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  作者: 外山
5/216

体育祭

9月下旬


暑さもなくなり過ごしやすくなった季節




ついに体育祭当日がやってきた





生徒達は校庭に整列し、先生達の長い話をだらだらと聞いていた

桐島や渡部、瞬は実行部なので前に並んでいた

「黄だ、、、黄だけには絶対負けねえ、、、黄だけには、、、」

桐島はぶつぶつ呟いていた

桐島のチームは赤である

黄チームには瞬がいた

「、、、、、」

(怖いよ桐島君、、、)

隣にいる渡部は陰気な桐島に怯えていた







赤チーム 桐島 渡部

青チーム 北脇 徒仲 竹内

黄チーム 野波佳 外山 瞬


という風に分かれていた








リレー、騎馬戦、玉入れなど定番の競技やその他の競技を終え、順位は、、、



黄 95点

青 89点

赤 87点


となっていた





「くっそ~!黄が1位じゃねえかよ!」

桐島はかなりイラついていた

渡部は困った表情で桐島を見ている

「渡部、、、絶対瞬さんには負けねえからな、、、」

桐島は近くのイスに座りながら言った

「もぉ、、、それ言うの今日何回目?」

渡部はうんざりした様子でため息混じりに言った


「それより次は、、、サバイバルドッジボールだよな?」

「うん」

渡部は一日の予定表を確認しながら頷いた

「よし、、、ぶっ殺してやる!」

桐島は決意に満ちた表情で立ち上がり、歩き出した

「、、、ドッジボールは殺し合う競技じゃないよ、、、」

渡部はまたため息をつき、桐島の後ろについていった






サバイバルドッジボールのルールはこうである



25メートル四方で枠をつくり、その正方形の中を内野、外を外野とする

各チーム3人ずつ出場し、使用するボールは3つ

最初は各チーム一つずつボールを所有している

内野の者が敵チームにノーバウンドでボールを当てられた場合、その者は外野に行かなくてはならない

自チームの外野が2人以上いる状態で、外野の者が内野の者にボールを当てると、内野に復帰する事が出来る

外野には常に1人以上いなくてはならない

内野に人がいなくなったチームは脱落




単純な競技である



青チームの出場者は北脇 徒仲 竹内

「よーっし!頑張るよ!2人とも!!」

徒仲は2人に気合いを見せた

「そうね まだまだ優勝狙えるしね」

「全く、、、なんでこの競技で女が2人なんだ、、、」

竹内は不満そうに呟いた




黄チームの出場者は野波佳 外山 瞬

「よっし!このまま優勝まで突っ切るぞ!」

「瞬さん!僕が瞬さんを守りますんで安心してください!」

「そ、そう、、、ありがとね」

瞬は少し引きながら礼を言った




赤チームの出場者は桐島 渡部 安川

「瞬さんを最初に殺す、、、まっすぐ叩き潰す、、、」

桐島は暗い声でぶつぶつ呟いていた

「もぉ~、しつこいなぁ、、、もう始まるよ~」

渡部はうんざりした様子で桐島の肩を揺らす

「純狙いなの?」

すると女の先輩が話しかけてきた

「ん?」

桐島は顔をあげた

「あ、私安川真奈美 次のドッジボールに参加する者だけど」

安川はニコッと笑顔で自己紹介した


全体的に派手な雰囲気で、少し背が高かった


「あ、そう 俺はあの瞬って人狙いなんで」

桐島はもう瞬以外目に入らないようだった

「純でしょ?私純の幼なじみだしよく知ってるよ♪」

安川は瞬を指差しながら言った


すると指をさされた瞬は安川の存在に気づいた

「あ、真奈美もこれ出るのね」

瞬は3人のもとに駆け寄ってきた

「、、、、、」

桐島は黙って瞬を睨みつける

「ははっ!あの事まだ怒ってるの??」

「怒ってるよ」

桐島は喰い気味に返答した


「なに?あの2人なんかあるの?」

「さぁ、、、なんでしょう?」

安川と渡部は不思議そうに2人を見ていた







ピーーッ!!



