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戦士ステラ   作者: 安田けいじ
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ムミョウの怨念①

 サファイヤ星のある太陽系の端に、カロン星という星がある。直径六千キロの小さな惑星で、そこには、サファイヤ星の鉱石採掘の無人基地があった。


 その採掘基地を管理しているアンドロイドからの連絡が途絶えたと、アレク将軍からステラに連絡が入ったのである。


「ステラ、将軍の話は何だったの?」


 ユウキがサファイヤを抱いて、あやしながら聞いた。


「資源採掘基地があるカロン星と、連絡がつかなくなったらしいの。それでね、あなたに見て来てほしいと言うんだけど……」


「僕なら数分で行けるし、何かあっても、死ぬ事は無いからな。いいよ。久しぶりに宇宙を飛んでこようか」


「よかった、何時行ってくれる?」


「そうだな、明日にでも行ってくるよ」


「私も行きたいんだけど……」


 ステラが、ユウキの顔色を窺うように言った。


「うーん、事件のたびに国主二人が留守にしていたら、レグルス議長が困りはしないかい?」


 最近、サウスランドでは、国事の実務を担当する議長にレグルスが就任して、軍の司令官にはサルガスが就いていた。


「私だって、宇宙を飛びたいわ。レグルス様には私から言っとくから、いいでしょ?」


 ステラは、事件が起きる度に真っ先に現場へ駆けつけるのが常だったが、宇宙となるとユウキに頼らざるを得なかった。


「それなら、スーツを宇宙仕様に変えないといけないな。この間の十倍羽衣の新型スーツをルナに改造してもらおう」


 ユウキもステラと行きたかったのか、行くと決まると話は早かった。


 

 次の日、アンドロメダが抱くサファイヤに送られて、数メートルのシャボン玉のような球形シールドに乗り込むと、二人は宇宙へと飛び立った。


 シャボン玉宇宙船は、一気に加速し光速飛行すると、数分でカロン星域に到着したのである。


 二人は、上空でシャボン玉宇宙船を降りて、ステルスモードで地表を探っていくと、資源採掘基地が視界に入って来た。


 二人が、警戒しながら地上に下りると、数体の作業用アンドロイドが破壊されて倒れていた。


 ユウキが、そのアンドロイドの脳から映像を取り出すと、ムミョウのアンドロイド軍団が襲撃する様子が映っていた。


「ムミョウのアンドロイドだね。こんな所まで来ていたとは……」


「やはり、まだ居たのね。あなた、調べてくれたんじゃ無かったの?」


「……ごめん。あれから、すぐに君が産気づいただろう。それで忘れてしまっていたよ」


 ユウキは、苦笑いして誤魔化した。


「それにしても、この星に何があるというのかしら?」


「鉱物資源以外は無いはずなんだが、ともかく、詳しく調べてみよう」



 カロン星に大気は無く、この基地の、ほとんどの設備は人間が住める環境には作られていない。

 敵の攻撃を受けた為か、全ての設備は停止して静まり返っていた。


 二人が、再びステルスモードになって広大な採掘現場の周辺を調べていると、稼働している一つの掘削機を発見した。それは、高さが二百メートルもある巨大なもので、その周りをムミョウのアンドロイド達が忙しく働いていた。


「奴らだ!」


 ユウキたちが、その後も探ってみると、合計五つの穴を掘っている事が分かった。又、アンドロイドの数は数百体あって、全て戦闘タイプである事も判明した。


「穴を掘っているのは間違いないようだが、鉱石を掘り出してもいないし、何をしているんだろう?」


 二人が、遠くから様子を見ていると、掘削機が停止して、直径十メートルはあろうかという、巨大な球体をその穴の中に搬入し始めた。球体を透視していたユウキが、驚きの声を上げた。


「あれは、反陽子爆弾じゃないか!」


「反陽子って、水爆の数百倍の威力があるんでしょう。この星が壊れてしまうわ」


「コスモ、この星が消えたら、太陽系に何か不具合は起こらないかな?」


『そうですね。この星は太陽から一番遠いですから、重力変動でのサファイヤ星への影響は少ないと思います。

 恐らくですが、あの反陽子爆弾の威力と位置を考えると、彼らは、この惑星の軌道を変えて、サファイヤ星に衝突させようとしているのだと思います』


「そんな事が可能なの!?」


 ステラは、唖然として、コスモの次の言葉を待った。


『可能です。既に、五つの爆弾は地下に格納されましたから、アンドロイド達をせん滅したところで、爆発は避けられないでしょう』


「そんな……」


 ステラの脳裏に“我が分身が、お前達を葬り去る”と言う、ムミョウの最後の言葉が蘇った。


「ムミョウが最後に言った言葉の意味は、この事だったんだわ」


 ステラは、何処までも追いかけてくるムミョウの凄まじい怨念に、背筋が凍る思いがした。


「ともかく、ムミョウのアンドロイドを残しておく訳にはいかない、一掃しよう。話はそれからだ」


 ユウキとステラは、数百体の高性能アンドロイドを相手に戦いを開始した。


 容赦ない、ユウキの特大エネルギー波が炸裂すると、周りの山々諸共、アンドロイド達は一瞬の内に消滅していった。

 一方、ステラは、巨大な十倍羽衣を起動して進撃して行くと、挑んで来るアンドロイド達は、なす術もなく砕け散った。


 彼らが、アンドロイド軍団をせん滅させるのに、さして時間はかからなかった。


 

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