2人きり
狭い桐島の部屋に押し掛けてきた3人
渡部と鈴科は好きなお笑い番組の話で盛り上がっていた
「歩さんが一番面白いと思った企画ってなんですか!?」
「え~っと私はね、、、最近再放送で見たヤツで、あの、大学受験のが面白かったかな」
「あ~!それ知ってますよ!」
2人が話しているのを野波佳は楽しそうに聞いていた
「、、、、、」
桐島は1人、布団をかぶり壁にもたれていた
(、、、病人の俺の前で騒いでいるとかそういう事はおいといて、、、)
桐島はチラッと渡部を見た
(渡部、、、一体なにしにきたんだ、、、?)
桐島はあれこれ頭の中で考えを巡らした
「今から受験番号見にいく、ってとこなんですよね!周りの人達が、受験したんや~、みたいな感じで」
「うんうん、いや、受けてへんよ、だよね!受けてへんけど受かってるかもしれへんやん!」
「ははは!なんか思い出してきました~!」渡部と鈴科の話はだんだん盛り上がってきていた
(、、、もしかして、、、返事しにきてくれたのか、、、?)
桐島は一つの可能性について考えてみた
(えぇ~、、、だとしたらどっちだ?断られんのか?断られんのか?)
桐島は気持ち悪い汗が出てくるのを感じた
「みんなはすごい急かすんですよね!早よ見に行こうやぁって」
「そしたら凄い形相で、落ちとったらどないすんねん!ってね!」
野波佳もそれを聞いて笑っていた
(、、、つか、愛と焦栄の前でってなんか、、、すげえ恥ずかしいな、、、)
桐島は布団の中でむず痒い気分になっていた
話も一段落つき、鈴科は思い出したように言った
「あ、そうだ 焦栄君、ちょっと、、、」
鈴科は立ち上がり、野波佳の肩を引っ張る
「ん?」
「ちょっと来て」
「え?ああ、、、」
野波佳はよく分からないまま、鈴科に連れられ廊下に出た
「え、、、、、」
(ど、どこ行くんだよ、、、)
桐島はすがるように廊下の方を見る だが、玄関の前まで2人は行っており、桐島の位置からは見えない
「、、、、、」
「、、、、、」
極自然に居間は沈黙に包まれた
(、、、ふ、2人きりになっちまった、、、うわぁ、恥ずかしい、、、てゆうか気まずい、、、)
桐島の目は泳ぎ、汗も出ていた
(、、、でも何も言わない方がおかしいよな、、、よ、よし!)
桐島はゆっくり息を整えた
「、、、わ、渡部 今日はどした?なんか用だったか?」
桐島は出来る限り平静を装いつつ言った
「あ、、、う、うん!」
渡部は慌てながら後ろにおいておいた紙袋を前に出した
「昨日、桐島君に貸して貰ったマフラー、間違えて持って帰ってきちゃったから、、、」
渡部は紙袋の中からマフラーを取り出した
「あ、そうか、俺も忘れてた、、、」
「うん、、、」
どことなくぎこちない空気のまま、渡部から桐島にマフラーは渡された
「、、、、、」
「、、、、、」
次にこの沈黙を破ったのは渡部だった
「あのね!それで、、、昨日の話なんだけど、、、」
「えっ、、、」
唐突な渡部の話の切り出しに、桐島は動揺した
「えっと、、、その、昨日桐島君が私に言ってくれた事、、、」
「、、、、、っ!」
桐島は変に背筋が伸びた
「だーかーらー!違うっつってんだろ!」
「ホントに!?なんか焦栄君怪しいんだもん!」
すると野波佳と鈴科が廊下から戻ってきた
「っっ!」
桐島は慌てて布団に入り、渡部はすぐにテーブルについた
「どどどどうしたの?2人とも!?」
渡部は声を震わせながら訊ねた
「渡部からも言ってやってくれよ!こいつ、俺と渡部が付き合ってんじゃねえかって言ってくるんだよ!」
野波佳は迷惑そうに鈴科を指した
どうやら鈴科は勘違いして野波佳を問いつめているようだ
「どうなんですか歩さん!?焦栄君、他に彼女がいるとか言ってましたよ!?」
「他にとか言ってねえだろ!彼女がいんの!渡部以外に!」
「あー!歩さん以外って言ってますよ!」
「めんどくせーなてめえは!」
そんな鈴科と野波佳を渡部はやんわりなだめた
「、、、、、」
桐島はなんともいえない気分でため息をついた




