃねえか 満身創痍のくせによ」

菅井は楽しそうに拍手をした

男達は全員、桐島、野波佳によって沈められた

「お前もちったぁ手伝えよな、、、いてて」

野波佳はドカッと座り込み、壁にもたれた

「、、、、、」

桐島は学ランを拾い、その場を去ろうとした

「なんだよ冷えなぁ 助けてやったのに」

菅井は桐島の肩に手を置いた

「、、、わりぃな」

桐島は目を合わさず、菅井の手を払いそれだけ言った

「ちょっと待てよ」

菅井はもう一度桐島を引き止める

「美味いラーメン屋知ってんだよ 一緒に行こうぜ」

「はぁ?なんで俺が、、、」

すると先ほどまで疲れきっていた野波佳がダッシュで近づいてきた

「俺も行きてえ!!」

「分かってるよ 3人で行こうぜ」

「、、、金ねえし」

「心配すんなよ桐島 知り合いんとこだから安くしてもらえるし、今日は俺が奢ってやるからよ」

「なら行く」

桐島は間髪入れずに答えた

「よーっし!じゃあ行くか!」

菅井はガバッと2人と肩を組んだ






これが後に中高生の不良の間で名を轟かす、桐島誠哉 野波佳焦栄 菅井緋斬の出会いだった


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