決戦、ムミョウ①
その時である、残っていた敵のスーツ部隊が次々と倒され、ヤミの腕が一本吹き飛び、腕の回転が止まったのである。
「あなた、お待たせ。あとは引き受けたわ、姉を避難させて!」
赤い孔雀のスーツを纏ったステラが、ライト軍を引き連れてやって来たのだ。彼らが、見る間にネーロ軍を撃退すると、ステラとヤミの一騎打ちとなった。
「ヤミ、貴方も悍ましい姿になったものね。そこまでして大悪党のムミョウを何故守るの!」
「黙れ! お前には分からぬわ。……この形態になれば儂の命も長くは持たんが、ネーロ兵の最後の意地を見せてやる。来い!」
ヤミは、残った三本の腕で、太鼓を連打するように、大剣を高速に動かして、ステラのスーパー羽衣に打ち付けた。その回転がフルパワーになると、スーパー羽衣を侵食し出し、ヤミの大剣がステラに迫った。
又しても、スーパー羽衣が破られるかと思った瞬間、ステラは、スーパー羽衣を解除して、ヤミの大剣を避けながら横っ飛びに飛ぶと、通常の羽衣を剣に変化させて、一瞬の内に、ヤミの三本の腕を斬り落としてしまったのである。
高速回転していたヤミの三本の大剣は、支点を失い、その勢いのまま地面にバウンドして、ヤミの腹と胸と頭を貫いた。
「グハッ!!」
ヤミの巨体は静に崩れ落ち、やがて、息絶えた。
ステラは、避難していたアトリアに駆け寄った。
「お姉さま、お怪我はありませんか。後はお任せ下さい」
「ステラ、命拾いしたわ、ありがとう」
二人は抱き合って無事を喜び合った。
「僕も頑張ったんだぜ、ご褒美のチューは無いのかい?」
ユウキが、冗談めいて言うと、姉妹の笑い声が弾けた。
ライト軍が、王宮をぐるりと取り囲むと、ステラとユウキの二人だけで、崩れた大門を飛び越え、王宮へと入っていった。
王宮内では、もはや観念したのか、向かってくる者は誰もいなかった。二人は、王宮の奥にある、王の間の扉を押した。
そこは、窓も無い球形の部屋で、中央の王座にムミョウらしき小柄な男が座り、数十人の親衛隊が、その周りを固めていた。
ステラが王座に近付き、一礼して口を開いた。
「ムミョウ王、十余年に渡る理不尽な戦争を終わらせる為にやって来ました。ライト王国のステラです。あの者はユウキ、私の夫です」
「あやつがユウキか。お前たち二人に、この国は滅ぼされたようなものだな。それで、この私をどうするつもりだ?」
「貴方を、ライト王国の裁判にかけます。恐らく死刑は免れないでしょうけど……、これ以上の抵抗は無意味です、投降して下さい!」
「ふん、そうはいかぬ、儂も一国の王としての誇りと意地がある。死ぬ時は戦って死ぬ!」
厳しい表情のステラが、ユウキの所まで下がり身構えると、ムミョウは、黒と赤のニシキヘビの様な模様の戦闘スーツを瞬時に纏い、数十人いた彼の親衛隊が、戦闘態勢を取った。
次の瞬間、ムミョウと親衛隊は、一斉にエネルギー弾を放つと、フッと姿を消したのである。ステラたちは身を翻してそれを避けたが、彼らが放ったエネルギー弾は、球形の壁に当たると、あちこちに跳ね返って二人を襲った。ユウキは、それを、シールドを張って受け止めた。
「ステラ、この部屋はおかしいぞ!」
「この部屋全体が、鏡のようにエネルギーを跳ね返すから、攻撃すれば全て自分に返って来るのね。ムミョウも考えたわね」
「いいさ、それなら、この剣一本で勝負してやる」
ユウキが剣を取り出し、再び現れてエネルギー弾を撃とうとした、ムミョウに斬りかかった。捉えたと思った瞬間、ムミョウの身体はすぐに消えて、剣は空を切った。
「ステラ、今のは幻影なのか?」
「生体反応が一瞬あったから、幻影じゃないわ」
「幻影でないなら、答えは一つ。次元を移動しているんだ」
「だったら、こちらも彼を追いましょう」
二人は、スーツに付いている次元移動装置を使って、ムミョウの後を追った。
ムミョウの光跡を辿って着いたところは、暗黒の世界だった。
「これでは何も見えないな。フレアに照らしてもらおう」
ユウキが、炎の守護神フレアを呼ぼうとした時、コスモの声が響いた。
『待ってください! この地表は可燃性の物質で出来ています』
「えっ!」
その時、隠れていたムミョウ親衛隊が、エネルギー弾を高々と打ち上げて、すぐに姿を消した。
エネルギー弾が地表に着弾すると、その世界は目も眩む閃光と共に、大爆発を起こして、火炎地獄と化した。
ユウキとステラは、瞬時に次元移動へと入ったが、爆発の光で目をやられていた。
「ステラ、大丈夫か?」
「目が眩んで見えないわ!」




