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 で、それからエルフたちと暫く話し合った訳だが…

 なんだか随分と長く話し合っていたような気がする。

 取り敢えず切り抜けたって事で気が抜けていたのが理由だろうけど…


 それで、聞く限りで森の現状だが…

 思った以上に深刻みたいだ。

 言い表すなら、まんま現代社会。

 熊が人里に下りてくる的な?

 大体そんな感じ、うん。


 まぁ森から出る事はないみたいだけどさ。

 それがゲーム的になのかは知らん。

 で、どっちかって言うと食料を求めて奥に引っ込もうとしてるみたいだ。

 それで生態系がおかしくなってるから、そこに住んでるのは殺気立ってるって訳。

 エルフ然り、魔物然り…


 それに対してこっちも一応知ってる事は知っているだけ全て話した。

 最近の町でのポーションの価格高騰、それによるチーユ草の乱獲、その影に隠れて採取品の過剰採取etc…。



「まぁ…そんな所か」


「成る程、そんな事が…」


「しかしなぁ…」


「あぁ…」



 俺とアルベルトは二人共状況を理解しつつ、同時に悩む。

 ここまでくれば恐らく、ではない。

 何らかの意図があってこんな事をしてるのは間違いないだろう。

 ってそうやってぼかすのもやめるか。

 ほぼ確実に森への進行の手筈を整えているだろうな、これは。

 ポーション云々は結局の所ダミー、いや隠れ蓑って訳か。


 それでだが…現にこうしてエルフ達は俺に警告する為に出てきた。

 俺が無駄に戦おうなんて思わずに、話し合いまで持ち込む様な奴だったのは彼らにとって一番の幸運だろうな!

 まぁそこは逃げるのに失敗した結果だが…


 …もしこれが本当に犯人であればどうだったか?

 少なくともこんな事想定にないなんて事は無いだろう。

 確実に準備の一つや二つはしてきてるはずだ。

 そして逃がさない様に…いや逃げてもいいのか?

 まぁ何とかしてともあれ彼らの住処を炙り出すだろうな。

 壮大なエルフ捕縛イベントの始まりだ。


 …エルフと捕縛の間に入るのが”が”なのか”を”なのかは知らんが…

 大体後者であるだろう。

 とんでもない事になるってのは想像に難くない。



「これだから人間は信用できんのだ!」


「まぁ間違ってないな」


「ほれみろ!嘘つきの人間め!」



 なんだか煽ってくる面倒なのは適当に流しておく。

 と言うか縄で縛られてなお元気な奴だな…

 きっと彼女には敵対するモノへの攻撃がやめられない因子でも埋め込まれているのだろう。



「姉が…すいません」


「気にしないで良い、それで…これからどうするかだが…」


「えぇ…」



 まさか人前に無防備に出ろとは言えない。

 かと言って何もするなとも言えない。

 にっちもさっちもいかない状況だよな…

 向こうもそれがわかっているのか、暫しの沈黙が流れる。



「そういえば、先程は何を…?」


「あぁ、それはだな…」



 沈黙が続くのもあれだと思ったんだろう。

 取り敢えずって感じで聞かれたので、俺も例のアレを取り出す。

 幸せの白い()粉だ。

 植物達がハイになっちゃうアレ(お薬)だ。



「これは…骨粉?」


「あぁ、癖は強いが良い肥料になる奴でね」


「成る程…」


「まぁ、見ててくれ…」



 話し合いの途中だが、ちょっとした気分転換にはなるだろ。

 ピピッドの実の生えていた所に近づき、コマンドを展開する。



「プロテクション・エリア!」



 エフェクトが終わり次第、間を置かずにすぐに粉を撒く。

 さっきみたいに遮られる事はないだろうけど、一応念の為だ。

 MP消費も馬鹿にならないしな。


 こんな適当な感じで防呪と栄養散布が施された訳だが…

 土地の変化は思っていたより劇的だった。

 さっきまでピピッドの実が取れる植物は枯れ木みたいな状態だったが…



「ふむ…」


「「なっ…!?」」



 みるみる内に元気を取り戻し、逞しい姿になっていく。

 周囲の植物もつられる様にグングン伸びていく。

 こう…例えるならテレビで見る植物の成長の早送りみたいな?

