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新しい繋がり?

「そんなに警戒しなくても大丈夫よ。紹介するわね、この子はエトラ。私が最後に戦った氷使いの子ね」

「ほ、本当に大丈夫ですか……?」

「ええ。守ってあげたくなるようないい子よ」

「あ、あの……さっきぶりです。エトラと言います……。その、とてもかっこよかったです」

ちょっとたどたどしくレイに言う。

「……レ、レイと言います」

ちょっと戸惑いつつもそう返答するレイ。

「この子、結構レイに憧れてるみたいよ」

「えぇ……⁉そうなんですか……⁉」

こっそりレイに耳打ちすると結構驚いている。

「さっきは……ええ、まさか姉様を倒すとは思わなくて。なかなか強い、ですね。エトラも」

「ほ、本当ですか⁉えへへ……」

レイに褒められてだいぶ嬉しそうなエトラ。

「姉様はあげませんけど」

そう言って私の腕をぎゅーっと抱きしめて少し引き寄せる。なんとエトラも少しぎゅっとして自分の方へ引いていた。力はそんなに強くないから引き裂かれることはなさそうだけど。

「あらあら、ミアはいつでも人気者ね」

「お疲れ様、エイリーン」

「貴女こそお疲れ様。よく頑張ってくれたわね」

そう言って座っている私の頭をぽんぽんと撫でた後ぎゅっと抱きしめてくれる。あったかいしちょっとだけ心音が聞こえた。

「むぐ……」

お礼を言おうとするけどしばらく抱きしめられていたので声にならない声しか出てこない。

「エイリーンさん、姉様そろそろ苦しそうですよ」

「あら、ごめんミア。抱き心地が良くてつい」

「ぷはっ」

あとにふっとさわやかな匂いが残った。

「でも心は落ち着いたでしょ?」

「……ま、まぁね。ありがと」

心は確かに落ち着いたけどちょっと心音はドキドキと耳を騒がせている。だっていい匂いするんだもん。制服越しでも確かに柔らかいし。

「そういえば、この後ってあの部屋に戻るの?」

「戻るにも微妙な時間だし、ここで休むのでいいと思うわよ」

次の試合まで確かに微妙に時間が空いている。戻ってもお茶を慌てて飲んで帰ることになりそうだ。

「その……私も、ここにしばらくいても……いいですか?」

おずおずと存在感を出してそう言うエトラ。

「そうだ、この子は?」

そう言えばエイリーンに紹介をしてなかった。

「私とレイがさっき戦った子でね。氷使いのエトラって言うの」

「え、エトラと申します……」

「なるほどね。私はエイリーンよ、よろしくっ!」

そう言ってエトラの量の手をぎゅっと握る彼女。エトラは一瞬びっくりしてこっちを見たけどだんだん落ち着いて握り返していた。

「ね?かわいい子でしょ。レイにあこがれてるそうよ?」

「確かに、かわいいわね」

うんうん頷きながら彼女の手をずっと握っている。

「……どこかで、見たことあるような……」

少し疑問符を浮かべながら手を握ってくる彼女を見ているエトラ。

「どうしたの?」

「あ、その……どこかでエイリーンさんのお名前を聞いたことがあったなぁ……って。えへへ……」

ちょっと照れながらそう答える。まぁ聞いたことくらいはあるだろう。有名人だしエイリーン。

「まぁ、有名だもんね。エイリーン」

「あんまりうれしくはないときもあるけどね」

「よくよく考えたら、皇女殿下とチームを組むなんて……すごい経験ですよね姉様」

「確かに」

「こ、こここここ皇女殿下……⁉あっ……」

握られた手とエイリーンの顔を交互に見ながらだんだんと顔が青ざめていく。

「ごごごごめんなさい!」

しゅばっと私の後ろに隠れるエトラ。ちょっとかわいい。

「な、なに……?どうしたのエトラ?」

「こ、皇女殿下にこんな身分の者が触れてしまって……処刑ですか⁉」

「あー……」

あわあわとしている彼女。少しの時間しか関わってないけどドッキリみたいなのには弱そうって思う。皇女ってばらさなきゃよかったかも。

「もう。落ち着いて、ほら」

状況を理解したエイリーンはふっと微笑んでさっき私にしてくれたようにぎゅっとエトラを抱きしめる。

「ほぁ$%$&$&#”$!?」

またしても声にならない声を上げるエトラ。顔の色が今度は真っ赤になっている。ちょっと急に色が変わりすぎかも。

「ほ~ら。落ち着いて落ち着いて?」

背中をさすりながら優しく抱きしめるエイリーン。なんか優しいお姉ちゃんみたい。さっきも傍から見たらあんなふうに見えていたんだろうか。

しばらくすると彼女の動きも落ち着いてくる。エイリーンセラピーなのか?

「いい?ここでは皇女とか関係無く一生徒として戦いに臨んでいるんだからあんまりかしこまらないでいいのよ。むしろ貴方と友人になりたいくらいよ、エトラ」

「ゆ、友人…」

初めて聞く概念のような反応をする。やはり混乱しているみたい。

「私なんかが…いいんですか?」

「貴女が、いいのよ。まったくミアといいどうしてこう自信がないのかしらねぇ」

やれやれと困ったふうにしつつもホールドを解いて最後に頭をぽんぽんと撫でる。こっちにまで攻撃するとは…。

「私が…友人に」

「まぁ、ゆっくり慣れていけばいいわ」

また私達の周りに人が増えそうだ。



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