#249
万博に行って、二万歩ほど歩いて腰を痛めました…。
あと飯と土産でお財布が死ぬほど軽くなった。
みなさん!財布と腰には気をつけて!
ヘルニアは10代でも平気でなりますぞ!
「頭下げろ!絶対に顔を出すな!!」
スフェーンはそう叫ぶと、持っていた小銃の安全装置を解除し、片手で引き金を引いた。
ッ!
大きな銃声、触ってもいないのに動く槓桿。
排莢される薬莢、そして新しく装填される新しい銃弾。
片手で十キロある小銃を操作し、その影響でスフェーンの服の下では若干エーテル結晶が露出しかかっていた。
左手で射撃、右手で障壁を展開する彼女。すると障壁に再び電撃が走り、同時に銃弾が命中した。
「これは…!!」
その障壁の堅牢さに舌を巻くジョンだが、今はそんな状況ではない。
「スフェノスさん!」
「もっと奥だ!逃げておけ!」
スフェーンはそう叫ぶと、ユウナ達は階段を上がって上に退避する。
その途中、階段を登るネクィラムは聞いた。
「応援は?」
「要らん。この程度、一人で片付けられるわぁ!」
スフェーンは不敵に笑って答えると、そこでそっと手を出すと、
『敵視認。数四、想定範囲内です』
その先で中の状況を瞬時に把握できたルシエルがスフェーンの視界に映し出され、同時にマーキングがされる。
「大型武器…無し。敵装備…」
撮影した中で見えた敵を前に、的確にスフェーンは計算を行う。
『建物の損壊は?』
「無傷」
『了解。現在の水圧を考慮。地下一一〇〇メートル、外気温は約摂氏九.二度』
即座に計算を行い、無傷での制圧が可能かどうかを計算する。
『ーーー計算完了。敵性勢力の行動予測パターンを展開。損害を無くす為、モード・サマエル、モード・マハザエルの機能をロックします』
ルシエルはこの体に使用制限をかける。前者はエーテル・カノンを発射、後者は敵のエーテルを変質させる能力があるので下手にやって壁を壊さないようにする必要があった。
なんたってここは海中深度一〇〇〇メートル級の世界。一度壁が割れて仕舞えばあっという間に水圧に押されて大量の水が入り込んでしまう。
そしてその流入してくる海水は簡単に低体温症になれるほどに冷たい。タイタニックの二の舞となるのは御免被る。
「だから…奴らもそれを警戒するに違いない」
この階段は海底部分の中心の柱となるように作られており、ここを中心に冷却用プールを見下ろすことが可能な点検用の細い橋が十字に広がっている。
そして壁に沿うように円形の細い通路が設置され、この謎の襲撃者達はその細い通路に陣取っている。
「全く…」
スフェーンはそこで小銃を手放すと、その銃は空間エーテルに包まれてそのままスフェーンが展開していた防護壁を飛び出す。
「「「「っ!?」」」」
飛び出した小銃を見ていた襲撃者達は驚愕すると、クルッと銃口が動き、その銃に取り付けられた高精度可変倍率スコープの映像をスフェーンは覗き込む。
「お仕置き」
そこで左腕を右腕の上に置いて座射の姿勢を取ると、手で作った銃を撃った仕草をした瞬間、海底区画に銃声が響いた。
「ぐぁぁあああああああーーーっ!!」
放たれた銃弾は通路で銃を向けた一人の襲撃者に命中する。さすがは対戦車ライフルで、対人では一撃必殺を誇った。
カラン
そして薬室から弾き出された、熱せられた薬莢はそのまま薬莢入れに入り込む。
「くそっ!」
「アイツを撃て!」
「異能かっ!?」
そしてそのままプールに落下していく一人を見て、他の襲撃者達は意識をそっちに持っていってしまった。
「っ!」
敵の数は見えた範囲で四人。多分、スラムの解体と制圧に追われてここまで逃げ込んだ奴らに違いない。
『ーーー照会完了。いずれも重要指名手配犯です』
「んなこったろうと思ったよ」
スコープの視界に映し出された先ほどの映像の解析を終え、スフェーンは軽くため息を吐く。
大方、ここの摘発が行われた際に地下に地下にと逃げ込み、しばらくの間隠れてやり過ごそうとしたのだろう。だから近くの建物の壁を引っ剥がして足跡で壁を作ってその奥に隠れたのだ。
『どう対処なされますか?』
「決まってる。殲滅よ」
『…了解しました』
ルシエルは頷くと、そこで飛んでいる小銃に向かって持っていた銃を単発で狙い撃とうとするゴロツキ達を見る。
小銃は命中を避ける為に飛びながら発砲する。
ッ!! ガシャ ッ!!
三発発砲、残り二発。
「敵は三人…弾は…」
そこで持っている拳銃の銃弾を確認すると、
「行くか…」
拳銃を両手でしっかりと握ってから一気に飛び出すと、そのまま下に降りる階段目掛けて走り出した。
ッ!!
飛び出た所を一人が気づいたが、その直後に小銃が発砲して、反射的に隠れてしまう。
「よっと」
既に今も飛んでいる小銃からの映像で、敵に強化外骨格や重量級サイボーグの存在は確認されていない。流石にそういう奴らとやり合うのは厳しいところがある。
マグナムと7.92ミリでどう12.7ミリを持つやつと戦えと?
「っ!?」
階段を飛び越え、通路の柵を掴んで間の前に現れた事で一人は驚愕した顔を浮かべた。
ッ!
「ひとーつ」
「うがっ!?」
そして発砲。至近距離なので拳銃の間合いで肺に一発。
ッ!
