表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/16

悪魔的覚醒


姫乃と別れた後、綾に「会いたい」という旨のラインを送る。バイト中にも拘らず、返事はすぐに返ってきた。


綾:私もー

咲:バイト終わったら教えて

綾:おっけ〜(o^^o)


これで下準備は整った。返事を待たせてしまったのだから、その分私の精一杯の気持ちで伝えてあげないといけない。


そうだ、何かプレゼントでもみつくろう。


バイト終わりまで時間を持て余すのもなんなので、私は綾に似合うアクセサリーを探す旅に出ることにした。



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



「おっ。これなんか可愛いかも」


手に取ったのは、ピンク色のヘアピン。小さな花があしらわれており、綾が付ければ可憐な印象を更に強めてくれそうだ。これにしよう。


レジに向かう途中、気になるアクセサリーがあった。


ーー十字架の髪飾り。


さっき姫乃が言っていた、噂の悪魔狩りが付けているという髪飾りと、同じ。


何故かその髪飾りに目が惹きつけられ、思わず手に取った瞬間ーーーー


強烈な痛みが脳に走った。


「つっ……! なに、これ……!?」


脳内を知らない映像が駆け巡る。これは誰かの記憶、だろうか。


あまりの衝撃に、意識を手放してしまいそうになるのをぐっと堪える。


「これ……買わなきゃ」


無意識の内に、強い使命感のようなものに苛まれ、私はその髪飾りをヘアピンと一緒に買っていた。



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



「咲ちゃん、ごめんね。待った〜?」


バイトが終わったわたしは、咲ちゃんとの待ち合わせ場所へとちょうど今到着するところだった。


大好きな女の子の後ろ姿に一瞬胸が高まりながら、声を掛ける。


「うん。待ってたよ」


振り向いて笑顔を見せてくれる。彼女の笑顔を見るだけで、わたしも無条件で笑顔になる。


「何か奢ってあげるから、許してよぉ」


「それなら、いいよ」


「咲ちゃん、イメチェンしたんだねっ。その髪飾り似合ってるよっ」


「ありがとう」


「……咲ちゃん?」


どうもいつもと様子が違う。声のトーンはいつもより低いし、笑顔もどこか造られたように見える。


いつもとの違いは、あの十字架の髪留め……


「咲ちゃん、何かあったの……? 咲ちゃん……なんだよね?」


「鋭いね、綾ちゃん」


「!」


違う。この子は咲ちゃんじゃない。


彼女なら、わたしをちゃん付けで呼んだりしない。


「勘が鋭くて嬉しいな。ずっとずっと、待ってたんだよ。この日が来るのを」


「なに言ってるの……? あなたは誰っ……!?」


「そっか。あなたは今、なにも覚えてないんだもんね。教えてあげるよ」


咲ちゃん。いや、彼女に成りすました何かは、かくして正体を告げる。


「あたしの名前はルリ。この身体の持ち主、悪魔(サキュバス)としての咲の、"生みの(おや)"だよ」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