サバイバルドッジボールが始まった




赤 安川

青 北脇

黄 瞬


が外野だった



ボールを持っているのは


赤 渡部

青 竹内

黄 野波佳


だった




まず動き出したのは野波佳だった

「とりあえずあんたからだな!」

野波佳は一気に竹内との距離を詰め、ボールを投げた

だが竹内はギリギリでかわす

「簡単にボールを投げるとは浅はかだな!!」

そして投げた直後の野波佳にボールを投げた

体勢が崩れている野波佳ではこれをキャッチするのは難しい

すると野波佳の目の前に突如外山が現れ、ボールをキャッチした

「な、なに!?」

完全に取ったと思っていた竹内を気を抜いていた

「作戦どおり!」

「じゃあなおっさん!」

外山はキャッチしたボールをそのまま竹内に投げ返した

「ぐっ!」

体勢が悪いうえに至近距離から投げられたボールを取るのは困難だった

「ふんぬっ!!」

だがなんと竹内はそのボールをキャッチした

「んなぁ!?」

「そんなのアリかよ!?」

竹内はそのまま野波佳に投げ返す

「ちっ!」

野波佳はこの場所から避ける事は無理だと判断した

だが、外山が野波佳を思い切り引っ張り、かろうじて避ける事が出来た

「お、わりぃ」

野波佳は慌てて体勢を立て直す

「ああ、、、かはっ!」

立ち上がろうとした外山の背中にボールが当たった

「やったー♪当たり!」

徒仲だった

最初に野波佳が投げたボールを外野の北脇が拾い、徒仲に渡していたのだ

「くそっ!」

外山は悔しそうに外野に出る

野波佳は慌てて周りの状況を把握しようとした

渡部がボールを持ち、立っているのが見えた

だが桐島の姿がなかった

マズい!と野波佳が感じたと同時に背中から抱きつかれた

「よっしゃー!渡部!当てちまえ!」

桐島は野波佳の背後から腕で体をしめつけ動けなくした

「は、はぁ!?こんなのアリなのか!?」

「アリに決まってんだろ!じゃあな黄チーム!」

桐島が言ったと同時に渡部はボールを投げた


ポン


野波佳に当たった

だが黄チームは終わりではなかった

渡部が投げた直後、渡部のボールが野波佳に当たる前に瞬のボールが渡部に当たっていたのだ

瞬は竹内が投げたボールを拾っていた

瞬が内野に入れる為、黄チームはギリギリ生き残った

「危なかった~!ギリギリだったね」

瞬は自分が投げたボールを拾い、内野に入った

「ちっ!」

桐島は渡部が投げたボールを拾い、端に寄った



竹内 徒仲が真ん中あたり


桐島 瞬が両脇にいた



「おい」

竹内は小さい声で徒仲に声をかける

「今から俺が目眩ましのために桐島に突っ込む お前は後ろからボール投げろ 俺はギリギリで右に避ける」

「りょーかい 誠哉君に投げればいいんだね」

2人は行動を確認しあった



「うぉーー!!」

竹内は目線を自分に向かせるように叫びながら桐島に向かっていった

桐島は内野と外野のラインギリギリに立っており、すぐ後ろには安川が立っていた

(桐島が安川にボールを渡しているのか?よく見えんが、、、関係ない!)

気にせず突っ込んでいると死角からボールが飛んできて竹内に当たった

「なに!?」

竹内はボールが飛んできた方向を見る

そこには渡部がいた

(な、なに?どういう事だ、、、)

「ははは!バーカ!簡単に当たりやがって!」

桐島は心底笑いながら竹内を指差した

「ぐ、ぐぬぅ、、、」

「あんたが一瞬徒仲と喋って目切ってる間に渡部に渡してたんだよ!安川さんはカモフラージュな」

桐島はとっても嬉しそうに説明した

「バーカバーカ!はははっ!おもしれー!」

桐島は以前の仕返しと言わんばかりに笑いまくった



「やっぱり面白いね 桐島君」

瞬はボールを持ったままラインギリギリをゆっくりと歩く

桐島もボールを拾い警戒していた

「あんたもソッコー仕留めてやるからな」

桐島も瞬とは反対側のラインギリギリまで下がった

「今は赤、内野2人で有利だもんね」

瞬は桐島と渡部を順に指差した

「ま、私は負けるつもりないけど」

瞬はすぐ背後に回ってきていた外野の野波佳にボールを渡した

野波佳は徒仲にボールを投げた

「悪いな麻癒!」

「甘いよ焦栄!」

徒仲はいとも簡単に避けた

「甘いのはそっちだ!」

反対側に外山が回り込んでいた

外山はすぐに徒仲に投げつける

「う!」

徒仲はかろうじて避けた

そこに集中攻撃かのようにさらにボールが飛んできた

「徒仲には悪ぃけど青チームは脱落だ!!」

投げたのは桐島だった

だがそれも徒仲は素晴らしい反射神経で避けた

「おぉ!!」

まわりからは驚嘆の声が上がる


(へぇ~、あの子すごいなぁ)

瞬は横を通過したボールを見過ごしながら周りを見ていた

するとそのボールを安川が拾った

「!!」

瞬は慌てて構えた

「最初から狙いはそっちだよ!」

「ごめんね純!」

安川は思い切り瞬に投げた

「残念だったね2人とも」

瞬はニヤリと笑った なんと持っていたボールを安川が投げたボールにぶつけたのだ

「こんな使い方も出来るんだよ!」

ボール2つは外野に転がった


「くっそ!マジかよ!」

桐島がボールを目で追っていると背後からボールをぶつけられた

「えっ!?」

後ろを振り向いた 投げたのは徒仲だった

「やったー♪また当たった!」

「あ、、、わ、忘れてた」

桐島が当たったボールは外野に流れ、そのまま桐島が拾った






ボールはすべて外野


桐島

外山

竹内


の3人が持っていた


内野には

渡部

徒仲

の3人がいる



(どっちから狙うかな、、、それか待つべきか?)

