ステラ暗殺計画②
次の日、サウスシティの空は、ネーロ軍の戦闘機で埋め尽くされていた。戦闘機による空爆が続き、ステラハウスなど、辺りは跡形もなく吹き飛んだが、コスモタワーだけはビクともしなかった。
空爆が止むと、おびただしい数のスーツ部隊が降下してきて、コスモタワーを取り囲んだ。先頭には、将軍ダークが、大槍をひっさげて仁王立ちしていた。
「ネーロ帝国将軍ダーク見参! ステラ姫に申す、先日の決着をつけたし、いざ立ち合え!」
ステラ達はコスモタワーから様子を見ていたが、ダークの挑戦を受けて、彼女が動いた。
「ステラ様、これは、貴女をおびき出す罠です、行ってはいけません!」
レグルス達が必死で止めたが、戦士としての彼女の血が留まることを許さなかった。全軍を率いたステラは、ダークの前に下り立ったのである。
「ステラ姫、それでこそ最強の戦士。我も、この戦いに命を懸けて応えよう」
「望むところ、参れ!」
再び、ステラとダークの戦いの火蓋が切って落とされた。ステラは、最初から羽衣を起動し、その気概を見せた。一万にも及ぶネーロ軍は、二人を取り巻いて、その戦いの行方を見守った。
羽衣と大槍が激しくぶつかり、大地が震え、閃光が走った。戦闘が激化するうち、ダークのスーツが徐々に赤く輝き、シュウシュウと白い煙を吹き出したのである。
「ダーク! その鎧は?」
異変を感じたステラが、眉をひそめダークに迫った。
「ステラ姫、……この鎧は小型の核爆弾を装備してござる。戦士として死ねぬ事、無念なれど、我が使命を果たすのみ、共に死んでくだされ!」
「ならば、戦士として死ぬがいい!」
ステラは、エネルギー帯である羽衣を、自分を囲むように直径十メートルほどの輪に変形させ、それを、見えなくなるまで高速回転させた。
ダークが渾身の槍を突き出し、辺りの空間がキーンと張りつめた刹那、彼の大槍は粉々に砕け散り、その右肩は吹き飛ばされてしまったのである。
これは、触れる物全てを破壊する見えない兵器、“スーパー羽衣”である。
「有難し。ステラ姫、お許しあれ……」
ダークは、戦士として死なせてくれたステラに、感謝しながら絶命したが、核は起動されたままだった。
ステラは、落ちてゆくダークの重い身体を抱きすくめると、一気に高高度へと舞い上がった。
ダークの身体がマグマのように赤く焼けて、抱きすくめるステラの手にも痛みが走ったが、構わず、大気圏を突き抜けて更に上がっていった。
宇宙に出たステラが、ダークを投げ飛ばして急降下した瞬間、彼の身体は核爆発を起こし宇宙の塵となった。ステラは衝撃波をスーパー羽衣で防ぐと、地上へと下りていった。
サウスシティでは、突然現れたネーロ帝国の副官ヤミが、ユウキと対峙していて、その眼下では、一万のネーロ軍が浜辺を真っ黒に埋めて、その戦いを凝視していた。
ヤミは、ネーロ帝国軍の実質的な司令官であり、戦士としても最強の名をほしいままにしていた。
彼の戦闘スーツからは、幾匹もの蛇が頭をもたげていて、異様な雰囲気を醸し出していた。
「お前がユウキか? 少しは出来るようだが、この儂の敵ではあるまい。この新型のスーツの威力を篤と味わうがいい!」
ヤミのスーツから、蛇たちがスッとスーツの中へ消えると、彼の身体は瞬時にユウキの前面に現れ、同時にビームサーベルが振り下ろされた。
相手の動きが速く不意を食らった形のユウキは、それを打ち返そうと必死にサーベルを振り抜いたが、ヤミのパワーが勝り、サーベルは叩き落されてしまった。
「何てパワーだ! それに速い!」
それは、ユウキが今迄経験した事も無い衝撃だった。
ユウキはヤミから離れると、エネルギー弾を数発放ったが、直撃したにもかかわらず、ヤミのスーツに傷一つ付ける事は出来なかった。
「くそっ、パワーが違いすぎる。これでは勝ち目はない!」
ユウキが怯んだその瞬間、ヤミの姿がフッと消えて、直後に背中に激痛が走った。
「ううっ!」
振り返ると、ヤミの姿は既にユウキの後ろにあって、そのサーベルが彼の背中を切り裂いていた。




