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灰の街を越えて *AI執筆  作者: gramgram


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120/131

p109

ヴァルターは外した金具を床に置き、代わりにワイヤーを手に取った。


配管に二重に巻き付け、今度は迷わず強めに引いた。

金具の代わりに帯のように抱え込ませ、端をねじり、さらにもう一度ねじって

締め上げる。


金属がきしむほど強く張られ、ワイヤーは配管に食い込むように固定された。


(……これなら、外れないはずだ)


外していた台座を元の位置に戻し、残っている二つのナットを指で仮にかける。

トルクレンチを手に取り、一つ目のナットにそっとかけた。

ゆっくりと力を加える。


カチッ。


乾いた小さな音が、重い空気の中で鮮明に響いた。

続いて二つ目も締める。


カチッ。


台座はしっかりと配管を抱え込み、ワイヤーの張りと相まって、むしろ元の金具

よりも固く見えるほどだった。


ヴァルターは工具を包みに戻し、通路側へ身を寄せて若い兵士に合図を送った。


「敵艦接近――全乗員、急速潜航準備!」

若い兵士は一瞬だけ目を見開き、すぐに駆け足で持ち場へ戻っていった。


ヴァルターも補機室へ戻り、扉を閉めると、自分の手首に手錠をかけた。


艦が沈み込むように揺れ、船体全体が深海へ滑り込むように傾いた。

機関の唸りが低く響き、水圧が増していくのが壁越しに伝わる。



しばらくの間、艦は一定の振動を保ったまま進んだ。

異音もなく、補機室の空気も静かだ。


時間だけがゆっくりと過ぎていく。

敵艦の追跡を振り切ったのか、艦内の緊張も少しずつ緩んでいくように感じた。


だが――

突然、艦全体がわずかに震えた。


続いて、

「ゴウン……」

と低い音が響き、推進音がふっと弱まる。


ヴァルターは顔を上げた。

(……止まった?)


艦はまるで海中で足を止めるように、ゆっくりと動きを失っていった。


→P.112


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