桐島は全体を見渡していた

(、、、あ、そうか 絶対に徒仲に当てれる方法思いついた!)

桐島は、自分と徒仲の延長線上に安川が来るように指示した

(よし)

桐島は思い切り徒仲に投げる

「だからそんな単純なのじゃ当たんないって」

徒仲は簡単に避ける

そしてまたすぐに安川は桐島に投げ返す

桐島はボールをキャッチし、ある方向を指差した

「あー!!焦栄がかわいい子と仲良さそうに喋ってるー!!」

「えぇ!!ウソ!?」

徒仲は桐島が指差す方向に注目した

「ウソだよバカ!!」

桐島は徒仲にボールを投げた

反応が遅れた徒仲は簡単に当てられた

桐島はかなり汚い方法で徒仲に勝った



ピーーッ!



終了の音が聞こえた

「えっ!?な、なんだよ!?まだ終了じゃねえだろ!?」

「残念だけど終了ねー キリシマン」

安川はため息まじりに言った

「キ、キリシマンって、、、ま、まあいいけどなんで終了なんですか?まだ渡部と瞬さんが残ってるはずじゃ、、、」

「ご、ごめん、、、」

すると渡部が申し訳なさそうに謝った




説明すると簡単な話である

渡部は桐島と安川の方を見ていた

(あ、桐島君が汚いやり方で麻癒に当てた、、、)

と渡部が思った瞬間、背後に回り込んでいた外山に当てられてしまったのだ




「だから黄の勝ちね」

安川はまとめるように言った

「マジかよ、、、あのクソアマ、、、」

桐島は勝利した黄チームの瞬を睨みながら呟いた






それから数競技を終え、最終的に黄チームが優勝した




体育祭が終わった後、実行部の桐島達は道具や椅子、テントなどを片付けていた

「クッソ~、、、なんだよ、こんなの勝った奴らが片付けろよ」

桐島はまだぶつぶつと文句を言っていた

「まだ言ってるの?」

渡部は桐島のあまりのネガティブさに疲れていた

「大体よ~、体育祭ってなんだよ?運動会でいいじゃん 何が違うんだよ じゃあ小学校とかのも体育祭って言えよな」

もはや桐島は文句が言えたらなんでも良いようだった

「、、、、、」

渡部は転がっていた玉入れの玉を桐島の後頭部にぶつけた

「いてっ!なにすんだよ!」

桐島はボールが当たった箇所を手でおさえ、振り返った

「文句ばっかり言わない!私は楽しかったもん!」

渡部はそれだけ言うとぷいと顔をそむけた

「っっ!、、、まあ別に、、、楽しくなかった訳じゃ、、、」

桐島はぶつぶつと言い訳しながら片付けを続けた

「じゃあ良かった!」

渡部はニコッと明るい笑顔になった

「、、、い、いいからさっさと片付けるぞ、、、」

桐島は照れたように目をそらした

「うん!」

渡部は桐島が文句を言わなくなったので上機嫌だった


「片付けって結構めんどくさいねー」

そう言いながら2人に近づいてきたのは瞬だった

「あ、瞬さん そうですよね」

「、、、、、」

愛想がよい渡部とは反対に桐島はぶすっとしていた

「桐島君 ちょっと」

瞬は桐島の背後に回った

「なんですか?」

桐島は振り返らず、低い声で応対する

「はいこれ」

瞬は桐島に飴を渡した

(瞬さん、、、今の桐島君には火に油かも、、、)

渡部はひやひやしながら2人のやりとりを見ている

「、、、、、」

桐島はその場で飴を口に入れた

「これで仲直りでいいかな?」

瞬は探るように訊ねた

(それは無理ですよ!子供じゃないんだから!)

渡部はいざとなったらどう桐島の怒りを鎮めようかと考えていた

「、、、ありがとうございます」

桐島の表情は完全に緩んでいた

(、、、手懐けられてる!)

渡部は桐島の単細胞さに驚いていた

「純ー!まだー!?」

すると校庭の出入り口から瞬を呼ぶ声がした

「あ、真奈美ー!?もう終わるよ!」

「きっともう浜先輩待ってるよー!」

安川は手を口に添えながら瞬に呼びかける

「じゃあまたね 桐島君 歩ちゃん」

瞬は手を振りながら小走りで去っていった



「、、、渡部」

「なに?」

「瞬さんて良い人だな」

「、、、、、」







無駄に長くなりました




はっきりいって読み飛ばしていただいて構わない内容ですね(笑)

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