「ふたーつ」
そして二発目は腹部に命中。そして倒れる。
一人倒したので持っていた自動小銃を手に取ったが、
「チッ…指紋認証付きかよ」
ゴロツキの割には良いアタッチメントを取り付けており、これでは本人以外で引き金を弾く事はできなかった。
『行きましょう。まだ敵は二人残っています』
「はいよ〜」
そこでスフェーンは銃を捨てて障壁を作るとそこに再び電撃が走り、即座に周囲を見回したら、
「っ!!」
皮脂をかいて両腕を前に突き出していた一人が居た。
「アイツか…」
ニヤリと笑うと、彼女はその姿を見た後に即座に飛んだ。
「っ!」
あり得ない高さまで飛んで近づいてくる彼女に、異能者の彼は何発も電撃を送るが、
ッ!!
「っ!!」
背中から腹を小銃弾が貫通し、血が飛び散って痛みが走る。
ッ!
「みーっつ」
ッ!
「よーっつ」
その上で二発乱射し、スフェーンは牽制を行うとそのまま脚で踏んづける。
「ふがっ!!」
足で抑え込まれ、そのまま踏まれた勢いで彼の顎の骨が割れる。そして制圧した直後、彼に別の仲間が近づいて銃を向ける。
ッ!
「いつーつ」
「っ!?」
発射した拳銃弾は、敵の持っていた自動小銃に命中して破壊される。
ッ!
「むーっつ」
「ひっ!」
すると驚愕し、地面にへたり込んだゴロツキに銃口を合わせると一発。
「うっ!?」
ッ!
「ななーつ」
そして畳み掛けてスフェーンは最後の一人の腹に二発打ち込む。
そして再度引き金を引いて引いてカチッという音を確認すると、再び静寂に包まれた海底区画で煙草を取り出した。
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列車で、座席の影に隠れて先ほどの電撃をやり過ごしたジェロームはそこで一考する。
「(異能者か…)」
先の南北戦争後期で、軍警察が投入した戦術兵器。
噂によると、エーテル病患者のみ使うことができる代物で、昔にアニメで見たようなファンタスティックなことが出来るという。
「差し詰め電気ショックと言ったところか…」
自分の人を気絶させる程度のものではなく、焼き殺してしまうほどの威力の電撃。
自分もできない事はないだろうが、やったら確実に腕は壊れる。そんなものをポンポン撃てる異能者というのは、恐ろしいと言える。
「(この状況で撃ってこない…のか)」
今の状況は狭い客車の椅子の陰に隠れている状況。
先ほどの異能者による電撃はジェロームの持っていた盾に当たった。
空中ながらいきなり雷のような電撃を加えて来て、反射的にそれを前に放り捨てた事で難を逃れた。
「そうか…」
そして電撃を受けた盾は車両の通路の真ん中転がり、こちらに歩いてくる気配はない。車両の足元には先ほど制圧した強盗達の姿で埋まっており、視界と斜線が遮られてしまっていた。
ジェロームはそんな状況で近くを見ると、食堂車の台所のお玉などの台所用品を見る。
「…」
その中のを見てジェロームは寸胴鍋とお玉を手に取ると、綺麗に磨き上げられたナイフの先にガム付きの鏡を持ってそっと車内を見ると、そこに何も映らず。視界をサーモグラフィーに切り替えると、鏡で反射して人影が見えた。
「…」
ジェロームはそこで、拳銃を天井のライトに向かって発砲。
ッ!ッ!
「(六…五…)」
発砲のたびに数を数えながら確実に照明を落としていくジェローム。すると強盗は反応して今まで以上に苛烈に射撃をして来た。
ッ!
「(四…)限界か」
台所の奥に隠れていたので貫通した小銃弾も届かないが、その壁が穴だらけで無くなれば時間の問題。
「三…いや四か」
その発砲の数で敵の人数を把握すると、それを確信すると同時に直後に持っていた発煙弾の安全ピンを抜いてお玉に乗せると投げる。
バシューーーッ!!
勢いよく投げ出されて、吐き出される黒煙、元は強盗が乗客達に火事と誤認させるための発煙弾は、深夜の犯行と相まってあっという間に視界を急激に悪化させる。
「くそっ!」
その中に隠れていた強盗達、取り分け電撃を放っていた青年は毒吐く。これで無闇に撃つと自爆や誤射の可能性があり、異能を封じられたも同義だった。
「来るぞ!構えろ!」
誰かが言った瞬間、
ッ!ッ!
「ぐはっ!」
その叫んだ奴が二発の銃声で倒れた。
「くそっ!」
それを前に誰かが煙を払うように腕を大きく動かすと、
ッ!
一発の銃声の後にパチッと言う音が聞こえて今度はそいつが気絶する。
「っ!?」
あっという間に二人がやられ、異能者の青年が左右に視界を動かした時、
「遅いぞ若者」
「っ!」
すると異能者の青年は先ほど台所から拝借した寸胴鍋を勢いよく被せられた。若干叩きつけられたような勢いで被せられ、鍋の底の形が変形してしまい、同時に頭がくらっとした。
そして同時に、今までピリついていた空気が収まった。
「なるほど、目で距離を測らないと使えないわけか…」
「っ!?」
ジェロームの呟きに異能者は目を見開いて驚くと、直後にその青年は鍋をはずそうとしたが、その前に鍋に電流が流されて気絶した。
「…」
「ひぃっ!」
そして仁王立ちで銃口を足元でへたり込んでいた最後の強盗に向けると、
ッ!
最後の一発を発砲。
「あっ…」
銃弾は強盗のこめかみを掠め、撃たれたと勘違いした彼は白目を剥いて気絶した。
「…終わったか」
そこで静寂に包まれた車内を見て、ジェロームは持っていた煙草を取り出した。




