飛行機
宝物のビー玉をお気に入りのグロスと一緒にミニポーチに入れて、お気に入りのコートのポケットに入れておく。
中の服はもちろん白いニットワンピース!
この3つさえあればOK!
空港までタクシーで行き、お昼の便の搭乗手続きをする。
ママ「すぐ着くけど、どうする?ここでご飯食べちゃう?」
パパ「うーん、腹は減ってるけど向こうの物食べようかな。」
絢愛「あ!新しいピザ屋さん出来てる!」
私はガラス張りの向こうに見えるピザ窯に夢中になる。
ママ「あ、ここのお店小さめのピザなのね。これ1つ買ってみんなで分け合いっこしよっか。」
パパ「そうだな。」
絢愛「やったー!」
色紙見たいな形のピザをみんなで食べ、出発時間まで時間を潰す。
アナウンスが流れ、順番に飛行機に乗っていき、席に着く。
絢愛「あ!整備員さん手降ってるー!」
私は手を振りながら写真は撮って素早く結美に送り、携帯を機内モードにしバックに入れる。
着いた頃にまた写真送ろーっと!
飛行機が飛び立ち、しばらくすると富士山が見えてくる。
絢愛「富士山見えてきたよー!」
ママ「あともうちょっとね。映画、見きれるかしら。」
パパ「これ気に入ったのか?俺の実家にあるから送ってもらうよ。」
ママ「ありがとう!」
映画のDVDの話をしているパパとママ。
私は携帯で富士山の写真を取ろうと携帯を探していると急に緊急アナウンスが流れる。
乗客のみんなが悲鳴や困惑の声を上げて、困惑と焦りに落ちる。
絢愛「え!?何?」
パパ「さっき地震があってその震源が富士山近くだったらしいんだ。その拍子に噴火したらしい。」
絢愛「え!それ大丈夫なの!?」
パパ「…きっと大丈夫。飛行機事故は宝くじの高額当選に当たるより確率は低いらしい。今、なんの揺れもなく飛んでいるからきっと大丈夫。」
絢愛「そ、そっか!パパが言うなら大丈夫だね!」
ママ「うん!大丈夫。…もしかしたら出雲大社には行けないかもしれないけど、戻って美味しいご飯食べに行こう。」
絢愛「うん!でもちょっと怖いから手握ってていい?」
「「もちろん!」」
私は2人に手を握ってもらい、恐怖を耐える。
大丈夫、パパもママも笑顔だったもん。
宝くじなんか300円しか当たった事ないし、大丈夫!
少し震えるママの手と少し湿っているパパの手を強く握り、私は目をぎゅっとつぶる。
目をつぶってれば、あっという間に着地してくれる。
大丈夫。
[ドン!カラカラガラガラガラ!!]
機体に石みたいな硬いものが何個も当たる音が聞こえて、目を開け窓を見る。
さっきまで晴れていた空は、曇り暗い。
そこから急に氷が飛び込んでくる。
絢愛「雹…?」
たまにサッカーボールくらいの雹が窓を通り過ぎる。
[ドパキィン!]
「キャー!」
少し前の方に座ってる乗客が叫ぶ。
雹が外ガラスを割ったような音だった。
みんなそれでさらにパニックになる。
絢愛「みんな大丈夫!落ち着いて!パイロットさんを信じて!」
私は震えながらも声を出すが、叫ぶみんなには一切届かない。
その悲鳴と死を悟った声がとても怖い。
みんな叫ばないで、お願い、子供が泣いてる!
パイロットさんの声が機内中に響く。
早口で私の頭に入ってこない。
『お客様、落ち着いてくだっ!…[ピピピッピピ…]』
急に声が途切れ、機械音のみが聞こえる。
その直後、機体が大きく揺れ始める。
みんなの絶望した声が私の脳を占領する。
パパ「大丈夫。絢愛、パパとママがいる。」
ママ「そう。ママとパパで絢愛を守る。」
2人の優しい声が両耳で囁かれる。
パパとママが私の頭を守るように覆いかぶさる。
絢愛「パパ、ママ、大好き。」
「「うん、大好き。」」
なぜかここで言っておかないと後悔しそうで仕方がなかった。
2人の温もりで私はいっぱいになった瞬間、
大きい衝撃が体に走り、絶望の悲鳴が聞こえる中私は意識を失った。