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 さて、あくる日。

 現在、森の中…丁度昨日彼らと出会った辺りだな。

 で…時間にして、森で活動できるのは大体2時間くらいか?

 取りあえず調達した装備でベリーハードからハードに下がっていれば良いが…



「さて、と…」



 インベントリから取り出したのはエルフホイッスル。

 これを吹けば駆けつけるとは言っていたが…



「まぁ、すぐに来るわけでもないか」



 余程近くにいない限り、時間的には結構掛かるだろう。

 取りあえず吹き鳴らしてみる。

 大きく息を吸って…



「ふっ~!!っふ~!!」



 …あれ?

 虚しく吹き込む音が響くだけじゃないか…

 もしかして吸い口を間違えたか?

 いや、もう片側はそんな形状をしていないし…

 取りあえず、もう一回だな。



「ふっふっふっ!ふっふっふっ!ふっふっふっふっふっふっふっ!」



 取りあえず思いついた、3・3・7拍子で頑張ってみたんだが…

 う~む、どうにも音が鳴らない。

 もしかして、騙されたか?

 なんて思っていたら、微かに笛が振動しているのが伝わってくる。

 もしかして、これ…



「人が聞こえない程に、高い音って事なのか?」



 そうだとすれば、笛が震えたのも納得がいく。

 向こうには聞こえていて、笛の音で返してきているのだ。

 となれば、やる事は一つだ。



「ふっ!ふふふふふふ!」



 取りあえず誰か来るまで徹底的に吹き鳴らしてやる!

 気分は家のチャイムを連打するクソ野郎の気分だ。

 とにかくテンポの良い感じで、思わず体でリズムを刻むようなビートを心がける。

 時にタンギングを駆使し、聞く側を飽きさせない工夫も忘れない。


 で、そんな遊びをしている行う片手間で、ちょっとだけ周辺の採取ポイントの探索をする。

 ここいらの採取ポイントには、例の白い粉を撒いたからな。

 昨日はタイミングが悪くて採取しそびれたが…

 お、あったあった!


 っとピピッドの実を摘む前に…

 集中、集中、集中、集中、鑑定、果実っと…

 なんやかんや笛吹いて集中力は欠けているからな。

 実験も兼ねて、基本コマンド5枠と追加の1枠をフルに使ってみよう。

 あと、前から追加されていたけど忘れていた対象指定鑑定(範囲:挟)も…

 こっちは対象を近くにあった指定するだけで良いみたいだな。

 さて、結果は…と…



・ピピッドの実 レア度3 状態評価5



 森に多く群生している植物の実。

 消臭作用があり、臭い消しの材料によく使われる。

 一部の野生動物や魔物はこれを自身の虫除けや巣の臭い消しに使う。

 状態は普通、消臭剤だけでなく虫避けにも使えそうだ。



 お?評価自体はかなり持ち直してきてるみたいだな。

 それに気になるのは…採取評価、ではなく状態評価か…

 採取前の物を指定した場合は、こうなるんだろうな。

 で、早速採取して…もう一度鑑定!

 今度も使うコマンドは同じだ。



・ピピッドの実 レア度3 採取評価5



 森に多く群生している植物の実。

 消臭作用があり、臭い消しの材料によく使われる。

 一部の野生動物や魔物はこれを自身の虫除けや巣の臭い消しに使う。

 状態は普通、消臭剤だけでなく虫避けにも使えそうだ。



 やっぱり採取と状態とは…変わるみたいだな。

 という訳で、幾つか採取だ。

 ま、今度リコリスに相談して種にでもしてもらおうか。

 そんなこんなでちょっと近くの採取ポイントの様子を見て回る事暫く…


 唐突にヒュ…っと風を切る音が鳴った。

 …足元の地面に矢が刺さってるな。

 恐らくわざと外したんだろう。

 取りあえず、矢でも鑑定してみるか…



・エルフの狩猟矢 レア度5

 カテゴリ:矢

 威力:55(斬性能:70 突性能:100 打性能:0)

 耐久68/70



 特殊能力:特定の環境で使用時、静音効果Ⅱ・視認阻害Ⅲ

      一部コマンドの効果上昇

      獣系モンスターへのダメージ15%アップ

      命中時、対象に出血Ⅱ付与



 森に住まう種族、エルフの使用する石や鉄を使わない矢。

 エルフの弓矢は、使用する人物の技量やセンスに大きく影響を受けるそうだ。

 獣を狩る用途で使用される為か、相応の工夫がされている。

 矢の力を補助する魔法と非常に相性が良さそうだ。



 ふむふむ、なるほど…

 特に威力と効果が優秀って事以外、分からないな。

 それに矢と弓のステータスの内容も分からないし…

 矢がこういったステータスなら、弓はどうなんだ?

 調べてないのでさっぱり…俺には分からん。

 まぁ、いいや。

 演奏を再開しよう。



「いい加減にしろ貴様!さっさと笛を鳴らすのを止めんか!」


「姉さん落ち着いて!」



 とか思っていたら、先ほど矢が飛んできた方向から二人が出てきた。

 アルベルトと姉ベルトだ。



「普通は矢が飛んで来たら警戒すべきだろう!」


「普通は知ってる奴に向けて、矢を撃たないだろう?」


「貴様!言わせておけば…!」


「誰か!姉さんを!」



 と、怒りが爆発気味な彼女を抑える為にアルベルトが増援を呼ぶと、他に隠れていたエルフ達が出てくる。

 人員は合計で前と同じ…12人か。

 それに前に見たときと顔ぶれも同じか…?

 ぼんやりとだが、全員見た様な記憶がある。

 まぁ、全員同じ方向性での美形だから区別が付け辛いけど。

 いわゆる、凛々しい方向でかっこいいって言うの?

 もうちょっとワイルド系とか居てもいいと思った。


 しかし何故、彼女はこんなにも苛々しているのだろうか?

 先の口ぶりからして、演奏のせいだろうか?



「ファルマ、今日もすまない…」


「いや、演奏が気に召さなかった様で…こっちもすまないな」


「あの笛か?良いリズムだったぞ」



 それはお世辞なのか、本音なのか…

 にこやかに返す様子からは、良く分からん。

 なんて受け答えしているとエルフ一人が、長い耳をピコピコと動かして…



「アルベルト様!」


「あぁ、分かっているよ!皆!」


「…ッチ!」



 先ほどの雰囲気もどこへやら…

 一斉に警戒態勢へと移行する。

 取りあえず俺も、有事に備えて救いのスペードを構える。

 それを見て、姉ベルトは睨むような視線を送りつけてくるが…無視だ。



「魔物か?数は?」


「いや、これは…?」



 耳を動かして、音から正体を探している様子のアルベルト。

 ちなみに俺には何も聞こえない。

 つかそんなに耳の良い種族だっけ?エルフ?…って感じだ。

 それに普段は魔物と、その数まで言い当てるのだが…歯切れが悪い。

 …森の主的な奴でも近付いているのか?



「人だな…数は3」


「マジかよ」



 もっと面倒な奴に出くわしたか…

 さて、どうする?俺…



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