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森に行くのにぼーっとしてる
「カルラ」
「遠くを眺めて何ぼーっとしてるの?」
シリルが不思議そうにしている。
「おーいマスターソード抜いてきたぞ!」
イルナが走って私たち二人の元に駆け寄ってきた。
神殿の入口に置いてきぼりになっていた。
「あの奥の方に」
「敵が見える」
カルラが指差す。
「あーそうやって観察してるって訳……」
「気づかなかった」
「ふーん」
「君はずっとそうやってぼーっとしてんのかと思ってた」
「よく言われるでしょ?」
「本当に余計なお世話だ」
「黙ってろ」
「クスクス」
「あーもう終わったのかよ……」
「私にも見せろし」
「イルナには見せない」
「なんでだよ私が一番見たかったのに」
「俺の好きなパン」
「一番最初に言ったやつが勝ちな」
「まあ兄貴にもさすがにできるわけねーけど」
「わらわら」
母親。
それは誰にでもいる存在。
大切なひと。
こんな俺でもそういう人がいた。
「んーとね、あんぱん」
「ぶー」
〜〜〜〜
「……」
「触り方も昔と変わらないな…」
そう冷静に状況を説明するアスカ。
「昔より弱くなったんじゃないか……剣の振り」
「もしかして……」
〜〜〜〜
「大丈夫か?」
「兄貴」
「あ、ああ」
イルナが訝しげる。
冷や汗をかいている。
「早く答えろよ兄貴」
「……しょくぱん」
角の折れた魔神は女だった。