 これならもう少し待つだけで実も収穫出来るだろう。



「まぁこんな感じだ」



 と、周囲のエルフの反応を伺う。

 ちょっとドヤ顔してみたりもして、な?

 まぁ先程エルフ達が驚きの声を上げたのを聞いたからなのだが…



「これは…まるで…」


「族長様の使う樹魔法みたいだ…」



 どうにも聞きなれない単語が出てきたな。

 樹魔法、か…



「樹魔法…?」


「あ…いや…」


「しかし、これは凄いな…」


「数さえ確保できれば、森の再生も可能かもしれないな・・・」


「…まぁな」



 詳しく聞きたかった所だが、どうにも向こうは話す気はないらしい。

 露骨すぎる位に強引に話題をそらされた。

 もうちょっと上手いやり方をだな…


 ま、いいか。



「でも残念だが、要望に応えられるだけの数は無い」



 恐らく秘密に近い事柄だろうし…

 まぁ話して貰えるチャンスが来るまで待つか。



「どうにか入手する手段は無いのか?」


「ここいらの人間じゃあほぼ誰も取りに行けないだろうな」



 攻略組でも相当厳しい所だろ、あれ。

 デスペナなんかのリスクを背負っても、取りにいくリターンがあるかと聞かれたら…なぁ。

 期待は出来ないだろう。



「ちなみに俺も取りに行った所で、死ぬだけだ」


「…じゃあなんでそんなものを持ってるんだ?」


「取り敢えず俺が持ってるので我慢してくれ」


「あ、あぁ」



 アルベルトさんや、聞かんでおくれ。

 人には一つや二つ、話したくないものがあるんだ。

 そっちの樹魔法やらと同じだと思ってくれ。

 なんて雰囲気を出しながら、聞かれた事は軽くスルーしてみる。



「それに数があっても素材がピーキーだ」


「と言うと?」


「普通に使ったんじゃ周囲が呪いで汚染されちまう」



 それでも良いなら遠慮なく使うがな。

 マンドラの楽園になるだけだろうし…

 その内にマンドラゴラまで生えたりしてな?



「だからあの魔法を…?」


「そういう事だ」


「土地汚染を浄化ないしは予防する手段が無いと駄目って事か…」


「そっちにそういった事を出来る奴は?」


「…悪いが」


「そうか」



 その言葉からまた、お互いの間に沈黙が流れる。

 どうにも、先行きは暗い。

 結局どう確認してみても、一気に解決に持っていける手段が無いからだ。


 今のままだと時間を掛けて解決するしかないが、それでは被害が凄まじい事になるし。

 つか解決さえしないかもしれない。

 エルフの住居が壊滅ってのが解決の手段に入らなければだが…

 まぁそれも今のままいけば、ならだけど…



「一つ、提案がある」



 アルベルトの方を向きながら、如何にも重々しい感じで口を開く。

 やっぱこういう時って、雰囲気大事だよなぁ。

 なんかしみじみと、そう感じる。



「なんだ…?」


「まず、俺は持っているだけのこれ(骨粉)を使って森の保護に協力しよう」


「ほう…?」



 それを聞いて、まず周囲のエルフ達がざわざわとざわめき出す。

 ま…取り敢えずそれは無視だが。

 アルベルトの様子も、概ね悪いものじゃないと思う。



「で、それの対価としてだが…」



 一旦、そこでわざと区切り、ひと呼吸してから告げる。

 うん、雰囲気雰囲気。



「この骨を取りに行ける程度の強さを得るのに、協力してくれ」



 つまりどういう事かと言うと、だ。

 今の攻略組よりも強くしてくれっていう事だ。



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