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キラキラ

嵐さんの屋敷は私がいた未世麗さんの屋敷よりもこじんまりした感じだったけれど、

廊下や部屋にいろんな骨董品が並べられて、展覧会に来たような気分になって楽しかった。


嵐さんは眩さんのお姉さんらしいけど、身長が全く違って驚いた。

嵐さんは私よりも小さくて、可愛らしい。

だけど、鼻から口までマスクのように布で覆い隠しているので目でしか表情を読み取れない。


嵐「絢愛ちゃんは、わかる?」


と、特別稽古の嗅鋭敏通きゅうえいびんつうを教わる。

嗅鋭敏通は嗅覚を高めて、人や凶妖の匂いを嗅ぎ分ける事が出来るようになるらしい。


今は瓶の中の花がお菓子か本物かを当てるゲームをしている。


すると稽古中にトトトトっと軽い足音がして、稽古場に小さい影が入ってきた。


「ただいま、帰りました。」


嵐「優璃、お帰り!」


眩「よ!元気そうだな。」


優璃「げ、眩さんも……よりです。」


と、急に顔を真っ赤にさせて嵐さんの隣に座った女性。


絢愛「幸田絢愛です!これからよろしくお願いします!」


優璃「あっ…!はいっ…、佐久間さくま 優璃ゆりと、申しぃ…す。よろし…お、します…。」


さらに顔を赤らめて自己紹介してくれた。


嵐「ちょこっと人見知りなんだ。そんな所が可愛いんだけどね!」


絢愛「はい!可愛いです!」


私は『ユリ』という名前に若干違和感を感じたけれど、まずは稽古に集中!と思いその日は嗅鋭敏通のために過ごした。


次の日、まだ外が明けきらないうちに優璃さんが私を起こしに来た。


優璃「す、すみません。朝の匂い…を…」


絢愛「おはようございます!そうだった!」


私は寝間着から、すぐに稽古が出来るように団服に着替えその上にコートを羽織る。


優璃さんに案内されたのは東側のベランダ。


嵐さんと眩さんは少し前に仕事に行ってしまっていないそう。

なので優璃さんが私の嗅鋭敏通習得のために起こしてくれた。


絢愛「まだ冷えますね!やっぱり冬の風は気持ちいいですね!」


優璃「…そう、ですね。」


優璃さんは少しどもりがちだったけれど、ちゃんと私と会話してくれる事が嬉しかった。

人見知りでもちゃんと人と向き合おうというのが、見えてきっと努力家なんだろうなと思った。


するとだんだんと朝日が登ってきたのか、少し暗い星瞬く空が明るくなってくる。


そういえば、誰かと一緒に星空を見たなぁと思い出す。

その人の事が大好きで私が思いを伝えたらその人は嬉しそうにしていた気がする。


私はなんとなく優璃さんに体を向ける。

なんかそうしたくなった。


優璃「…?」


優璃さんが不思議そうに私を見て、また顔を赤らめ始める。


絢愛「優璃さんって好きな人いますか?」


私はなんだかガールズトークをしたい気分になった。

唐突すぎる質問に優璃さんが焦る。


優璃「こ、こんな私が…好きな人なんて…」


と手を前に出し、横に振りながら顔を下に向ける。

その左手の薬指にあるはずの指が無くて、痛々しい噛み痕が残ったままだった。


絢愛「嵐さんとか眩さんとか団員さんのこと好きじゃないんですか?」


優璃「…そ、尊敬してます!けど…好きとか…わから…」


私は優璃さんの両手を掴み、下を向いた優璃さんと目を合わすために体をかがめる。


絢愛「私は優璃さんの事が大好きです!年上なのに可愛くて仕方がないです!そんなに自分を下げないでください!」


私はなんだか自分を閉じ込めてしまう優璃さんが心配になって、思ってた事を伝えた。


優璃「…そんな事言って、も、また…」


優璃さんがボソリと呟く。

この顔はどこかで見たことがある。

あのいじめられてた子がこんな顔をしてた。


絢愛「私の好きは嬉しくないですか?」


優璃「…う、嬉し…けど…」


絢愛「だったらそんなに悲しい顔しないでください!私はもっと優璃さんの笑顔がみたいです!」


私は姿勢を正して、優璃さんが顔を上げてくれる事を祈る。


優璃「…っ。…あったかい。」


優璃さんがそう言い、朝日がわたし達を照らしてくれてる事に気づく。


絢愛「そうですね!冬なのにこんなに太陽は暖かいです!」


優璃さんはクスっと笑い、顔を上げてくれる。

ポロポロと涙を流しながら、心が温まる笑顔を向けてくれる。


こんな風にキラキラした素敵な笑顔をどこかでも見たはずなんだ。

けど、まだ私は思い出せない。


きっと、わたしの中でパパとママ、みんなの他にまだ1人思い出せていない子がいる。

ごめんね。私ちゃんと思い出すから。

ちゃんと溢れた記憶、かき集めてまた会いに行くから。

少し時間がかかっちゃうけど待っててね。


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