8話 薬草を取っている女の子を……?(★1400)
シリル。
白。
シリル「シリル」
シリル「私はシリルって言うの」
シリル「いつもここで薬草を取ってるのよ」
それは壁の端に咲いている、
赤くて白い花。
シリル「これが薬草」
シリル「何でも効くっていうの」
イルナ「へー」
イルナ「こんな汚い花が」
草を訝しげに見るイルナ。
そう言ってシリルは白い手を伸ばす。
その薬草をひとつひとつちぎって背中のかごに入れていく。
イルナ「なあ兄貴」
カルラ「ああ、あの後はそのまま逃げ出して」
カルラ「今は町外れを歩いている」
イルナ「状況説明乙」
イルナ「何もなかったのかー」
イルナ「あいつ兄貴の後輩だったんだろ?」
カルラ「……」
イルナ「まあいいけど」
シリル「あら」
シリル「無理に手伝えなんて言ってなくてよ」
チラッチラ。
真っ白の髪。ロング。白いまつげ。
イルナ「それは手伝いって言ってるのと同じじゃねえか」
イルナ「しょうがねえな」
イルナ「やるぞ兄貴」
イルナ「って」
イルナ「もうやってんのかよ」
カルラ「……」
ぶちぶち。
イルナ「ほんとこういう地味な仕事好きだよな」
シリル「あなたたち二人は旅をしているの?」
イルナ「そんなとこだな」
イルナ「っていうか」
イルナ「王国にいられなくなってさ」
イルナ「逃げてきただけなんだけどな」
シリル「ふーん」
イルナ「国の真ん中でオーパーツぶっ放すなんて」
イルナ「やっぱ兄貴もどうかしてるような」
イルナ「ケラケラ」
カルラ「いやあれは……」
イルナが笑う。
イルナ「そうだよな、私が勝手にやったんだった」
イルナ「ごめん兄貴」
シリル「なんだか訳ありなのね」
イルナ「あんたの名前は」
イルナ「シリルって言うんだったよな」
シリル「うん」
シリル「近くにちょっと大きな屋敷があるんだけど」
シリル「そこで働かせてもらってるの」
シリル「よろしくね」
そう言ってシリルは真っ白な手を差し伸べてきた。
ぎゅ。
ばあー。
カルラ「...」
シリル「ふふ」
シリル「握手くらいで」
シリル「この人素敵な人ね」
イルナ「兄貴は童貞だからな」
カルラ「余計なお世話だ」
イルナ「お、しゃべった」
イルナ「そうなんだよなあ」
イルナ「兄貴って」
イルナ「なかなか喋んないんだよな」
イルナ「まあ楽でいいけど」
イルナ「まあそうかもね」
馬車。
その時突然、
水しぶきが体にかかる。
イルナ「兄貴何やってんだよ」
カルラ「悪い悪い」
カルラ「転んでしまったよ」
シリル「ふふふ」
イルナ「こんな浅瀬で転ぶなよ兄貴も」
イルナ「川だー」
バシャバシャ。
イルナ「兄貴今のわざとだろう」
イルナ「水かけんなよな」
ビュー。
イルナ「イルナ式水鉄砲」
シリル「ふふふ」
シリル「そうやって遊ぶものなの?」
イルナ「何言ってんだ」
イルナ「川で暇つぶしっつったら」
イルナ「こんな感じだろ」
シリル「私友達いたことなかったからさ」
草をちぎるカルラ。
ぶちぶち。
イルナ「兄貴余計なこと言うなよ」
カルラ「すまん」
シリル「いや、今カルラくん何も言ってないよ?」
シリル「って私がツッコんでるし」
シリル「あーはは」
シリル「今までも1人だし」
シリル「これからもずっとぼっちなんだと思う」
シリル「あー」
シリル「ごめんね」
シリル「変な空気にさせて」




